アパート経営による税金対策には、
・相続税対策
・固定資産税・都市計画税対策
・所得税・住民税対策
があります。
筆者は、「節税対策御三家」と命名しています。
これらを上手に活用することにより、資産構築・資産防衛を図ることができます。
しかし、アパート経営において、税金対策はあくまでも手段です。
・入居者へのサービス
・建物の維持・管理
などをそつなくこなして、黒字経営を維持することが大前提となります。
その前提において、アパート経営は、節税対策として効果があります。
この記事では、
- アパート・マンション経営による相続税対策
- アパート・マンション経営による固定資産税・都市計画税対策
- アパート・マンション経営による所得税・住民税対策
- アパート・マンション経営の法人化による所得税対策
について解説します。
具体的な事例を挙げて解説します。
資産防衛の解決策の一つとして、利用できることがわかります。
1.アパート・マンション経営による相続税対策
相続税は、土地・建物それぞれに課税されます。
平成初期のバブル経済崩壊以降、土地・建物の評価額が下がり続け、2015年に相続税の税制改正がありました。
基礎控除額が、4割引き下げられる改正により、相続税納税対象者が、倍増することになります。
したがって、相続税対策を講じる必要のある人が、急増しました。
そこで、アパート・マンション建築もしくは購入による相続税対策の効果が、再認識されました。
1-1.相続税の計算式
相続税の計算式は、
となります。
財産の中には、
・プラスの財産
・マイナスの財産
があります。
プラスの財産には、
・現金・預金
・金融商品(株式、投資信託、社債、保険など)
・不動産
などです。
マイナスの財産には、
・借入金
・買掛金
・税金
などです。
プラスの財産である現金・預金などは、時価(100%)で評価されます。
一方、アパート経営などの土地・建物は、時価より下げて評価されます。
また、アパート建築や購入の際に利用する
・アパートローン
・不動産投資ローン
は、負債として財産評価額から差し引くことができます。
結果として、アパート経営は、他の財産と比較して相続税の減税効果は大となります。
1-2.相続税対策の事例
事例を挙げて、相続税評価額をシミュレーションしてみます。
【事例1】
・現金5,000万円
・時価5,000万円相当の未使用地(更地)
を所有している場合、相続税評価額は?
対策前(アパート経営)の相続税評価額は、
相続税評価額 = 5,000万円(現金)+ 5,000万円(更地)
= 1億円
となり、相続税評価額は、そのままの100%となります。
相続税対策として、現金5,000万円を使用し、アパートを新築します。
相続税評価額は、
=土地の場合=
相続税評価額=路線価評価額×(100%-借地権割合×借家兼割合×賃貸割合)
=(5,000万円×80%)×(100%-60%×30%×100%)
= 3,280万円(更地の65.6%の評価)
=建物の場合=
相続税評価額=固定資産税評価額×(100%-借家兼割合×賃貸割合)
=(5,000万円×50%)×(100%-30%×100%)
= 1,750万円(35%の評価額)
アパートの土地・建物の相続税評価額は、
3,280万円 + 1,750万円 = 5,030万円
1億円の相続税評価額が、5,030万円まで落とすことができ、約5割の圧縮効果となりました。
実際の相続税額は、5,030万円に対して基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人)が差し引かれた後に、税率が乗じられて算出されます。
したがって、少額となります。
アパート建築による相続税対策は、建物の相続税評価額の下落率が非常に大きくなることがポイントとなります。
上記は筆者の顧問税理士と確認の上、やや安全をみて記載していますので、実際の評価額はもっと下がります。
1-3.相続税対策の詳細
相続税対策の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
2.アパート・マンション経営による固定資産税・都市計画税対策
固定資産税・都市計画税は、土地に住宅が建ちますと、住宅用地特例率(軽減率)を利用することができます。
2-1.固定資産税・都市計画税の住宅用地特例率(軽減率)
2-1-1.固定資産税
固定資産税は、
- 住宅1戸につき、200㎡までの部分は、6分の1になります。
- 住宅1戸につき、200㎡を超える部分は、3分の1になります。
2-1-2.都市計画税
都市計画税は、固定資産税評価額を基にして算出されます。
- 住宅1戸につき、200㎡までの部分は、3分の1になります。
- 住宅1戸につき、200㎡を超える部分は、3分の2になります。
それらをまとめますと下表の通りです。
区 分 | 固定 資産税 | 都市 計画税 |
小規模住宅用地 (戸数×200㎡まで) | 1/6 | 1/3 |
一般住宅用地 | 1/3 | 2/3 |
2-2.固定資産税・都市計画税対策の事例
事例を挙げて、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例率を確認します。
【事例2】
・1,000㎡の敷地
・アパート(4戸)
を建てた場合、固定資産税評価額を下げることができます。
200㎡ × 4戸 = 800㎡
敷地800㎡までの部分は、
・固定資産税:1/6
・都市計画税:1/3
1,000㎡ - 800㎡ = 200㎡
敷地200㎡の部分は、
・固定資産税:1/3
・都市計画税:2/3
2-3.固定資産税・都市計画税対策の詳細
固定資産税・都市計画税対策の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
3.アパート・マンション経営による所得税・住民税対策
3-1.損益通算
実際の不動産収益がプラスでも、不動産所得を課税上マイナスにすることができます。
家賃収入を不動産所得として計上します。
そこから
・青色申告特別控除
・必要経費
・減価償却費
・ローン利子
などを差し引き、不動産課税所得を算出します。
アパート経営初期段階では、減価償却費が大きくなりますので、不動産課税所得をマイナスにすることができます。(実際のキャッシュフローはプラス)
そのマイナス分を、給与所得から差し引くことができ、所得税・住民税を減額することができます。
3-2.所得税・住民税対策の事例
事例を挙げて、アパート経営の課税所得をシミュレーションしてみます。
【事例3】
アパート経営をしているサラリーマンの場合
・年間給与所得 :500万円
・不動産課税所得:-100万円(赤字)
とします。
(実際の不動産収益(キャッシュフロー)はプラス)
給与所得と不動産所得は損益通算することができます。
実際の課税所得は、下記の計算結果となります。
課税所得=500万円(給与所得)-100万円(不動産課税所得)
=400万円
課税所得400万円に対して課税されることになりますので、減税することができます。
3-3.所得税・住民税対策の詳細
所得税・住民税対策の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
4.アパート・マンション経営の法人化による所得税対策
法人税は、法人の企業活動により得られる所得に対して課税される国税です。
・所得税:個人に課税
・法人税:法人に課税
所得(利益)に対して課税される仕組みは、所得税も法人税も同じです。
4-1.法人税率
法人税率は、法人の所得に対して一律に課される税率です。
最近の法人税率は引下げ傾向にあり、現時点(令和2年)で、最も低い税率まで引き下がりました。
(出所:国税庁)
資本金1億円以下の中小法人の場合、
- 課税所得800万円以下の部分に対しては、法人税率は15%
- 課税所得800万円超 の部分に対しては、法人税率は23.20%
になります。
4-2.所得税率
個人の場合の所得税率と控除額は下表の通りです。
(出所:国税庁)
- 課税所得695万円超~900万円以下の部分に対しては、所得税率は23%
- 課税所得900万円超~1,800万円以下の部分に対しては、所得税率は33%
になります。
4-3.課税所得の分岐点は、800万円
課税所得に対する税金をシミュレーションしますと、
課税所得 | 所得税 | 大小 関係 | 法人税 |
700万円 | 97.4万円 | < | 105万円 |
800万円 | 120.4万円 | > | 120万円 |
900万円 | 143.4万円 | > | 143.2万円 |
1,000万円 | 176.4万円 | > | 166.4万円 |
- 課税所得が800万円を下回ると所得税の方が、安くなります。
- 課税所得が800万円を上回ると法人税の方が、安くなります。
よって、アパート経営は、課税所得が800万円を越える時点で法人化しますと、節税になります。
4-4.法人化による所得税対策の詳細
法人化による所得税対策の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
課税所得800万円を前後しての所得税と法人税のシミュレーション計算式も掲載しています。
5.まとめ
以上、
- アパート・マンション経営による相続税対策
- アパート・マンション経営による固定資産税・都市計画税対策
- アパート・マンション経営による所得税・住民税対策
- アパート・マンション経営の法人化による所得税対策
について解説しました。
国の住宅政策は、賃貸不動産に対して税制優遇措置をこれまで採ってきました。
この税制優遇措置を上手に活用することにより、資産構築・資産防衛を図ることができます。
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7.出所
※1 「No.5759 法人税の税率」 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
※2 「No.2260 所得税の税率」 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2013/taxanswer/shotoku/2260.htm
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