毎年のように来襲する大型台風により、風害や洪水・高潮などの水害による甚大な災害が、多発するようになりました。
他にも地震や火災といった災害が後を絶ちません。
災害後によく耳にする言葉が「罹災証明書」です。
罹災証明書があれば様々な支援を受けられると聞かれた方も多いと思います。
しかし、
「罹災証明書の取得方法がわからない?」
「どの様な支援を受けることができるのか?
と、お困りの方はいませんか?
ポイントは、
・市区町村への早めの確認
・損壊箇所の写真
になります。
この記事では、
- 罹災証明書とは?
- 罹災証明書の発行条件
- 罹災証明書発行の流れ
- 罹災証明書発行によるメリット
- 災害復旧における支援制度
- 家屋解体の注意点と業者選定方法
について解説します。
1.罹災証明書とは?

他にも被災証明書があります。
1-1.罹災証明書の申請期限
災害が生じた場合、罹災証明書の申請期限は自治体により異なります。
多くの自治体では災害発生から3か月としている場合が多くなります。
自治体によっては、申請期限を1か月までに設定している場合や6か月以上に及ぶ場合もあります。
自治体の
・WEBサイト
・広報(冊子)
などに罹災証明書の申請期限を案内していますので、確認する必要があります。
1-2.罹災証明書と被災証明書の違い
被害の程度は、
・「全壊」
・「大規模半壊」
・「半壊」
・「準半壊」
・「準半壊に至らない(一部損壊)」
などがあります。
罹災証明書の法的根拠は、災害対策基本法第90条の2第1項となります。

<災害対策基本法>第90条の2第1項(※1)
「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の被災者から申請があったときは、遅滞なく、住家の被害その他当該市区町村が定める種類の被害の状況を調査し、当該災害による被害の程度を証明する書面(次項において「罹災証明書」という。)を交付しなければならない。」
1-3.農業用罹災証明書
農業用施設や設備は、人が居住する住宅ではありませんが、自治体によっては、災害により損壊した施設・設備の復旧支援制度を策定しています。
その場合、「農業用罹災証明書」を発行して日本政策金融公庫や農業協同組合などの融資を利用できるように処置をしています。

2.罹災証明書の発行条件

罹災証明書が発行できる条件は、対象になる災害や被害が、法律や内閣府の被害認定基準運用指針で規定されています。
2-1.罹災証明書の対象となる災害
罹災証明書発行の対象となる災害は、国や都道府県が指定した災害となるため、自治体により異なります。
災害対策基本法第2条第1項により規定する災害が指定されます。
その条文を引用しますと、
<災害対策基本法>第2条第1項(※1)
「一 災害 暴風、竜巻、暴雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう」
とあります。

罹災証明書を発行する機関は、
・火災の場合には消防署
・火災以外の自然災害などの場合には市区町村
となります。
2-2.罹災証明書の対象となる被害
罹災証明書発行の対象になる被害は、原則として住宅が損壊した場合となります。
ただし市区町村により、農業用施設・設備などの被害も対象となります。
また被災した住民の人的被害も対象となります。
住宅の被害の程度は、
・「全壊」
・「大規模半壊」
・「半壊」
・「準半壊」
・「準半壊に至らない(一部損壊)」
の5区分となります。
内閣府が定めるそれぞれの認定基準は下表の通りです。(※2)

(出所:内閣府)※2
3.罹災証明書発行の流れ

3-1.罹災証明書発行に必要なものと申請場所
罹災証明書の発行に必要なものと申請場所は、市区町村により異なります。
事前の確認が必要となります。
3-1-1.罹災証明書発行に必要なもの、申請場所
必要な書類を下表にまとめます。

3-1-2.罹災証明書発行の申請場所
通常、市区町村にて申請しますが、窓口は市区町村により異なります。
筆者もいくつかの市区町村を調査しましたが、
・税務課課税係
・総務部税務課
・企画部市税課
などの税金を扱う部署が多いようです。
該当する市区町村のWEBサイトや電話連絡などでの確認が必要となります。
3-2.罹災証明書発行の流れ
罹災証明書の発行までの流れは、先ず市区町村などへ発行申請を行います。
調査員による損壊状況調査を現地にて行い、内閣府の運用指針に基づき罹災証明書を発行してもらいます。
3-2-1.市区町村などへ罹災証明書発行申請
居住する住宅が、自然災害などで被災した場合、市区町村へ罹災証明書の発行申請を行います。
火災の場合には、当該住宅地を管轄する消防署に対して罹災証明書の発行申請を行います。

発行申請は、被災した住宅の所有者もしくは居住者が行います。
都合がつかず、代理人を立てる場合には住宅所有者もしくは居住者の委任状の提出が必要です。
3-2-2.市区町村などの調査員による損壊状況調査
罹災証明書の発行申請を行うと、市区町村などの調査員による住宅の損壊状況調査が行われます。
損壊状況調査は、内閣府が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(※2)により行われます。

通常は、住宅外観を目視により損壊状況を把握し、柱・壁などの傾きを測定します。
被災者の申し出により、外からの目視だけでは判別できない場合には、住宅内部に入り損壊状況調査を行います。
3-2-3.市区町村などが罹災証明書発行
損壊状況調査が行われますと、市区町村などの調査員が内閣府の定める上記運用指針に基づいて被害の程度を認定し、罹災証明書を発行します。
損壊状況調査から約1週間前後で罹災証明書は発行されます。
ただし、災害が大規模の場合、特に市区町村の庁舎自体が被災した場合には、発行までに1か月~3か月を要する可能性もあります。
発行された罹災証明書には、被害程度である
・「全壊」
・「大規模半壊」
・「半壊」
・「準半壊」
・「準半壊に至らない(一部損壊)」
が記載されます。
認定された被害程度に納得がいかない場合には、不服申し立てを行うことができ、再調査になる可能性もあります。
◆罹災届出証明書◆
罹災証明書発行までには、手順を踏まなければならず時間を要します。
罹災証明書が無ければ、保険金請求もできず、各種支援の申込もできません。
その様にならないために、「罹災届出証明書」発行をお勧めします。
即日無料で発行してもらえます。
罹災届出証明書があれば、
・保険金請求が可能
・各種支援の申込可能
となります。
特に大規模災害になると、罹災証明書発行までに数カ月を要することもあります。
罹災届出証明書の発行申請は大切です。
3-3.罹災証明書の記入方法
罹災証明書の交付申請書の書き方は、市区町村ごとに書式が違うため異なります。
ただし、記載内容は概ね共通しますので、主な記載項目を下表にまとめます。

4.罹災証明書発行によるメリット

罹災証明書は、様々な支援策の適用に必要となる書類です。
所有物件・賃貸物件のいずれの場合でも発行手数料は無料となります。
余裕を持った枚数の書類を持っておくことが必要です。
以下に罹災証明書が発行されると受けられる支援のいくつかを解説をします。
4-1.減税や保険料減額
被害を受けた住宅の税金や保険料の減税措置を受けることができます。
4-1-1.所得税の減税
◆確定申告する場合の必要書類◆
・罹災証明書
・損害金を証明する書類
・火災保険補填金を証明する書類
・源泉徴収票
などです。
4-1-2.県民税・市民税の減税
それぞれの税金窓口において罹災証明書を添付して減免申請書を提出します。

4-1-3.医療費の減免
国民健康保険課などへ罹災証明書を添付して減免申請書を提出します。

4-2.見舞金や支援物資の給付
具体的な見舞金額などは、市区町村の担当窓口にて確認する必要があります。
4-3.被害者生活再建支援金の給付
被災者生活再建支援金=基礎支援金+加算支援金
・基礎支援金:住宅の被害の程度に応じて支給される金額
・加算支援金:住宅の再建方法に応じて支給される金額

ただし、世帯人数が一人の場合、金額は4分の3となるなどの規定があります。
4-4.災害援護資金の貸付
無利息もしくは年利3%にて最高350万円の貸付が受けられます。
世帯主の負傷状況や住宅の損壊状況の程度、世帯人数、世帯所得に応じて貸付金額が決定されます。
ただし、都道府県内において災害救助法が適用された市町村が1以上ある場合の災害が条件となります。
4-5.金融機関による無利息融資・低金利融資
金融機関により金利や貸付額などは異なります。
利用している金融機関に確認・相談してみましょう。

5.災害復旧における支援制度

災害や被害で再建する場合、罹災証明書があれば、活用できる制度があります。
5-1.公営住宅に仮住まい
罹災証明書があれば、被害認定状況により損壊された住宅が修復され、再び住める状況になるまでの期間、優先的に公営住宅や仮設住宅に仮住まいできます。

市区町村の担当窓口に確認する必要があります。
5-2.住宅応急修理制度
ただし所得条件がありますので確認が必要です。
他の主な条件として応急修理の期間は、災害発生日から1か月以内に完了することとなっています。
住宅を修理した場合、その修理費用を確定申告時に雑損控除の損害額として経費計上することができます。
5-3.代替不動産取得での不動産取得税の減免
代替不動産を取得する前に、都道府県税事務所へ相談をし、条件などの確認をする必要があります。

6.家屋解体の注意点と業者選定方法

家屋を解体する際の注意点は、
・家屋解体費用の一部は減税対象
・家屋解体後の滅失登記
です。
6-1.家屋解体費用の一部は減税対象
家屋の解体工事にかかる費用の一部は、雑損控除の損害額として計上できます。
確定申告を行えば減税の対象となります。
また、解体工事費や解体工事による廃棄物処分費などが、助成金や補助金により減免となる可能性もあります。
市区町村の担当窓口に確認する必要があります。

6-2.家屋解体後の滅失登記
家屋を解体後、1か月以内に法務局において建物の滅失登記を行う必要があります。
滅失登記を行わないと、固定資産税・都市計画税が翌年以降にも課税されることとなります。
家屋による住宅の滅失登記には、罹災証明書が必要となります。
手続きを確認する場合は、
・法務局
・土地家屋調査士
・司法書士
などに相談しますと教示してもらえます。
6-3.解体工事業者の選定方法
解体工事業者を選択するポイントは、
・解体費用
・見積説明の対応
・近隣住民への気配り
などです。
6-3-1.解体費用
複数社から見積りを取る場合、どこまで費用が細分化されて積算計上されているかを確認します。
その様な見積書を提出する解体業者は、お断りした方が賢明です。

6-3-2.見積説明の対応
解体見積依頼を発注した依頼主に対して、工事内容や工事金額について親切・丁寧に対応してくれるか否かは、解体工事の品質にも繋がります。
解体業者の人柄・性格が、見積説明時の対応に現れます。
・要領を得ない説明
・わかりにくい説明
・質問に対して、答えになっていない説明
などの場合、その業者は避けた方が賢明です。
対応の良し悪しが、工事の良し悪しに繋がりますので、観察することが大切です。
なお、解体工事につきましては、下記の記事をご覧ください。

6-3-3.近隣住民への気配り
対応が良い解体業者は、近隣住民への気配りもきちんとできます。
解体工事が始まるまでに、近隣住民一軒一軒を回って挨拶をする解体業者は、後々トラブルを起こす可能性は低いと考えられます。

仮に解体工事期間中にトラブルが生じた場合でも、素早く対応し近隣住民のストレスが小さいうちに解消することができます。
近隣住民に対して心証を損ないますと、全ての責任が発注者側に負わされることにもなりかねません。
慎重に解体業者を見極めることが重要です。
7.まとめ
以上、
- 罹災証明書とは?
- 罹災証明書の発行条件
- 罹災証明書発行の流れ
- 罹災証明書発行によるメリット
- 災害復旧における支援制度
- 家屋解体の注意点と業者選定方法
について解説しました。
災害が発生し住宅が損壊した場合、いち早く市区町村に罹災証明書の発行手続きを取り、罹災届出証明書の即日発行をしてもらうことがポイントです。
災害の大きさによっては、罹災証明書発行までに長期間を要する場合があるためです。
罹災届出証明書さえあれば、
・保険金請求手続き
・各種支援の申込
などを素早く済ませることができます。
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9.参考・引用Webサイト
※1 「災害対策基本法」
電子政府の窓口 e-Gov
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336AC0000000223
※2 「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」
(令和2年3月)
内閣府(防災担当)
https://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/r203shishin_all.pdf
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