
著者:成毛 眞(なるけまこと) 元マイクロソフト社長
はじめに
アマゾンが営業を開始したのは、1995年です。以来、爆発的な成長を続けています。先ず、アマゾンの株価は、上場した時よりも1,252倍に上昇しています。
2015年から6月から3年間の株価の推移を見てみると、アップル、グーグル、フェイスブックはそれぞれ2倍程度上げたのですが、アマゾンだけは4倍も伸びました。
その株価を支えているのは、「キャッシュフロー経営」です。キャッシュフローは、企業活動を通じて自由に使える現金のことです。通常、企業は、この中から設備投資をし、借金を返し、利益を計上します。しかし、長期間、アマゾンは利益を計上せず、ほとんどを設備投資にばかり回しました。
アマゾンは毎年数千億円も費やして、超大型の物流倉庫や小売店を次々と建設しつづけたことになります。
アマゾンの本当の強さは、企業向けサービスにあります。
AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)とFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)がその両輪です。IT業界では、アマゾンは世界最大の企業向けクラウドサービス提供会社として認識されています。
AWSの出現により、企業はこれまで大金をかけて開発してきたサーバーを持つ必要がなくなりました。クラウド業界に革命を起こしました。
AWSの営業利益は、43億ドルに及びます。アマゾンのどの事業よりも高くなります。アマゾンは何で稼ぐ会社かと問われましたら、クラウド事業と答えるのが妥当になります。
FBAも将来的に多くの企業にとって必須のサービスとなり、ライバル企業にとっては悪夢となるサービスになります。このサービスが、アマゾンのけた外れの品揃えと安さを作っています。
FBAは、アマゾンに出品する中小企業に「インフラ」を提供します。中小企業ではとても用意できない倉庫、在庫管理、決済、配送、カスタマーサービスまでをアマゾンが代行してくれます。
FBAを利用する出品業者は、自社製品をアマゾンの倉庫に送れば、何もしなくてもよくなります。在庫管理をしてもらいながら、決済、配送まで任せることができます。
個人が新しい商品を企画した場合、設計や製造を中国企業に任せ、販売と流通はアマゾンに任せるという経営も可能になります。たった一人が何百億円というビジネスを起こすことが可能になります。
目次
プロローグ:アマゾンがなかったら生活できないかも
1章:「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは
2章:キャッシュがあるから失敗できる
3章:アマゾンで一番利益をあげているAWS
4章:アマゾンの「プライム会員」とは何なのか
5章:アマゾンからM&Aを知る
6章:巨大な倉庫と配送力で物流を制す
7章:プラットフォームの主になるには
8章:アマゾンを底ざさえするのがテクノロジー
9章:アマゾンという組織

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