日本は、世界でも有数の地震国です。
大地震が、すぐにでも発生することを想定する必要があります。
住宅の購入・新築を計画される人にとって、耐震性能は重要なポイントとなります。
耐震等級の高い住宅は、大地震発生後、
・無被害
・軽微な損傷
で済みます。
以前と変わらない生活を送ることができます。
一方、耐震等級の低い住宅は、大地震発生後、
・甚大な被害
・建替えをしないと入居不可
という状況に陥ります。
生活再建もままならない事態となります。
ここで、
「耐震等級って何なの?」
「耐震等級が高いとどれ位安心なの?」
と、お困りの方はいませんか?
実は、耐震等級は、大地震に対して安心安全に暮らせるか否かの目安となります。
この記事では、
- 耐震等級って何?
- 耐震等級を取得するメリット
- 耐震等級を取得するデメリット
- 耐震等級の決め方
- 耐震等級と耐震基準の違い
- 耐震と免震・制震の違い
について解説します。
1.耐震等級って何?
1-1.住宅性能表示制度(※1)
住宅性能表示制度は、2000年(平成12年)4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」に基づき、同年10月に運用開始された制度です。
住宅の性能を評価し、表示するための基準や手続きが定められています。
建物の耐震性能によってランクが3段階に分かれ、その数字が大きければ大きいほど、建物の耐震性能が高くなります。
建物を建てたり買ったりする際の目安になります。
1-2.耐震等級の項目
耐震等級は、地震で建物が崩壊しないよう、地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊等のしにくさを表示したものです。

項目としては、
・「構造躯体の倒壊等防止」
・「構造躯体の損傷防止」
・「その他」
となります。
それぞれの内容を下表にまとめます。

1-3.耐震等級の区分
「構造躯体の倒壊等防止」と「構造躯体の損傷防止」は、耐震等級1~3にて評価されます。
1-3-1.耐震等級1
数百年に1回は起こる可能性のある地震(震度7クラス)に対して倒壊せず、数十年に1回は起こる可能性のある地震(震度5クラス)に対して損壊しないレベルです。
現在の建築基準法は、新耐震基準となっています。
耐震等級1は、新耐震基準と同レベルです。
ただし、注意点としては、耐震等級1=新耐震基準の建物であっても、震度7クラスの地震に対して、倒壊・損壊した建物が多数発生しています。
倒壊しないと謳われていますが、実際には倒壊しています。
*新耐震基準については、下記の「5.耐震等級と耐震基準の違い」を参照してください。
1-3-2.耐震等級2
長期優良住宅の認定条件は、耐震等級2以上となります。
地震や水害などの災害時における避難所として活用される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の耐震性能を有することが、必須となります。

1-3-3.耐震等級3
住宅性能表示制度において規定された耐震性能の中では、最高レベルとなります。
震度7クラスの地震力を建物が受けたとしても、損傷は小さく、地震後においても十分に住み続けることができます。
地震や水害などの災害時における救護活動・復興活動の拠点となる警察署・消防署は、耐震等級3にて建設されることが望ましいです。

以上をまとめますと、下表の通りです。

耐震等級の数字が大きいほど、建物の耐震性は高くなり、耐震等級3が最高等級となります。
1-4.数百年に1回起こる可能性がある地震とは?
それを受けて、2000年に品確法が施行されました。

品確法が施行された後も、震度7クラスの大地震が、数回発生しています。
その度に、マンションや戸建てなどの住宅に、甚大な被害を生じさせています。
地震の学識経験者の間では、阪神・淡路大震災以降、地震の活発な活動期に入ったといわれています。
南海トラフ大地震や首都直下地震においても、「30年以内発生する確率は70%」といわれて、既に20年が経過しました。
その発生確率は、日に日に高まっています。
1-5.耐震等級はどのくらいが安心か?
耐震等級は、1~3まであります。
この選択は、施主もしくは購入者自身が選択できます。
戸建てとマンションに対する耐震等級の考え方を解説します。
1-5-1.戸建住宅
既に、国内の分譲戸建住宅販売棟数シェア1位を誇る飯田グループホールディングスは、耐震等級3を標準装備としています。
また、一条工務店は、耐震等級3の耐震基準を超え、建築基準法で定める耐震基準×2倍の住宅を開発・販売しています。

なお、一条工務店については、下記の記事をご覧ください。

1-5-2.マンション
2016年に発生した熊本地震の場合、震度7の余震が発生した1週間後に、震度7の本震が発生しました。
「数百年に1回起こる可能性がある大地震」が、1週間で2度発生したことになります。
さすがに2度目の震度7を観測した本震により、耐震等級2以下のマンションの多くが倒壊しました。
しかし、耐震等級3の評価を有するマンションは、倒壊せずに耐えていたことを、マスコミ各社は報道しました。

2.耐震等級を取得するメリット
2-1.メリット1:地震保険の割引制度
耐震等級を取得することによるメリットは、地震保険の割引制度を利用できることです。
地震保険には、耐震等級割引があります。
例えば、耐震等級3の住宅の場合、保険料が50%割引となります。

2011年に発生した東日本大震災におきまして、耐震等級3の住宅は、地震による被害を軽微なものに抑えることができました。
その結果、
- 2014年6月30日までは、耐震等級3の住宅の場合、保険料が30%割引まで
- 2014年7月1日以降は、耐震等級3の住宅の場合、保険料が50%割引まで向上
となりました。
なお、火災保険については、下記の記事をご覧ください。

2-2.メリット2:住宅ローンの金利が優遇
フラット35を利用する場合、耐震等級2・3を取得すれば、優遇プランであるフラット35Sを利用することができます。
- 耐震等級2を取得:借入返済当初5年間に亘り、借入金利から0.25%割引
- 耐震等級3を取得:借入返済当初10年間に亘り、借入金利から0.25%割引
のメリットがあります。

2-3.メリット3:贈与税の非課税枠が拡大
耐震基準2・3を取得しますと、非課税枠が拡大される良質な住宅用家屋となります。
一般住宅の非課税枠に対して、最小と最大の金額に500万円の増額となります。

3.耐震等級を取得するデメリット
3-1.デメリット1:建築費・購入費が高い
高い耐震等級を取得する場合、下記の工事などを行います。
- 壁量を増加・強化:筋交いを増やし、構造用合板や耐力面材を使用
- 屋根と床の軽量化・強化:軽い屋根材を使用し、振動を抑える処置
床に構造用合板を使用 - 基礎の強化:ベタ基礎を採用し、コンクリートを厚く設定
- 梁の強化:強度の高い集成材などを使用、金物工法により木材加工の減少
- 接合部の強化:柱と梁の接合部に接合金物を取付け

(コンクリートを厚く設定)
そのため、建築費・購入費は高くなります。
特に、耐震等級3を取得する場合、
・構造計算費用:数十万円
・住宅性能評価書の取得費用:10万円~20万円
が、別途必要になります。
3-2.デメリット2:住宅のデザインに制約
高い耐震等級を取得する場合、間取りや開口部などの制約を受け、デザインに影響を及ぼす可能性があります。
建物の耐震性を考慮する場合、
- 建物は、重量が軽いほど耐震性が良い。
- 耐力壁の量は、多いほど耐震性が良い。
- 耐力壁や耐震金物は、バランス良く配置されているものほど耐震性が良い。
- 上階の外壁と下階の外壁とが揃うと、耐震性が良い。
という基本原則があります。
これらの基本原則を優先しますと、デザインは制約を受けます。
4.耐震等級の決め方
耐震等級は、メリット・デメリットを総合的に鑑みて、自身で決めます。
決して、設計者や施工会社などが決めることではありません。
- 耐震性重視で住宅を購入・建築したいのであれば、耐震等級3の取得となります。
- 価格を抑えたい考えであれば、耐震等級1の取得となります。
- 耐震性・価格の両方を満たしたいのであれば、耐震等級2の取得となります。
5.耐震等級と耐震基準の違い
耐震基準には、1981年(昭和56年)6月1日を境として、旧耐震基準と新耐震基準があります。

旧耐震基準は、震度5強程度の揺れに対して、建物が倒壊しない構造基準として規定されました。
一方、新耐震基準は、震度6~7程度の揺れに対して、建物が倒壊しない構造基準として規定されました。
地震力が加わった場合、構造部材に生じる応力が許容応力度以内であることが求められます。
また、一定規模以上の建物の場合、靭性(粘り強さ)も求められます。
現在の建築基準法の耐震基準は、新耐震基準です。
注意点は、1981年6月1日以降に着工した建物であっても、同年5月31日までに建築確認の適用を受けた場合、旧耐震基準となります。
耐震等級と耐震基準とを比較しますと、
となります。
6.耐震と免震・制震の違い
耐震と似た用語として免震、制震があります。
それぞれの違いを下表にまとめます。

7.まとめ
以上、
- 耐震等級って何?
- 耐震等級を取得するメリット
- 耐震等級を取得するデメリット
- 耐震等級の決め方
- 耐震等級と耐震基準の違い
- 耐震と免震・制震の違い
について解説しました。
耐震等級は高いほど、耐震性能は向上し、様々な優遇ポイントを享受できます。
今後、発生が予測される大地震を考慮しますと、耐震等級3を取得しておきたいところです。
しかし、建築価格も上がります。
そこの折り合いをどの様にして決めるかは、何に重点を置くかにより変わります。
しかし、大地震が発生して住宅に甚大な被害を受ければ、元も子もなくなります。
8.お役立ち情報案内
不動産に関するお役立ち情報を案内します。
ご活用ください。
8-1.【タウンライフ家づくり】間取りプラン無料作成
◆サービス概要◆
- 全国1,000社以上の注文住宅会社があなたの要望や希望に基づいて、家づくりに必要な
「間取りプラン」
「資金計画」
を無料でご提案するサービスです。 - ネットで簡単に複数の住宅会社に、オリジナルの「家づくり計画書」を依頼することができます。
◆メリット◆
- 住宅展示場に行ったり、何度も複数の住宅会社に会わなくても、自宅で家づくりが進められる!
- 複数社のプランを比較・検討できる!
- 利用は全て無料!
なお、「タウンライフ家づくり」については、下記の記事をご覧ください。

8-2.【タウンライフ不動産売買(購入)】
◆サービス概要◆
全国300社以上の不動産会社があなたの要望や希望に基づいて、マッチする物件情報を無料で提供するサービスです。
ネットで簡単に、複数の不動産会社の非公開物件情報が手に入ります。
◆メリット◆
- 非公開を含む新着物件情報が受け取れる!
- 複数社の物件情報をを比較・検討できる!
- 利用は全て無料!
8-3.国家資格を目指す方のためのオンライン資格講座【スタディング】
◆サービス概要◆
- 【時間がなくてもOK】
スマホ・PC・タブレットで学べるため、日々忙しく勉強時間の取りづらい社会人・主婦・学生などの方に向いています。
低価格で経済的負担も少ないです。 - 【見やすく分かりやすい】
授業風景を録画しただけなのではなく、映像講座として専用のフォーマットで編集された講座は、視覚的で理解しやすいと好評です。 - 【暗記力に自信がなくてもOK】
脳科学に基づき暗記を補助する便利なツールや、記憶が消えないうちに定着を促進する問題練習機能も充実しており、無理なく進めて合格できる実力がつきます。
9.参考・引用Webサイト
※1 「新築住宅の住宅性能表示制度」
住まいの情報発信局
監修:国土交通省住宅局住宅生産課
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/070628pamphlet-new-guide.pdf
10.住宅建築関連記事







コメント