区分マンションを売却する際、居住する住戸もさることながら、共用部分に損傷・劣化が無く、綺麗・清潔に保たれていることは大切です。
将来、売却する上で重要なポイントとなるからです。
ここで気になるのが、管理費・修繕積立金です。
「管理費は、有効に使われているのだろうか?」
「修繕積立金は、建物価値向上に活かされているのだろうか?」
と、疑問に感じることはありませんか?
実は、チェック体制が甘いと、管理費・修繕積立金が有効に活かされていないケースがあります。
この記事では、
- 入居者の住み心地を支える管理費
- 共用部分の修繕を支える修繕積立金
- 修繕積立金が不足気味
について解説します。
管理費と修繕積立金の内訳・使途を点検・確認することにより、無駄な出費を省くことができ、対応策を早期に取ることができます。
1.区分マンション売却:入居者の住み心地を支える管理費
一般的に管理費の集金は、管理組合が管理会社に業務委託します。
区分所有者は、管理費を管理会社を通して管理組合に毎月支払います。
1-1.管理費の内訳・使途
管理費の主な内訳・使途は、下記の通りです。
- 共用部分の清掃・ゴミ処理
- 共用部分の水道光熱費
・エレベーター・受水槽稼働の電気代
・照明の電気代 ・清掃の水道代、など - 共用部分の火災保険料・損害保険料
- 共用設備の保守点検・維持管理
・エレベーター・受水槽の点検
・照明電球交換、など - 共用部分のセキュリティ費用(24時間監視システムなど)
- 共用部分の植栽の維持管理(水やり、剪定)
- 管理業務委託費:管理会社への支払い
・管理員、コンシェルジュ(窓口秘書業務)などの人件費
・総会議事録作成、など - 管理組合の運営費
1-2.管理費に対する管理会社へのチェック体制
ここでの注意点は、管理会社が上記業務を確実にこなしているかどうかの管理組合のチェック体制です。
実際に、設備の点検・確認、維持・管理などを何も行わず、さも業務したかのように報告をする悪質な管理会社もあります。
また、分譲マンションの中には、区分所有者の出席率の悪い総会が多々見受けられます。
その盲点をついて、管理会社が必要もない機械設備を導入することにより、そのランニングコストを管理費として請求する管理会社もあります。
【事例1】
筆者は、投資用の区分マンションを購入した年の総会に参加した時、区分所有者の出席者は、40戸中2人だけでした。
その際、提出された会計報告書の中身を吟味しました。
すると、何の役にも立たない高価な機械設備とシステムが導入されています。
そのランニングコストも毎月高額なものでした。
そのことを管理会社に追及したところ、筆者が区分マンションを購入前の総会時において決議されており、今さら変更はできないということでした。
その当時の総会での区分所有者の出席者は1人だけ。
おそらく、その出席者とも根回しを図った上での工作と思われます。
総会はマンションの意思決定機関ですが、区分所有者の出席率が悪いと、【事例1】の様に、管理会社に悪用される可能性があります。
2.区分マンション売却:共用部分の修繕を支える修繕積立金
修繕積立金は、マンション分譲会社が分譲前に作成した「長期修繕計画」に基づき算出された金額です。
一般的に修繕積立金の集金は、管理費と同様に、管理組合が管理会社に業務委託します。
区分所有者は、修繕積立金を管理会社を通して管理組合に毎月支払います。
2-1.修繕積立金の内訳・使途
修繕積立金の主な内訳は下記の通りです。
- 外壁の修繕工事:タイル張替、吹付塗装、など
- 屋根・屋上の修繕・防水工事
- 共用部分の廊下・階段の修繕・防水工事
- 給排水管の修繕工事:受水槽、給水管、排水管、など
- エレベーターの修繕・取替工事
2-2.修繕積立金に対する管理会社へのチェック体制
ここでの注意点は、管理組合が管理会社を通して工事会社に大規模修繕工事を委託する場合です。
管理会社は、大規模修繕工事を発注する見返りとして、リベート料を工事会社に対して要求している可能性が、意外と高いことです。
中には4割ものリベート料を取る管理会社もあります。
【事例2】
マンション管理組合が、3,000万円の大規模修繕工事を、管理会社を通して工事会社に発注するとします。
悪質な管理会社の中には、3,000万円の4割に当たる1,200万円をリベートとして受け取り、実際の工事費は、1,800万円というケースがあります。
これでは、区分所有者が、何のために修繕積立金を払っているのか、わからなくなります。
決して、管理会社にリベートを支払うためではありません。
ここでも、区分所有者は、マンション意思決定機関である総会に必ず出席し、大規模修繕工事を行う前に、点検・確認することが大切です。
そうすることで、管理組合のチェック体制を強化する必要があります。
欠席することによる代償は、大きなものとなります。
3.区分マンション売却:修繕積立金が不足気味
修繕積立金の現在の状況について解説します。
3-1.修繕積立金の積立方式
現在の修繕積立金の積立方式は、
・均等積立方式:41.4%
・段階増額積立方式が43.4%
となっています。
完成年次別内訳をみますと、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式となっている割合が多くなります。
段階増額積立方式の採用により、初期段階の修繕積立金は少額となります。
築年数が長くなるほど、修繕積立金は、増加し続けます。
3-2.月/戸当たり修繕積立金の額
マンションの月/戸当たり修繕積立金の平均は、年々下がっています。
この要因は、均等積立方式から段階増額積立方式へ移行する割合が増加したことによります。
結果として、修繕積立金の不足に繋がります。
3-3.現在の修繕積立金の状況
修繕積立金の積立額が、長期修繕計画に基づく修繕積立金の積立額と比較して、不足しているマンションは全体の34.8%になります。
不明の割合が31.4%もあるため、不足している割合はもっと増えます。
その対策として、
- 区分所有者から一時金の徴収
- 管理組合がリフォームローンの借入
→ 区分所有者が追加でローン返済
などが取られています。
3-4.長期修繕計画の見直し
長期修繕計画の見直し時期は、
- 5年ごとを目安に定期的に見直している:56.3%
- 修繕工事実施直前に見直しを行っている:12.5%
- 修繕工事実施直後に見直しを行っている:10.1%
となっています。
一方、見直しを行っていないマンションの割合は5.7%となっています。
4.まとめ
以上、
- 入居者の住み心地を支える管理費
- 共用部分の修繕を支える修繕積立金
- 修繕積立金が不足気味
について解説しました。
管理費・修繕積立金は、
・将来、区分マンションを高値で売却
・長く快適に住み続ける住環境整備
を図る上で重要な原資となります。
そのためにも、総会に必ず出席して、会計報告書の内容の吟味や点検、確認が重要になります。
また、修繕積立金が不足している場合、決して放置することなく、長期修繕計画の見直しや工事会社の見直しなどの対策が必要です。
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※1 「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」 国土交通省住宅局
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