アパート経営を計画・検討する場合、ソフト・ハード両面の様々な基礎知識が必要になります。
「ソフト面・ハード面の基礎知識として、具体的に何を身につければよいのだろうか?」
と、お悩みの方はいませんか?
実は、
ソフト面(経営の基礎知識)としては、
・立地
・利回り
・必要経費
・税金
・金融機関融資
・建物管理
・入居者管理
などがあります。
ハード面(建物の基礎知識)としては、
・建築構造
・建築計画(間取りなど)
・建築設備
・建築工事費相場
・建築法規
などがあります。
この記事では、ハード面(建物の基礎知識)について、
- 建築構造
- 建築工事費
- 間取り
- 人気設備
について解説します。
ターゲットとする入居者層に相応しい建築構造や間取りを選択することにより、立地に最適なアパート経営を行うことができます。
1.アパート経営における建物の基礎知識:建築構造

アパート建築構造には、
・木造(W造)
・鉄骨造(S造)
・鉄筋コンクリート造(RC造)
の3種類があります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
1-1.木造

木造は、日本古来からの建築構造であり、神社仏閣・城郭などで高い技術を培ってきました。
法隆寺のように1,300年以上も経過している建築物もあります。

現在でも一番採用されている建築構造であり、全住宅に占める木造の割合は、令和4年時点で67%になります。
木造建物の階数は、一般的に3階建てまでとなります。
平均寿命は30年が目安となりますが、
・柱を太くしたり、柱配置を上下階で揃えるなどの構造的配慮を行う
・リフォームなどの維持管理をマメに行う
場合、建物寿命は延びます。
しかし、30年以上経過しますと、
・大規模リフォーム
・建替え
・新たな物件を購入
する傾向にあります。
木造のメリット・デメリットを下表にまとめます。

木造の詳細については、下記の記事をご覧ください。

1-2.鉄骨造(S造)

鉄骨造は、骨組みに鉄骨を使用した構造物で、S(Steel)造ともいわれます。
国税庁の定める法定耐用年数から、
・鋼材の厚みが4mm以上の場合:「重量鉄骨造」
・鋼材の厚みが4mm未満の場合:「軽量鉄骨造」
となります。
ただし、一般的には、
・鋼材の厚みが6mm以上の場合:「重量鉄骨造」
・鋼材の厚みが6mm未満の場合:「軽量鉄骨造」
いわれていますが、出所や根拠が不明確です。
建築基準法にも重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いは、明記されていません。

組立て方は、「ラーメン構造」といい、建物の重量を柱と梁で支える工法です。
柱と梁の接合部が剛接合になっており、耐久性に優れることや、建築後の間取り変更もある程度自由になります。
鉄骨造のメリット・デメリットを下表にまとめます。

鉄骨造の詳細については、下の記事をご覧ください。

1-3.鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造は、主要構造部である柱や梁・床・壁・屋根、階段が鉄筋とコンクリートによって構成された構造です。
現地において鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものです。
コンクリートは、
・セメント
・水
・細骨材(砂)
・粗骨材(砂利)
・混和材料
から構成されています。
鉄筋コンクリート造の特徴は、2種類の建材である鉄筋とコンクリートの組合せで建物に必要な強度を出します。
それを可能としたのは、
鉄筋とコンクリートの線膨張係数が同じであることです。
そのため、鉄筋コンクリートの温度が上昇し、鉄筋とコンクリートが膨張する際、同じ割合でそれぞれ膨張します。
その特性により、両者の組み合わせが可能となります。
鉄筋とコンクリートの性質を下表にまとめます。

鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートのそれぞれの長所を活かし、短所を補い合う建材で、様々なメリットがあります。
熱に弱い鉄筋を熱に強いコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守ります。
引張力に弱いコンクリートを引張力に強い鉄筋で補います。
逆に、圧縮力に弱い鉄筋を圧縮力に強いコンクリートが補います。
鉄筋コンクリート造のメリット・デメリットを下表にまとめます。

鉄筋コンクリート造の詳細については、下記の記事をご覧ください。

1-4.建築構造別の比較
建築構造別の性能や法定耐用年数などについて解説します。
1-4-1.建築構造別の性能比較
建築構造別の各種性能を比較しますと下表の通りです。
立地・想定入居者層・想定家賃・建築予算などを総合的に勘案しての建築構造の選択が重要です。

ただし、上記性能は一般論であり、施工会社により品質の優劣が生じます。
例えば木造であっても、
・耐震性
・耐火性
・防音性
・気密性
において、鉄筋コンクリート造と同様な性能を発揮させる施工会社もあります。
1-4-2.建築構造別の耐用年数
資産ごとに法律で定められた「法定耐用年数」があります。

国税庁の定める法定耐用年数は、昭和40年代に定められたものです。
当時の技術水準で規定された耐用年数ですので、半世紀以上経過した現在と比較しますと、技術水準は格段に上がっています。
実際の耐用年数は、上記耐用年数に10年~15年プラスしても問題ありません。
法定耐用年数については、規制緩和の対象にするべき項目です。
2.アパート経営における建物の基礎知識:建築工事費

国土交通省が発行する「建築着工統計調査報告」(平成30年度分)において、2013年~2022年までの10年間、建築構造別坪単価の推移を下表にまとめます。
西 暦 | 鉄筋コンク リート造 | 鉄骨造 | 木 造 |
2013年 | 62.3 万円/坪 | 67.3 万円/坪 | 53.0 万円/坪 |
2014年 | 68.4 万円/坪 | 69.4 万円/坪 | 54.0 万円/坪 |
2015年 | 75.4 万円/坪 | 72.3 万円/坪 | 54.7 万円/坪 |
2016年 | 76.7 万円/坪 | 73.3 万円/坪 | 55.0 万円/坪 |
2017年 | 80.6 万円/坪 | 75.1 万円/坪 | 55.3 万円/坪 |
2018年 | 80.2 万円/坪 | 76.7 万円/坪 | 55.9 万円/坪 |
2019年 | 82.4 万円/坪 | 79.2 万円/坪 | 56.3 万円/坪 |
2020年 | 86.0 万円/坪 | 82.0 万円/坪 | 56.8 万円/坪 |
2021年 | 87.5 万円/坪 | 84.1 万円/坪 | 56.9 万円/坪 |
2022年 | 90.0 万円/坪 | 88.3 万円/坪 | 58.0 万円/坪 |
どの建築構造も年々建築坪単価が上昇し、2022年時点で
・木 造 :58.0万円/坪
・鉄骨造 :88.3万円/坪
・鉄筋コンクリート造:90.0万円/坪
となります。
地域差が、かなりありますので、注意が必要です。
建築用途別の建築坪単価の推移については、下記の記事をご覧ください。

3.アパート経営における建物の基礎知識:間取り

アパート建築を行う場合、
・立地や周辺環境
・想定入居者層
・近隣の競合アパート
などにより、ニーズの高い間取りを計画することが重要となります。
また、ニーズが高くても既に供給過剰の状態であれば、供給不足の間取りを調査・検討することも必要になります。
想定入居者層が社会人の場合でも、
・女性向けに設定するのか
・若手の社会人向けに設定するのか
によっても設備・器具などの差別化が求められます。
マーケティングの基本であるペルソナ(*1)を明確にすることが、高い入居率を維持する秘訣ともいえます。
*1 ペルソナ:商品やサービスを利用する顧客の中で、最も重要な人物モデルのこと。
3-1.入居者層別の間取り
想定入居者層別の間取りの目安を下表にまとめます。
特に設備・器具の配慮が重要になります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合、部屋内での
・柱の出っ張り
・梁による下がり天井
に注意が必要です。

柱や梁の出っ張りにより、
・家具が入らない
・照明により梁の影が生じる
などのトラブルがあります。

3-2.主な間取り
アパート建築の主な間取りとなる1K、2LDK、3LDKの間取り図面は下図の通りです。

各間取りの専有面積の設定は、下表の通りです。
立地条件に則した間取りと専有面積の設定が重要です。
間取り | 専有面積 |
1K | 20㎡~30㎡ |
2LDK | 50㎡~70㎡ |
3LDK | 60㎡~80㎡ |
4.アパート経営における建物の基礎知識:人気設備

毎年「入居者に人気の設備ランキング」を全国賃貸住宅新聞社が発表しています。
全国の不動産管理会社を対象に、同社が「この設備があれば家賃が高くても入居が決まる!?」を独自で調査・集計してランキングしたものです。
4-1.単身者向け
単身者向け人気設備ランキング上位10位までを下表にまとめます。

(出所:全国賃貸住宅新聞社)
4-2.ファミリー向け
ファミリー向け人気の設備ランキング上位10位まで下表にまとめます。

(出所:全国賃貸住宅新聞社)
2016年~2022年までの7年間、インターネット無料が、単身者向け・ファミリー向け共に1位を独占しています。
・エントランスのオートロック
・宅配ボックス
が、上位を占めてきました。
新たな人気設備として、
・単身者向け :高速インターネット
・ファミリー向け:システムキッチン
などが上位に上がってきています。

インターネット無料は単身者向け、ファミリー向け両方のアパート建築に不可欠といえます。
5.まとめ
以上、
- アパート経営における建物の基礎知識:建築構造
- アパート経営における建物の基礎知識:建築工事費
- アパート経営における建物の基礎知識:間取り
- アパート経営における建物の基礎知識:人気設備
について解説しました。
最近の入居者は、特に設備の充実度を検索して、アパートを選択する傾向にもあります。
したがって、必要最低限の設備の導入は不可欠といえます。
特に、インターネット無料と宅配ボックス、エントランスのオートロックを完備しますと、入居者付けは、し易くなります。
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※1「耐用年数(建物/建物付属設備)」 国税庁
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