アパートやマンションの新築を検討する際、
「建築構造を木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のどれにすれば良いのだろうか?」
と、迷われている方はいませんか?
実は、各構造の特徴やメリット・デメリットを把握しますと、立地に適した構造を見分けることができ、利益の最大化を図ることができます。
この記事では、木造建物を取り上げ、
- 木造アパートの特徴とメリット・デメリット
- 木造アパートの建築費
- 木造アパートの期待できる利回り
- おすすめのエリア、土地の情報
について解説します。
1.木造アパートの特徴とメリット・デメリット

木造建築の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
1-1.木造建築の特徴
木造は、昔から造られてきた建築構造で、神社仏閣・城郭などで高い技術を培ってきました。
中には法隆寺など、1,300年以上も経過している建造物もあります。

徐々に割合は減少していますが、現在でも一番採用されている建築構造です。
平成30年時点での住宅における木造の割合は56.9%です。(※1)

全国(昭和53年~平成30年)(※1)
ただし、住宅の建て方・構造別割合になりますと、
・長屋建の木造割合は、 67.7%
・共同住宅の木造割合は、12.5%
となります。(※1)

全国(平成30年)(※1)
木造物件の階数は、一般的に3階建てまでとなります。
平均寿命は概ね30年ですが、リフォームなど手を加えれば、寿命は延びます。
しかし、30年以上経過しますと、手を加えずに建て替えるか、新たな物件を買い求める傾向にあります。

現在、木造と鉄骨造のハイブリッド構造が出現し、高層ビルの建築も可能となっています。
1-2.木造建築のメリット
木造建築のメリットについて解説します。
1-2-1.メリット1:経済性に優れる
他の構造(鉄骨造、RC造)と比較して、建築費用は安くなります。
建材が安くて重量が軽く、基礎にかかる工事費用も比較的安くなります。
毎年かかる必要経費の一部である固定資産税・都市計画税も安くなります。
価格が安い分、利回りは良くなり、不動産投資の初心者の場合、始めやすい構造ともいえます。
1-2ー2..メリット2:狭小地・変形地に対応しやすい
木造軸組工法は、日本古来からの建築工法ですが、狭小地・変形地に対応しての建築が可能です。
また、他の構造と比較して、敷地までの道路幅員が狭くても、2トン車での資材の搬入・搬出が可能です。
敷地や道路に対する対応力は、高い構造といえます。
1-2-3.メリット3:リノベーションし易い
主要構造物である柱や梁の抜き差しが可能となるため、軸組工法の場合、大幅なリノベーション(増築や間取り変更)が可能となります。

1-2-4.メリット4:通気性
住戸内の天井裏や床下の通気性が良くなりますと、空気循環してジメジメしにくくなり、カビやダニの発生を抑止する効果があります。

建物にとっても換気を良くすることは、長持ちすることに繋がります。
建物にも呼吸が必要です。
1-3.木造建築のデメリット
木造建築のデメリットについて解説します。
1-3-1.デメリット1:防音性・遮音性は落ちる
物件の外部からの音が住戸内に入りやすくなります。
また、住戸内の音が外(隣部屋・階下)に漏れやすい構造となります。
1-3-2.デメリット2:耐火性・耐震性は落ちる
他の構造と比較しますと、燃えやすい建材で主要構造部が形成されますので、耐火性は劣ります。
また、耐震性も劣ります。

1-3-3.デメリット3:耐水性は落ちる
ここ数年、台風などの巨大化による豪雨・洪水・強風・高潮などの災害が、甚大化しています。
特に、洪水・高潮による水害に対して、木造は弱くなります。

1-3-4.デメリット4:気密性は落ちる
通気性と表裏の関係になりますが、他の構造と比較しますと、気密性が落ちます。
特に冬場は、住戸内が寒くなりがちです。
以上、木造建築のメリット・デメリットをまとめますと、下表の通りです。
メリット | デメリット |
経済性に優れる | 防音性・遮音性は落ちる |
狭小地・変形地に 対応し易い | 耐火性・耐震性は落ちる |
リノベーションし易い (間取り変更など) | 耐水性は落ちる |
通気性に優れる | 気密性は落ちる |
2.木造アパートの建築費

国土交通省が発行する「建築着工統計調査報告」において木造坪単価の推移は下表の通りです。(※2)
年々坪単価が上昇しており、2021年時点では56.9万円/坪です。
西 暦 | 木造物件の建築坪単価 |
2013年 | 53.0万円/坪 |
2014年 | 54.0万円/坪 |
2015年 | 54.7万円/坪 |
2016年 | 55.0万円/坪 |
2017年 | 55.3万円/坪 |
2018年 | 55.9万円/坪 |
2019年 | 56.3万円/坪 |
2020年 | 56.8万円/坪 |
2021年 | 56.9万円/坪 |
2022年 | 58.0万円/坪 |
(全国平均)(※2)
他の構造と比較すると一番経済的な構造となり、建築価格は安くなります。
なお、建築用途・建築構造別の建築坪単価については、下記の記事をご覧ください。

3.木造アパートの期待できる利回り

利回りには、
・表面利回り
・実質利回り
・ROI(投資収益率)
などがあります。
通常、不動産会社の店頭やWEBサイトに表示される利回りは表面利回りです。

3-1.表面利回り
表面利回りの計算式は下記の通りです。
注意点としては、表面利回りだけでは、利益が出ているのか否かが不明です。
3-2.実質利回り
表面利回りの計算式に、
- 必要経費
・管理費
・固定資産税
・水道光熱費、など - 建築時諸経費
・測量費
・明示費
・設計費
・ローン事務費、など
を加味した計算結果が、実質利回りとなります。
表面利回りよりは精度が高くなりますが、ローン返済額は考慮されていません。
実質利回りは、全額自己資金で賄えた場合の利回りと言い換えることもできます。
概算で実質利回りを計算したい場合には、
- 必要経費は、満室賃料の約20%
- 建築時諸経費は、建築価格の約7%
となり、その数値を計算式に入力します。
ただし、
・EVが無い場合
・一括借り上げで無い場合
です。
3-3.ROI(投資収益率)
実質利回りの計算式に、ローン返済額を加味した計算結果が、ROIとなります。
特に不動産投資において大切な利回りは、ROIです。
損益分岐点が明確だからです。

なお、利回りの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。

3-4.利回りの使い方
表面利回り・実質利回りは、建築条件などを色々変えて検討し、あくまでも目安として使用します。
ROIは、資金計画(融資額・融資期間・金利)などを色々変えて検討し、決め手として使用します。
3-5.事例
ある木造アパートを事例として、表面利回り・実質利回り・ROIを計算してみます。
条件設定は、下記の通りです。
項目 | 内容 |
構造・規模 | 木造2階建て8戸 |
間取り | 1K25㎡ |
建築価格 | 5,600万円 |
建築時諸経費 | 400万円 (建築価格の約7%) |
総建築価格 | 6,000万円 |
月額家賃 | 6万円/戸・月 |
年間満室賃料 | 576万円/年 |
必要経費 | 115万円/年 (年間賃料の約20%) |
自己資金 | 1,000万円 |
金融機関融資 | 5,000万円 |
金利 | 3% |
融資期間 | 30年 |
年間ローン 返済額 | 253万円/年 |
表面利回り=576万円÷5,600万円×100=10.3%
実質利回り=(576万円―115万円)÷(5,600万円+400万円)×100=7.7%
ROI=(576万円―115万円―253万円)÷(5,600万円+400万円)×100=3.5%
利回りの種類により、数字は全然違ったものとなることがわかります。
この木造アパートの投資判断は、ROIが3%以上出ており、「良」となります。
3-6.投資判断利回り
利回りに影響を及ぼすのは、年間家賃と建築価格です。
家賃は、大都市中心部であると高くなり、地方都市であると安くなります。
建築価格は「3-5.事例」の場合、建築価格の基になる木造坪単価は、全国平均の坪単価を使用しています。
大都市中心部になると、価格はさらに高くなり、地方都市になると価格は安くなります。
投資判断利回りを筆者の経験や大家仲間の情報、不動産投資成功者のブログ情報などに基づきますと、
・大都市部で表面利回り:約8%
・地方都市で表面利回り:約10%
以上確保できませんと、キャッシュフロー(手残り額)は出ません。
なお、キャッシュフローの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。

4.おすすめのエリア、土地の情報
人口が比較的少ない地方都市ですと、入居候補者の母数が小さくなりますので、戸数(2戸~10戸)を少なくして建てるには適しています。
また、家賃設定や必要経費を安く設定せざるを得ない地域においても適しています。
さらに、木造住宅の特徴の一つとして、3階建てまでとなりますので、高さ制限が厳しく設定されている住居系の用途地域には適します。

逆に、家賃設定が高く設定できる地域では、入居者が、
・防音性
・遮音性
・耐火性
・耐震性
などを要求してきますので、鉄筋コンクリート造の方が適します。
5.まとめ
以上、
- 木造アパートの特徴とメリット・デメリット
- 木造アパートの建築費
- 木造アパートの期待できる利回り
- おすすめのエリア、土地の情報
について解説しました。
一方、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のアパート・マンションと比較しまして、住環境は劣る分、高級志向の地域では不利となります。
また、鉄筋コンクリートのマンションが建ち並ぶ地域で木造アパートを建てる場合は、家賃設定をかなり抑える必要があります。
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7.出所
※1 「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」(平成31年4月26日)
総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf
※2 「建築着工統計調査報告」(平成30年度分) 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000830.html
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