アパートやマンションの新築を検討されている場合、
「建築構造を木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のどれにすれば良いのだろうか?」
と、お悩みの方はいませんか?
実は、各構造の特徴やメリット・デメリットを把握しますと、立地に適した構造を見分けることができ、利益の最大化を図ることができます。
この記事では」、鉄筋コンクリート造(RC造)を取り上げ、
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の特徴
- マンション経営における鉄筋コンクリート造のメリット・デメリット
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の建築費
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の減価償却
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の利回り
- マンション経営における鉄筋コンクリート造のお勧めエリア
について解説します。
1.マンション経営における鉄筋コンクリート造の特徴


写真2.鉄筋の周りを型枠材で囲んだ様子(右側写真)
コンクリートは、
・セメント
・水
・細骨材(砂)
・粗骨材(砂利)
・混和材料
から構成されます。
コンクリートの中に占める割合を体積で比較しますと、最も多く入っているのが粗骨材(砂利)です。
次いで、
・細骨材(砂)
・水
・セメント
・混和材料
の順になります。
鉄筋コンクリート造の特徴は、2種類の建材である鉄筋とコンクリートの組合せで建物に必要な強度を出している点です。
鉄筋とコンクリートの性質を下表にまとめます。

鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートのそれぞれの長所・短所を補い合う建材で、様々なメリットがあります。
- 熱に弱い鉄筋を、熱に強いコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守ります。
- 引張力に弱いコンクリートを、引張力に強い鉄筋で補います。
- 逆に、圧縮力に弱い鉄筋を、圧縮力の強いコンクリートが補います。
鉄筋とコンクリートが一緒に使用されている最大の理由は、鉄筋とコンクリートの線膨張係数が同じであることです。
そのため、鉄筋コンクリートの温度が上昇し、鉄筋とコンクリートがそれぞれ膨張する際、同じ割合で膨張します。
よってずれが生じないため、構造的強度は損なわれなくて済みます。
2.マンション経営における鉄筋コンクリート造のメリット・デメリット

鉄筋コンクリート造のメリット・デメリットを下表にまとめます。

2-1.鉄筋コンクリート造のメリット
鉄筋コンクリート造のメリットについて解説します。
2-1-1.メリット1:耐震性に優れる
圧縮力と引張力の両方を兼ね備えた構造であるため、耐久性は高くなります。
木造軸組工法は、柱と梁で強度を保ち、鉄骨造も柱と梁で強度を保ちます。
鉄筋コンクリート造は、柱と梁以外に壁・床にも耐力を持たせるため(耐力壁、耐力床)、耐震性に優れます。
他にも地震に対して様々な処置(耐震装置、免振装置、制震装置)が施されますが、それらを下表にまとめます。

2-1-2.メリット2:耐火性に優れる
鉄筋コンクリートを構成するコンクリートは、熱に強い建材であり、熱に弱い鉄筋を火事から守ります。
鉄筋の周りをコンクリートで覆いますので、結果として鉄筋コンクリート造は、耐火性に優れます。

2-1-3.メリット3:防音性・遮音性に優れる
遮音性は、重い材料を使用するほど高くなります。
鉄筋コンクリートは重量があるため、高い遮音性を有しますす。
特に低音を遮断するため、住戸内にシアタールームを造り、サラウンドスピーカーを設置しても低音ならば大丈夫です。

*サラウンド:一般的に5つ以上のスピーカーを使用して、聞き手の周りに設置し、前からも後ろからも音に囲まれるような音場のこと。
2-1-4.メリット4:耐水性に優れる
台風の巨大化による豪雨・洪水・高潮などの浸水被害が増加し、建物の損傷も増加しています。

鉄筋コンクリート造は柱・梁・壁・床いずれも強度を持つ構造体であるため、耐水性にも優れます。
また、重量があるため、木造のように、浸水により流される心配はありません。
2-2.鉄筋コンクリート造のデメリット
鉄筋コンクリート造のデメリットについて解説します。
2-2-1.デメリット1:経済性は落ちる
鉄筋コンクリート造は、木造や鉄骨造と比較すると、建築坪単価は一番高い構造となります。
また、解体費用も一番高くなります。

なお、解体工事については下記の記事をご覧ください。

2-2-2.デメリット2:通気性は落ちる
鉄筋コンクリート造は、通気性に落ちます。
逆に気密性が高くなり、換気がしにくくなります。
冬に長時間の暖房をしますと、窓の外側と内側の温度差により結露が発生しやすくなります。

水滴が付いたままの状態を放置しますと,カビが発生して室内環境が悪化します。
2-2-3.デメリット3:大幅な改装ができない
木造軸組工法や鉄骨造のラーメン構造は柱と梁で建物を支えているため、建築後でも壁を取り払っての大幅な改装ができます。
鉄筋コンクリート造は、柱・梁・壁・床で建物を支えているため、耐力壁になっている場合には、壁を取り払うことができません。
したがって、2住戸を1住戸に改装することはできません。
あくまでも住戸内でのリノベーション(間取り変更など)に限定されます。
2-2-4.デメリット4:建築工期が長い
鉄筋コンクリート造は、現場施工になる割合が大半となります。
特にコンクリートを型枠内に流し込む作業は、雨天時にはできませんので、工程は天候に左右されます。

概ねの工事期間は、階数+3か月が目途となります。
3階建ならば工期は6か月、4階建ならば工期は7か月、5階建ならば工期は8か月となります。
建物階数 | 建築工期 |
3階建て | 6か月 |
4階建て | 7か月 |
5階建て | 8か月 |
6階建て | 9か月 |
階数と工期の関係
3.マンション経営における鉄筋コンクリート造の建築費

国土交通省が発行する「建築着工統計調査報告」において、住宅の鉄筋コンクリート造坪単価の推移は下表の通りです。(※1)
木造・鉄骨造と同様に年々坪単価が上昇しており、2018年時点では80.2万円/坪です。
西 暦 | RC造建物の建築坪単価 |
2013年 | 62.3万円/坪 |
2014年 | 68.4万円/坪 |
2015年 | 75.4万円/坪 |
2016年 | 76.7万円/坪 |
2017年 | 80.6万円/坪 |
2018年 | 80.2万円/坪 |
2019年 | 82.4万円/坪 |
2020年 | 86.0万円/坪 |
2021年 | 87.5万円/坪 |
2022年 | 90.0万円/坪 |
(全国平均)(※1)

4.マンション経営における鉄筋コンクリート造の減価償却

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数と償却率は、下表の通りです。(※2)

【事例1】
1億円の鉄筋コンクリート造のマンションを建築した場合、年間の減価償却費(概算)を計算します。
減価償却費=1億円×0.022=220万円/年
5.マンション経営における鉄筋コンクリート造の利回り

エントランス部
利回りに影響を及ぼすのは、年間家賃と建築価格です。
家賃は大都市中心部であると高く設定でき、地方都市であると安い設定となります。
建築価格も大都市中心部であれば高くなり、地方都市だと安くなります。
構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)の違いによっても、家賃設定価格と建築価格に違いが出ます。
5-1.鉄筋コンクリート造の利回り
鉄筋コンクリート造の期待できる利回りを、筆者の経験と大家仲間との情報交換に基づきあえて記しますと、大都市中心部で表面利回り:6%前後、地方都市で表面利回り:9%前後となります。
必ずしもこの通りにはいきませんが、一つの目安として見ていただけると幸いです。
5-2.利回り

表面利回りの計算式は下記の通りです。
表面利回りだけでの検討は片手落ちになります。
実際に投資を進める際には、実質利回り・ROI(投資収益率)までの検討が必須となります。
実質利回りは、表面利回りに必要経費と建築時諸経費を加味したものです。
ROIは実質利回りにローン返済額を加味したものです。
損益分岐点はROI=0となります。

ちなみに表面利回り5%の場合、フルローンを採用すると、ROIがマイナスとなります。
つまり、キャッシュフロー(年間手残り)はマイナスになります。
金利・借入金額・借入期間の入念な検討が必要となります。
表面利回り、実質利回り、ROI(投資収益率)の詳細については、下の記事をご覧ください。

【事例2】
鉄筋コンクリート造マンションを事例として、表面利回り・実質利回り・ROIを計算してみます。条件設定は下記の通りです。
構造・規模 | 鉄筋コンクリート造 3階建18戸 |
延床面積 | 220坪 |
間取り | 1K25㎡ |
建築価格 | 1億7,600万円 |
建築時諸経費 | 1,200万円 |
総投資額 | 1憶8,600万円 |
月額家賃 | 7万円/戸・月 |
満室賃料 | 1,512万円/年 |
必要経費 | 312万円/年 |
自己資金 | 3,800万円 |
自己資金率 | 20% |
金融機関融資額 | 1億5,000万円 |
金利 | 3% |
融資期間 | 35年 |
年間ローン 返済額 | 693万円 |
表面利回り=1,512万円÷1億7,600万円×100
=8.6%
実質利回り=(1,512万円―302万円)÷(1億7,600万円+1,200万円)× 100
= 6.4%
ROI=(1,512万円―302万円―693万円)÷(1億7,600万円+1,200万円)×100
= 2.8%
このマンションの投資判断は、自己資金率20%でROIが2.8%なので、投資可能です。
6.マンション経営における鉄筋コンクリート造のお勧めエリア

鉄筋コンクリート造(RC造)を採用すれば、高層マンションも可能です。
用途地域については、住居系・商業系・工業系(工業専用地域を除く)のいずれにもマンション建築は可能です。
特に家賃設定が高く設定できる都心部では、入居者が防音性・遮音性・耐火性・耐震性など、高い居住性・耐久性を要求します。
鉄筋コンクリート造は、それらの性能を兼ね備えた構造となりますので、高額家賃エリアに適する構造といえます。
7.まとめ
以上、
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の特徴
- マンション経営における鉄筋コンクリート造のメリット・デメリット
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の建築費
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の減価償却
- マンション経営における鉄筋コンクリート造の利回り
- マンション経営における鉄筋コンクリート造のお勧めエリア
について解説しました。
鉄筋コンクリート造は、
・耐火性
・耐震性
・耐水性
・防音性
・遮音性
に優れた構造です。
したがって、他の構造と比較して災害に強い構造といえます。
特に都心部においては、高層化も求められますので、より適した構造となります。
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9.参考・引用WEBサイト
※1 「建築着工統計調査報告」(平成30年度分) 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000830.html
※2 「耐用年数(建物/建物付属設備)」 国税庁
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