建設業を営業する場合、軽微な建設工事を除いて、建設業の許可を取得する必要があります。
建設業は、29業種の工事に分類され、その業種の工事を行う場合、業種ごとに許可を取得する必要があります。
建設業の許可を取得するためには、
・許可の区分を把握
・5つの要件を満足
する必要があります。
この記事では、
- 建設業許可の区分
- 建設業許可の5つの要件
- 建設業許可のメリット
について解説します。
建設業の許可を取得することで、信用力向上などの様々なメリットを得ることができます。
1.建設業許可の区分
建設業の許可概要や許可区分、許可の有効期間について解説します。
1-1.建設業の許可
建設工事を受注するには、民間工事・公共工事に関わらず、建設業法3条に規定する建設業の許可を取得する必要があります。
ただし、表1に示す「軽微な建設工事」のみを受注する場合には、建設業の許可を取得する必要はありません。
*1 上記金額には、消費税及び地方消費税を含みます。
1-2.建設業許可の区分
建設業の許可の区分には、
- 「大臣許可と知事許可」
- 「一般建設業と特定建設業」
- 「業種別許可制」
があります。
それぞれについて許可を取得する必要があります。
1-2-1.大臣許可と知事許可
建設業の許可は、国土交通大臣もしくは都道府県知事が下表の区分により行います。
大臣許可と知事許可の違いは、営業所の所在地で区分されます。
営業区域もしくは建設工事の施工区域に制限はありません。
1-2-2.一般建設業と特定建設業
建設業の許可は、下請契約の金額などにより、「一般建設業」や「特定建設業」に区分します。
*2 特定建設業は、元請会社が許可を取得する必要があり、下請会社には必要ありません。
1-2-3.業種別許可制
建設業の許可は、建設工事の業種別に行います。
建設工事は、
・2つの一式工事
・27の専門工事
の計29種類の工事に分類され、工事の種類ごとに許可を取得することが必要です。
許可を取得する場合、2つ以上の業種の工事を同時に取得することができます。
また、現在取得している業種とは別の業種を追加して取得することもできます。
平成28年6月1日から解体工事が新たな業種として新設されました。
1-3.建設業許可の有効期間
建設業の許可の有効期間は、5年となります。
5年経過ごとに更新を受ける必要があります。
更新を受けなければ、失効となります。
更新申請は、有効期間が満了する30日前までに更新申請する必要があります。
2.建設業許可の5つの要件
建設業の許可を取得するには、建設業法第7条に規定する4項目の許可要件に該当することが必要です。
同時に建設業法第8条に規定する欠格要件に該当しないことが必要です。
2-1.許可要件(建設業法第7条)
経営業務の管理責任者や専任技術者の設置、誠実性、財産的基礎もしくは金銭的信用の4つの要件を満足することが必要です。
2-1-1.要件1:経営業務の管理責任者としての経験を有する者が必要
建設業の経営業務について、一定期間の経験を有する者が最低でも1人は必要であると規定されています。
具体的には、
・法人の場合:常勤の役員の中で1人
・個人の場合:本人または支配人の中で1人
が下記のいずれかに該当する必要があります。
2-1-2.要件2:専任技術者の設置
営業所ごとに、一定の資格もしくは経験を有する者の設置が必要です。
また、一般建設業か特定建設業かによっても、必要な資格などが異なります。
<一般建設業の場合>
下表のいずれかに該当する者が、専任技術者になることができます。
<特定建設業の場合>
下表のいずれかに該当する者が、専任技術者になることができます。
なお、施工管理技士については、下記の記事をご覧ください。
2-1-3.要件3:誠実性
建設業許可を受けようとする法人、役員、個人事業主、建設業法施行令第3条の使用人などが、請負契約において、不正もしくは不誠実な行為をする恐れがないことです。
2-1-4.要件4:財産的基礎もしくは金銭的信用
建設業許可を受けようとする法人、もしくは個人事業主が、請負契約を行うに足りる財産的基礎もしくは金銭的信用を有することです。
これも一般建設業と特定建設業とで異なります。
2-2.欠格要件(建設業法第8条)
建設業法第8条に規定する14項目の欠格要件に該当しないことが必要です。1つでも該当しますと、許可は行われません。
e-GOV 法令検索
3.建設業許可のメリット
建設業許可を取得しますと、会社の信用向上に繋がり、大きな受注金額の工事を行うことができ、金融機関の融資にも有利にはたらきます。
3-1.建設会社の信用向上
建設業許可を取得しますと、行政から認定された建設会社となり、元請会社や個人の顧客などとの取引もスムースに行うことができます。
また、自社のWEBサイトや社員の名刺などに建設業許可番号を記載することにより、信用をアピールすることができます。
3-2.受注金額の上限が無くなる
建設業許可を取得しますと、受注金額の上限が無くなりますので、大きな工事の受注をすることができます。
建設業許可を取得していない場合、工事受注金額の上限は500万円(建築一式工事:1,500万円)未満と規定されています。
その規定を違反しますと、懲役刑・罰金刑の対象となり、取引先の元請会社も監督処分となります。
3-3.金融機関融資に有利
建設業許可を取得しますと、金融機関からの融資を受ける可能性が大きくなります。
金融機関が建設会社に対して融資を行う場合、審査項目の一つに建設業許可の取得が挙げられます。
取得していれば、融資に有利にはたらくことになります。
4.まとめ
以上、
- 建設業許可の区分
- 建設業許可の5つの要件
- 建設業許可のメリット
について解説しました。
500万円以上の建設工事を受注するためには、建設業の許可が必要になります。
許可を取得することにより、受注額の上限は無くなり、信用力向上にも繋がります。
また、建設会社の規模を拡大し、いずれは公共事業を受注するための足掛りとすることができます。
都市基盤整備や防災などのインフラ整備の充実が叫ばれる中、建設業は重要性を帯び続けています。
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5-4.ISOプロ|ISO取得サポートの申込
◆サービス概要◆
ISOは国際標準化規格です。
国際的な共通基準を作る目的があります。
例えば
・「A4サイズ」という共通基準
・非常口のマークなどは共通
でないと、人の認識が様々になってしまいます。
社会には無くてはならない共通認識を作っています。
◆メリット◆
- 自社で取得するには膨大な時間と労力と知識が必要です。
プロに投げることでコストを抑えられます。 - ISOは取得後に運用があり、更新もあります。
記録データなどが必要になります。
これを簡素化することで運用が楽になり、コスト削減になります。
6.参考・引用Webサイト
※1 国土交通省
「建設業の許可とは」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html
※2 国土交通省
「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(平成29.11.10改正)」
https://www.mlit.go.jp/common/001209751.pdf
※3 国土交通省
「許可の要件」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
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