MENU

水辺建築としての城郭その5:篠山城を見学

  • URLをコピーしました!

都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。
特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。

城郭は、川や堀などの水辺と相まって、独特の空間を形成します。
 ・天守閣による街の歴史・威厳
 ・水辺による潤い・安らぎ
 ・観光による賑わい・華やかさ
などを感じることができます。

特に平城は、水辺の近くに築城されます。
 ・敵からの防御
 ・舟運による流通の確保
 ・飲料水の確保
などに優れているからです。

今回の記事は、兵庫県丹波篠山市にある篠山城をウォーキングし、天守台などを見学した様子を紹介します。

図1.篠山城位置図
Δ図1.篠山城位置図

なお、大阪城、江戸城、松山城、津山城見学については、下記の記事をご覧ください。

あわせて読みたい
水辺建築としての城郭その1:大阪城を見学 都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。 城郭は、川や堀などの水辺と相まって、独特の...
あわせて読みたい
水辺建築としての城郭その2:江戸城を見学 都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。 城郭は、川や堀などの水辺と相まって、独特の...
あわせて読みたい
水辺建築としての城郭その3:松山城を見学 都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。 城郭は、川や堀などの水辺と相まって、独特の...
あわせて読みたい
水辺建築としての城郭その4:津山城を見学 都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。 城郭は、川や堀などの水辺と相まって、独特の...
目次

1.篠山城の概要

篠山城は、慶長14年(1609)、天下普請の城として、徳川家康が、十五ヶ国、二十の大名に夫役を命じ、
 ・縄張奉行に藤堂高虎
 ・普請奉行に池田輝政
らが指揮を執り、大坂城を包囲し、豊臣家ゆかりの諸大名を抑えるために築城されました。
財団法人日本城郭協会が選定した「日本100名城」にも選ばれています。(※1)

図2.篠山城古絵図

Δ図2.篠山城古絵図
(出所:Wikipedia)※2

1-1.篠山城の経緯

篠山城は、慶長14年(1609)に、天下を盤石なものにしようとする徳川家康が、豊臣方の拠点である大坂城を包囲するとともに、豊臣家ゆかりの西日本の諸大名を牽制するために、山陰道の要衝であったこの地に築いた城です。
築城工事は、旧豊臣大名の経済力を弱めることを目的に天下普請とされ、山陰道、山陽道、南海道(近畿・中国・四国地方)など15か国20大名が動員されました。

1-2.城郭の概要

城は、篠山盆地の平野中に当時「篠山」と呼ばれた独立丘陵を利用した平山城です。
あまり高くないですが、盆地の一隅の高城山に築かれた八上城を南東に望み、視野は極めて広くなります。

工事は、開始から1年に満たない短期間でほぼ出来上がるという突貫工事で進められました。
笹山は全体が岩盤で出来ていたため、難工事の中での完成でした。
篠山城の縄張は、築城の名手といわれた藤堂高虎が行ったものです。

頂部に方形状の本丸とこれを守る二の丸とを置き、城壁は高石垣をもって固めています。
その周囲には内堀をめぐらし、さらにこれをほぼ方形状に三の丸と幅広い外堀とをもって囲みます。
三の丸の北(大手)・東及び南に開かれた虎口にはいずれも馬出を備えています。

図3.篠山城:城郭概略図
Δ図3.篠山城:城郭概略図

本城は、山陰道を抑える要衝として重きをなし、家康はその堅固に過ぎることを責めたと伝わります。
城郭建築や、三の丸にあった複雑な構えなどは失われているものの、全体の規模はよく遺存し、特に南門の馬出が概ね完存し、東門もまた概ね旧態をとどめています。
馬出遺構が保存されていることは現在では貴重であり、且つ外堀は今もなお水を湛えて、方形状の曲輪が同心的に配置された縄張の典型を見る事ができる城郭史上価値のある遺跡です。

図4.篠山城位置図
Δ図4.篠山城位置図

 史跡指定以降、高石垣の修理や大書院の木造本格復元、内堀整備などの史跡整備が進められており、往時の姿を取り戻しつつある。

1-3.歴代城主

慶長13年(1608)、松平康重は丹波八上城に移り、翌14年(1609)徳川家康の命によって新たに笹山に新城を築城しました。
諸大名が築城を助ける、いわゆる公儀(天下)普請です。
松平氏は元和5年(1619)、岸和田に移り、松平(藤井)、松平(形原)両氏を経て、寛延元年(1748)青山氏がここに封ぜられ明治維新に至りました。

  1. 第1代 松平(松井)康重
  2. 第2代 松平(藤井)信吉
  3. 第3代 松平(藤井)忠国
  4. 第4代 松平(形原)康信
  5. 第5代 松平(形原)典信
  6. 第6代 松平(形原)信利
  7. 第7代 松平(形原)信庸
  8. 第8代 松平(形原)信岑
  9. 第9代 青山 忠朝
  10. 第10代 青山 忠高
  11. 第11代 青山 忠講
  12. 第12代 青山 忠裕
  13. 第13代 青山 忠良
  14. 第14代 青山 忠敏

なお、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラム「じゃらんnet」については、下記の案内をご覧ください。



2.外濠・馬出(うまで)見学

先ずは、外堀を反時計回りに歩きました。

2-1.ウォーキングルート

図5.外濠・馬出ウォーキングルート図
Δ図5.外濠・馬出ウォーキングルート図

2-2.北堀

篠山城の外濠を一周しますが、北堀からスタートしました。

北堀から西堀へ移動します。

2-3.西堀

西堀沿いを北から南へ向けて歩きます。

2-4.南馬出

西堀と南堀の接続部に南馬出があります。

馬出とは、敵の攻撃から虎口(こぐち)を守り、城兵が出入りしにくくなるように、虎口の門の外に設ける土や石製の小さな曲輪(くるわ)のことです。
虎口は、城郭内での戦の際に主要な出入口です。
馬出には様々な形状がありますが、大きく2種類に分けられ、
 ・半円形になった曲輪が丸馬出
 ・四角形になった曲輪が角馬出
となります。

南馬出の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。

南馬出

 篠山城は上空から見ると正方形のとてもシンプルな形をしていますが、当時の最先端の築城技術が用いられた、守りの堅い城です。
馬出とは、城の入口の守りを固めるために、外堀の外側に造られた曲輪の一種ですが、城から攻めだす時には兵馬を集めて一斉に攻撃する時にも使われます。
馬出は大手、東、南に設けられましたが、現在は東馬出と南馬出が現存しています。

2-5.南堀

南馬出の周囲を歩いた後、南堀沿いを西から東へ向けて歩きます。

南堀沿いを歩いていますと、天守台が見えました。

写真11.天守台:南堀から撮影
Δ写真11.天守台:南堀から撮影

2-6.東堀

南堀沿いから東堀沿いへと進路を変えます。

写真12.東堀南側から北側を撮影
Δ写真12.東堀南側から北側を撮影

2-7.東馬出

東堀沿いを南から北へ歩きますと、東馬出が現れます。
「東馬出跡地」の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。

東馬出跡地
 城の出入口を虎口と呼んでいるが、出入口は城を守る上では非常に大切な所で、その防備の工夫には最大の知恵がしぼられている。
 篠山城では、北(大手)、東、南の三カ所に出入口があり、この所を凹字形の濠と塀で囲んで、城門への通路を複雑にしていた。
 これが馬出と呼ばれている施設で、ここにあらかじめ兵馬を繰出しておき、いざという場合に馬出の門を開いて、打ち出す溜り場となったり、また武将がそこまで乗出して、寄手の軍状を見張る所でもあった。


篠山市教育委員会

東馬出を見学した後、スタート地点の北堀へ向かいます。

なお、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラム「じゃらんnet」については、下記の案内をご覧ください。



3.篠山城大書院

外堀を一周後、三の丸・二の丸へ入り、篠山城大書院を見学します。

3-1.大書院の概要

大書院は、築城の時に建てられた書院造の建物で、新年の祝賀など、藩の公式行事に使用されました。
建物は、北正面に唐破風をつけた車寄(くるまよせ)があり、東に注文が突き出す様式で、内部には八つの部屋があります。

城の建物は、明治六年(1873)のいわゆる「廃城令」によって、その大半が取り壊されましたが、大書院だけは解体されることなく、学校、公会堂として利用されていました。
しかし、昭和十九年(1944)、惜しくも焼失してしまいました。

その後、篠山城跡は未整備のままでしたが、保存を臨む声がもち上がり、昭和三十一年(1956)に国の史跡に指定されました。
これを機に石垣修理、民有地の公有化並びに発掘調査を実施し、篠山城跡の保存に努めてきました。

このような経過を経て、昭和五十九年(1984)に篠山城の建物復元を臨む声が、市民の中からもち上がりました。
そして、平成二年(1990)に篠山城跡学術調査委員会が設置され、城跡内の建物の不機嫌可能な場所について、調査研究がなされました。
その結果、大書院の復元可能との答申を得ました。

図6.大書院復元図面
Δ図6.大書院復元図面

復元に向け、市民と行政が力を合わせて、建築費の各頬のため杮板(こけらいた)一枚三千円を基本として募金を募る一方、文化庁、兵庫県の補助金を受け、平成八年(1996)から四か年計画で復元工事に着手しました。
そして、大書院、史料館、井戸屋形、門などが、平成十二年(2000)に総事業費約十二億円で完成しました。

3-2.大書院北正門

二の丸通路を上がりますと、大書院北正面が現れます。

北正面から中に入り、大書院内を見学します。

3-3.模型・資料展示室

受付を通過しますと、模型や資料などの展示室があります。

3-4.鎧展示室

次の展示室は、戦国武将の鎧が展示されています。

鎧展示室を後にし、上段の間へと移ります。

3-5.上段の間

藩主が着座する上段の間は、
 ・大床(おおどこ)
 ・違棚(ちがいだな)
 ・帳台構(ちょうだいがまえ)
 ・付書院(つけしょいん)
が設けられています。

3-5-1.上段の間

「上段の間」を撮影しました。

3-5-2.次の間

「上段の間」に連なる「次の間」を撮影しました。

3-6.大書院北面

なお、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラム「じゃらんnet」については、下記の案内をご覧ください。



4.天守台本丸跡

「篠山城本丸跡」の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。

篠山城本丸跡
 ここは、篠山城の最後の砦となる本丸跡です。
築城当初は現在の二の丸が本丸、現在の本丸は南東の隅に、天守台が造られたことから、特に殿守丸(でんしゅまる)と呼ばれていました。
 天守台の大きさは東西約十九メートル、南北約二十メートル、、約三八〇㎡の広さがあります。

天守台石垣は
 ・本丸内側からの高さ約4m
 ・外側の南と東側犬走りからの高さ約17m
で、篠山城で最も高い石垣です。
 天守閣は築城の時に建築が中止され、代わって天守台南東隅に二間四方(4m四方)の一重の隅櫓が建てられました。
 本丸の周囲は天守台と南西隅・北西隅・北東隅の三カ所に二重の隅櫓を建て、間を多門櫓(たもんやぐら)でつないで内部を囲んでいました。
二の丸には大書院をはじめとする御殿が建てられたのに対して、本丸には御殿等の建物は無かったようです。

天守台からの眺め

天守台の上に立ち、眼下を見下ろしました。

なお、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラム「じゃらんnet」については、下記の案内をご覧ください。



5.城下町で一杯

篠山城見学を終えたのでスタート地点に戻り、城下町で一杯やることにしました。
歩いていますと、「ひいらぎや」というそば屋がありましたので、入ってみることに。
和風の佇まいで、いい感じです。
そばと地酒を注文し、撮影した写真を眺めながら、ちびりちびりと飲んでいました。

なお、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラム「じゃらんnet」については、下記の案内をご覧ください。



6.まとめ

篠山城は平山城ですが、かつて堅固な馬出が3カ所も設置されていました。
この城の陣容では、攻め手も思うようにはいきません。
そこまでして徳川家康は、関ケ原以降、山陰地方から大坂城への物資の流れを完全に絶ち、豊臣方の経済力をそぎたかったと思われます。

一方、大書院は見事に復元されました。
地元の熱い思いが、復元に漕ぎついたのだと思われます。
城の復元は、地元の熱い思いの度量であることを改めて感じさせてくれます。

7.お役立ち情報案内

お役立ち情報を掲載します。
ご活用ください。

7-1.【じゃらんnet】宿泊予約

◆概 要◆

じゃらんnetから、国内宿・ホテルの予約・宿泊獲得のプログラムです。

◆じゃらんnetの強み◆

  1. 掲載数:国内最大級のオンライン予約サービス
  2. お得なプラン:季節に応じたお得なプランやキャンペーンあり
    年間数回開催「じゃらんスペシャルウィーク」
    毎月20日開催「じゃらんのお得な10日間」など
  3. ポイントがたまる:予約プランに応じてポイントがたまる



7-2.【ポータブル電源】アウトドアや防災に活躍!大容量でコンセント使用可能なJackeryポータブル電源

◆ポータブル電源のセールスポイント◆
ポータブル電源は、家庭用コンセント(AC)USBなど 豊富な出力を装備している蓄電源です。
いつでもどこでも電力を確保し、 長時間使用することができます。
キャンプ、車中泊、夜釣りはもちろん、災害時(停電)に頼りになる存在です。

◆Jackeryの特徴◆
・正弦波
・日本仕様の100V
・安全認証済み
・二年間製品保証
・無料配送
・目的・用途で選べる4容量240Wh〜2000Wh



8.参考・引用Webサイト

※1 「篠山城」
    HYOGo!ナビ

https://www.hyogo-tourism.jp/spot/974

※2 「篠山城」
   Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%A0%E5%B1%B1%E5%9F%8E

※3 「国指定史跡篠山城跡」
    丹波篠山市

https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/bunkazaika/sasayamajo/2858.html

9.水辺プロデュース関連記事

あわせて読みたい
◆水辺建築・施設、渡し舟・水上バスの調査・研究◆(11記事) 水都大阪、水都東京を中心として、水辺建築を取材します。 水都大阪 水都東京 水辺建築としての城郭 書籍紹介 記事の内容につきましては、下記の記事テーマをクリックし...
あわせて読みたい
◆水辺ウォーキング◆(37記事) 水辺ウォーキングを ・水都大阪 ・水都東京 ・兵庫県(神戸市)において行い、その様子を記事にまとめました。 【】 淀川、大川、土佐堀川、堂島川、安治川、東横堀...
あわせて読みたい
◆カヤック一人旅◆(12記事) キャンピングカーに乗り、「カヤック一人旅」をするのが、趣味です。主な活動エリアは、淀川水系、大阪湾、瀬戸内海ですが、たまに隅田川にも行きます。行きたい時に、...
あわせて読みたい
◆水辺まちづくりの調査・研究・絵画◆(11記事) 水辺まちづくりに関して 都心の水辺動向 治水対策 浄水対策 ダイクハウス(堤防住居) 水景(絵画) の記事を掲載しました。記事の内容につきましては、下記の記事テー...
あわせて読みたい
◆水辺まちづくりの啓発活動・建議献策◆(10記事) 水辺まちづくりの啓発活動 水辺まちづくりの建議献策 和船の復活 の記事を掲載します。 【】 https://exceate.site/archives/228 https://exceate.site/archives/11822 ...
あわせて読みたい
◆日本酒によるまちづくり◆(5記事) 日本酒によるまちづくりを行うにあたり、日本酒に関する情報収集を行います。 【】 1-1.HYOGO SAKE EXPO https://exceate.site/archives/26759 https://exceate.sit...
あわせて読みたい
◆記事制作・記事監修◆ ・不動産会社や建設会社・工務店、人材派遣会社などへ記事提供・不動産関連WEBサイトの記事監修 【】 不動産会社や建設会社・工務店、人材派遣会社などへ記事提供をして...

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

◆有限会社エクセイト研究所◆

職務:代表取締役
業務:不動産コンサルタント
   不動産投資(大家業)
   不動産ライター・ブロガー
資格:一級建築士
   1級土木施工管理技士
   宅地建物取引士
   測量士
   定借アドバイザー
   マスタースキューバダイバー
認定:プロクラウドワーカー
   認定ランサーズ
趣味:カヤック一人旅
   水辺ウォーキング
   スキューバダイビング
   メタバース:まちづくり
   サックス:JPOP、JAZZ
   

コメント

コメントする

目次