都市の水辺をウォーキングしますと、城郭に出会う機会がよくあります。
特に、天守閣のある街は、それだけで風格が出ます。
特に平城は、水辺の近くに築城されます。
・敵からの防御
・舟運による流通の確保
・飲料水の確保
などに優れているからです。
この記事では、
- 松山城の概要
- 松山城築城の経緯
- 松山城内見学:本丸
- 松山城内見学:天守
について解説します。
なお、大阪城、江戸城、津山城見学については、下記の記事をご覧ください。
1.松山城の概要
松山城は、松山平野の中央に位置する標高132mの勝山を中心に築かれた平山城です。
・山頂に「本丸」
・南西に「二之丸」
堀と土塁に囲まれた「三之丸」
(堀之内)
が配されています。
その縄張りには、
・幾重にも連なる石垣
・屈曲した進入路
に多くの城門や櫓(やぐら)などを備えた難攻不落の城といわれています。
また、本丸の中枢である本壇には連立式の形式をもつ天守がそびえます。
本丸と二之丸をつなぐ全国でもめずらしい南北2本の「登石垣」があります。
東と北の山麓には、
・「東郭(ひがしのくるわ)」
・「北郭(きたのくるわ)」
が配置されるなど堅牢かつ広大な城構えとなっています。
2.松山城築城の経緯
松山城の創立者は、「賤ヶ岳の七本槍」の一人としても有名な加藤嘉明。
慶長5年(1600)関ケ原の戦いでの成功を認められて20万石となった嘉明は、居城を正木城(愛媛県松前町)から道後平野の中央にある勝山に移し、この地を「松山」と命名しました。
(出所:ウィキペディア)
着工から25年、寛永4年(1627)松山城の完成を目前にして嘉明は会津へ転封となります。
代わって入封したのは、蒲生氏郷(がもううじさと)の孫:蒲生忠知。
二之丸を完成させたが、寛永11年(1634)8月、参勤交代の途中の京都で病没し、嗣子なく断絶しました。
寛永12年(1635)7月、伊勢桑名城主:松平定行が伊予松山15万石に封じられました。
定行は寛永16年(1639)から3年をかけて本壇を改築し三重の連立式天守を築造しました。
天明4年(1784)9代定国のとき天守が落雷で焼失。
すぐに復興許可は下りたものの、財政難などにより工事は難航し、12代勝善の嘉永5年(1852)にようやく竣工、安政元年(1854)落成式典が盛大に行われました。
現在の天守は、このときのもので、幕末に造られたにもかかわらず創建時の桃山文化様式が見事に再現されました。
明治維新後は、公園として整備・活用されます。
昭和に入って放火や戦災により櫓など一部が焼失したが、昭和41年(1966)から全国にも例を見ない総木造による再建が進められ、現在は重要文化財21棟を含む51棟が建ち並び、往時の姿を取り戻しています。
3.松山城内見学:本丸
伊予鉄道の大街道駅を下車し、北東へ5分ほど歩きますと、松山城山ロープウェイ東雲口駅舎があります。
3-1.松山城山ロープウェイ
そこからリフトに乗り、長者ケ平で降ります。
(出所:松山城パンフレット)※1
東雲口駅舎
上昇時
下降時
ちなみに所要時間は、
・ロープウェイ:約3分
・リフト :約6分
です。
3-2.松山城内見学ルート
「松山城山ロープウェイ」のリフトを利用して、東雲口駅舎から乗り、長者ケ平駅舎で降ります。
長者ケ平駅舎から松山城天守までのウォーキングルートは、下図の通りです。
3-3.本丸
先ずは、本丸の解説です。
本丸の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
3-4.松山城の石垣
長者ケ平駅舎から松山城天守へ向かいます。
いきなり急傾斜の坂道・階段が現れ、高い石垣が立ちはだかります。
石垣の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
* 算木積
石垣の隅部の積み方で、細長い石を使用し、長辺と短辺を交互に積み上げる方法。
16世紀後半から登用され、慶長10年(1605年)に完成しているため、石垣築造年代の判定ができる。
* 打込ハギ
打ち欠いた石材を用い、接合面を合わせて積み上げる方法で、自然石を用いた野面積(のづらづみ)より隙間が少なく、高く積み上げることができる。
* 切込ハギ
整形した石材を用い、密着させるように積み上げる方法
*乱積と布積
乱積は、横方向の目地が通らない積み方で、布積は、横方向の目地が通る積み方
3-5.太鼓櫓(たいこやぐら)
石垣沿いに歩いていますと、前方に太鼓櫓が見えてきました。
3-6.戸無門(となしもん)
進路を180度変えますと、前方に戸無門が現れます。
戸無門の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
3-7.筒井門(つついもん)・隠門(かくれもん)
次に現れるのは、筒井門と隠門です。
配置は、下図の通りです。
下図は、筒井門・隠門の立面図(南面)です。
筒井門を横から撮影した後、筒井門を通過し、裏側から撮影しました。
裏側から撮影
筒井門を通過後、前方左側に太鼓櫓が見えます。
また、隠門を裏側から撮影しました。
裏側から撮影
筒井門と隠門の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
* 石落
天守や櫓、塀などの床面を張り出して設けた細長い穴で、石垣を登ってくる敵に頭上から石などを落とすために仕掛けられたといわれているが、現在は鉄砲の射撃としての穴と理解されている。
*棟札
建物の建築や修理の記録として、建物内に取り付けられる札のこと。
裏側から撮影(北面)
3-8.太鼓門(たいこもん)
次に現れるのは、太鼓門です。
太鼓門の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
ここで、上記にて解説した櫓と門の配置は下図の通りです。
4.松山城内見学:天守
太鼓門を通過しますと、天守が見えてきました。
4-1.松山城本壇(ほんだん)
松山城本壇は、天守を中心とする城郭建造物群の中枢です。
本壇入口から天守広場までは、
・一の門
・二の門
・三の門
・筋鉄門(すじがねもん)
が設けられ、それぞれに塀と櫓を伴っています。
一の門から二の門までの石垣や櫓で囲まれた空間には30を超える狭間が備えられ、最終防御施設として厳重な構えとなっています。
4-2.一の門(高麗門)
本壇の入口にあたるので、一の門という名です。
高麗門の形式を持ちます。
4-3.二の門(薬医門)
本壇における第二番目の門で、薬医門の形式を持ちます。
4-4.三の門(高麗門)
本壇における第三番目の門で、高麗門の形式を持ちます。
4-5.筋鉄門(すじがねもん)
脇戸附の櫓門で、門の柱に鉄板が張ってあることからこの名があります。
櫓は天守と小天守の通路となり、三の門を防衛する構えとなっています。
4-6.天守
いよいよ天守入口に到着です。
天守の案内板が立っていましたので、その記載文を引用します。
4-6-1.天守内部展示品
天守内部は、鎧や刀、屏風、巻物などが展示されています。
4-6-2.狭間(さま)・石落し
狭間とは、塀や櫓の壁などに鉄砲や矢を射るために設けた穴です。
・矢狭間の場合:縦に細長い穴
・鉄砲狭間の場合:より小さな穴
を備えます。
4-6-3.小天守
廊下を進みますと、小天守の二階へ登る急階段があります。
小天守から外の景色を撮影しました。
4-6-4.天守一階
天守一階の様子です。
4-6-5.天守二階
天守二階の様子です。
4-6-6.天守三階
天守三階の様子です。
(目前の建物は小天守)
天守から外へ出ます。
4-7.内門(うちもん)
天守を出ますと、内門が現れます。
4-8.仕切門(しきりもん)
仕切門は、脇戸附の高麗門であって、天守の北側に位置し、内門との間が桝形となっています。
天守・玄関多門櫓によって防衛される仕組みです。
(内側から撮影)
(外側から撮影)
4-9.天神櫓(てんじんやぐら)
仕切門を通過しますと、天神櫓が現れます。
天神櫓は、本壇東北の隅に位置し、艮櫓(うしとらやぐら)・艮門および小筒櫓を防衛します。
また、この櫓には松平(久松)家の先祖である菅原道真(天満天神)の像を安置し、城の安全を祈ったのでこの名があります。
天神櫓の右手に、先ほど通過した二の門・三の門があります。
天神櫓を後にし、二の門・一の門を通過し本壇を出て、天守を撮影しました。
4-10.飲食店で酒と肴
本丸内の太鼓門の近くに飲食店があります。
地酒もありそうなので入りました。
地元の「石鎚(いしづち)」という銘柄の酒を吞みながら、地元の揚げ物を味わいました。
城があるところには、いい酒があります。
5.まとめ
以上、
- 松山城の概要
- 松山城築城の経緯
- 松山城内見学:本丸
- 松山城内見学:天守
について解説しました。
松山城は、難攻不落の城であることが、城内を歩いてみるとよくわかります。
地形を巧みに活かした石垣や櫓、門、塀などの配置は見事です。
また、筒井門・隠門のような防御の秘策は、全国でも数少ないと思われます。
何と言っても、大半の建物が木造で残されているのが、魅力的です。
再度、見学したいと思わせられる城郭です。
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7.参考・引用Webサイト
※1 「松山城パンフレット」
https://www.matsuyamajo.jp/img/common/pamphlet.pdf?22
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