節電・省エネルギー化・環境配慮などに対する関心は大きくなっています。
その中で、建築分野においては、
・長寿命化
・リニューアル
・ZEB、ZEH
などの社会的要請に応えるのが、建築設備技術者です。
建築設備技術者の中でも、建築設備士は、建築士に対して建築設備に関するアドバイスができる有資格者として法律上認定されています。
この記事では、
- 建築設備士とは?
- 建築設備士の試験概要
- 建築設備士の資格取得メリット
について解説します。
1.建築設備士とは?

建築設備士について、建築士法に
・定義
・設計及び工事監理
・業務に必要な表示行為
について記されています。
1-1.建築士への提言
建築設備に関する専門的な立場から、建設工事現場において、
・工事監理
・工事に対する助言
などを行い、建築物の安全と品質向上を図ります。
また、建築設備士自身が、
・電気工事
・管工事
において、
・専任技術者
・主任技術者
になる資格があります。

1-2.建築設備の設計
建築設備士が、自ら建築物自体の設計を行うことはありません。
しかし、建築士から求められた場合、建築設備の設計を行います。
なお、建築士や設備設計については、下記の記事をご覧ください。


2.建築設備士の試験概要

建築設備士になるには、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する建築設備士試験に合格する必要があります。

2-1.建築設備士試験の経緯(※2)
建築設備士制度は、建築設備(空調・換気、給排水衛生、電気など)の高度化・複雑化が進捗する中、建築設備に係る設計・工事監理において的確に対応するために制定されました。
- 昭和58年:建築士法の改正時に創設(建築士法第20条第5項)
- 昭和61年:建設大臣の指定を受ける
- 平成17年:国土交通大臣の登録(建築士法施行規則第17条の18第一号)を受けて、公益財団法人建築技術教育普及センターが、建築設備士試験を実施
2-2.受検資格(※3)
建築設備士の受験資格は下表の通りです。

(出所:公益財団法人建築技術教育普及センター)※3
*専門職大学における前期課程の修了者は、短期大学の卒業者と同等とします。
建築設備に関する実務経験として
・認められるもの
・認められないもの
の区別は、下表の通りです。

(出所:公益財団法人建築技術教育普及センター)※3
2-3.試験内容
試験は
・第一次試験(学科試験)
・第二次試験(設計製図)
があります。
2-3-1.受験申込
受験申込みは、原則としてインターネットによる受付のみとなります。

2-3-2.第一次試験(学科試験)
第一次試験は、マークシート四肢択一方式です。
建築法令集の持ち込みが可能です。
・建築一般知識、建築法規:2時間30分
・建築設備 :3時間30分

2-3-3.第二次試験(設計製図)
記述式問題では、建築物の条件が与えられ、建築設備基本計画を文章で説明します。
製図問題では、
・設備プロット図
・系統図
などを作図します。
・建築設備基本計画及び建築設備基本設計製図:5時間30分

(出所:公益財団法人建築技術教育普及センター)※4

(令和5年度試験課題)
2-3-4.試験地
東京都、名古屋市、大阪府の3会場で実施されます。
2-3-5.合格基準
建築設備士の合格基準は、
・建築知識一般 :40%以上
・建築法規 :50%以上
・建築設備 :50%以上
・全体の合格基準:60%以上
が必要となります。
全体の合格基準:60%以上を獲得しましても、3科目の点数が、基準値を大きく下回る場合、不合格になります。
2-3-6.合格率の推移
建築設備士の最近5年間における実受験者数・合格者数・合格率の推移を挙げますと下表の通りです。

(出所:公益財団法人建築技術教育普及センター)※4

3.建築設備士の資格取得メリット

建築設備士の資格取得により、下記のメリットがあります。
3-1.建築士試験の受験資格
建築設備士の資格保持者は、建築士試験(一級建築士・二級建築士・木造建築士)について、実務経験が無くても受験資格が与えられます。
ただし、一級建築士登録の場合、建築設備士資格取得後4年の実務経験が必要です。
なお、建築士につおいては、下記の記事をご覧ください。

3-2.設備設計一級建築士講習の受講資格
設備設計一級建築士講習の受講資格となる実務経験について、建築設備士として、建築設備の設計・工事監理の際に建築士にアドバイスを与える業務を行っている場合、一級建築士になる前に行った当該業務も実務経験として認められます。
また、一級建築士として登録し、かつ建築設備士の資格も有する場合、実務経験の状況を考慮した上で、設備設計一級建築士講習の講義及び修了考査において、「建築設備に関する科目」が免除されます。

3-3.登録建築設備検査員講習の受講資格
建築設備士は、登録建築設備検査員講習について、受講資格が与えられます。
また、受講科目のうち
・「建築設備定期検査制度概論」
・「建築学概論」
をはじめとする8科目が免除されます。
3-4.防火対象物点検資格者講習の受講資格
建築設備士は、5年以上の実務経験を有する場合、防火対象物点検資格者講習について受講資格が与えられます。
3-5.建設業法関係
建築設備士は、所定の実務経験(1年以上)を有する場合、電気工事業・管工事業について下記事項の対象資格となります。
- 一般建設業の許可基準における専任技術者(営業所ごとに配置義務のある専任技術者)
- 主任技術者(建設工事現場における施工技術上の管理者)
- 経審(経営事項審査)の技術力評価における評点各1点が与えられます。

3-6.建設コンサルタント関係
国土交通省における測量・建設コンサルタント等業務競争参加資格審査において、建築関係建設コンサルタント業務の審査対象となる資格として
・一級建築士
・建築設備士
が挙げられています。
有資格者数の点数算定では、一級建築士と同様に5点が与えられます。
3-7.グリーン購入法関係
グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の中で、国・独立行政法人等が「省エネルギー診断」の調達を実施する際の判断基準となる技術資格の一つに「建築設備士」が規定されています。
3-8.ESCO事業関係
行政機関などにおいて、ESCO事業(*)を導入するにあたり、設計役割を担当する応募者の有すべき資格の一つに建築設備士を定めた実績があります。
ESCO(Energy Service Company)事業
省エネルギー改修にかかる費用を、改修後の光熱水費の削減分で賄う事業。
省エネ改修を行う事業者の場合、初期費用がかからずハードルが低くなるメリットがあります。
しかし、省エネ改修によって得られるコスト減少効果がしばらく得られなくデメリットがあります。
4.まとめ
以上、
- 建築設備士とは?
- 建築設備士の試験概要
- 建築設備士の資格取得メリット
について解説しました。
建築設備士を取得しますと、大規模な建築物の設備に対して、専門的な立場からアプローチすることができます。
建築設備会社や建築設計事務所、建設会社、建築設備メーカーからの需要も高くなります。
また、様々な資格試験の
・受験資格
・受講資格
などを得ることができ、他の建築関連資格を取得することも容易になります。
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6.参考・引用Webサイト
※1 「建築士法」
e-GOV法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000202
※2 「建築設備士(制度全般)」
公益財団法人建築技術教育普及センター
https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/bmee-seidozenpan/index.html
※3 「令和5年建築設備士試験の案内」
公益財団法人建築技術教育普及センター
https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/bmee-shikenannai2023.html
※4 「建築設備士試験データ」
公益財団法人建築技術教育普及センター
https://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/bmee-data.html
7.住宅建築コンサルティング関連記事








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