不動産投資を始める方の中には、中古ワンルーム投資から始める方が、比較的多くいます。
立地によっては、数百万円の投資から始めることができ、事前に家賃や必要経費も把握できますので、着手し易い投資といえます。
実は筆者も、最初の不動産投資は、中古ワンルーム投資でした。
実際に投資を行うにあたり、
「確実に利益を出すには、何に重点を置けば良いのか?」
「出口戦略って何?」
と、お悩みの方はいませんか?
実は、考慮すべき優先順位があり、売却を見据えての購入が重要です。
この記事では、
- 中古ワンルーム投資:利益の種類
- 中古ワンルーム投資:利益を出す購入戦略
- 中古ワンルーム投資:利益を出す出口戦略(売却戦略)
について解説します。
1.中古ワンルーム投資:利益の種類
中古ワンルーム投資において得られる利益には、インカムゲインとキャピタルゲインとがあります。
1-1.インカムゲイン(家賃収入)
1-2.キャピタルゲイン(売買利益)
売買差額がマイナスとなった場合、キャピタルロスといいます。
1-3.インカムゲイン・キャピタルゲインをプラスにするには?
インカムゲイン・キャピタルゲインをプラスにするには、購入戦略と出口戦略を同時に考慮する必要があります。
1-3-1.インカムゲインをプラスにするには?
インカムゲインをプラスにするには、特に購入戦略の中で、
・立地(入居率の高い地域)
・価格・築年数(割安・築浅物件)
・利回り(高利回り)
・設備(人気設備)
を同時に考慮する必要があります。
1-3-2.キャピタルゲインをプラスにするには?
キャピタルゲインをプラスにするには、
・タイミング(世間の経済状況)
・出口戦略
を同時に考慮する必要があります。
1-4.インカムゲインとキャピタルゲインの考察
通常パターン、最悪パターン、最良パターンに分けて、インカムゲインとキャピタルゲインを考察します。
1-4-1.通常パターン
ワンルーム投資の場合、
【通常パターン】
- インカムゲイン > 0
- キャピタルゲイン < 0
となるケースが、比較的多くなります。
【通常パターン】ですと、トータルのインカムゲインとキャピタルゲインを比較する必要が出てきます。
- インカムゲイン+キャピタルゲイン > 0 : 利益
- インカムゲイン+キャピタルゲイン < 0 : 損失
インカムゲインで、順調に利益(キャッシュフロー)を出し続けてきても、キャピタルゲインが大きなマイナスを発生させれば、トータルで損失を出す結果となります。
つまり、ワンルーム投資は失敗です。
1-4-2.最悪パターン
よく検討もせず、ワンルーム投資を行った場合、
【最悪パターン】
- インカムゲイン < 0
- キャピタルゲイン < 0
となるケースに陥ります。
【最悪パターン】が、残念ながら増加しているように見受けられます。
1-4-3.最良パターン
購入戦略・出口戦略をよく練った上で投資を行いますと、
【最良パターン】
- インカムゲイン > 0
- キャピタルゲイン > 0
とすることができます。
【最良パターン】になった場合、ワンルーム投資で成功したといえる状態です。
2.中古ワンルーム投資:利益を出す購入戦略
ワンルーム投資の優先順位は、立地、価格・築年数、利回り、設備の順になります。
これを間違えますと、マンション経営が立ち行かなくなります。
利回りは重要ですが、これを第一優先にすると、空室問題や出口戦略で困惑することになります。
2-1.立地
1番目の優先順位は立地です。
その良し悪しが入居率に直結します。
マンション経営を安定させるための最重要項目といえます。
入居希望者の最低限度の母数がないと、高い入居率を維持することは困難となります。
2-1-1.人口
人口の目安として、最低20万人以上抱える都市において、マンション投資を検討する必要があります。
2019年時点で、人口20万人以上抱える都市は129都市あります。
都市の規模として、
・政令指定都市(人口50万人以上)
・中核都市(人口30万人以上)
・施工時特例都市(人口20万人以上)
と、日本の大都市制度では定められています。
これに加え、将来の人口増加率・減少率、推計人口などを鑑みた立地選択が重要です。
2-1-2.交通の便
マンション立地が、最寄駅から徒歩10分圏内にありますと、入居率が高くなる傾向です。
しかし、徒歩15分圏外になりますと、入居率は下落する傾向です。
最寄駅に近いか遠いかは、入居率に大きく影響し、マンション経営の良し悪しを決めかねません。
最寄駅に近くても、
・人気沿線か否か
・快速・急行などの停車駅か否か
などによっても、乗降客数の違いにより、入居率に影響します。
2-1-3.生活の便
マンション立地近くに、コンビニやスーパー、飲食店などの商業施設が充実していますと、生活の便が良くなり、入居率は高くなる傾向にあります。
また、高齢の単身者が増加傾向にあり、マンション立地近くに病院施設や介護施設などがありまと、入居され易くなります。
2-1-4.ブランドエリア
マンション立地近くに、洒落た店舗や人気店などが並ぶブランドエリアがありますと、入居率は高くなる傾向にあります。
その分、マンション価格が高騰しますが、家賃設定を高くしても、入居希望者は増えます。
ブランドエリアであるが故に、購入価格よりも将来の売却価格の方が、高くなることもあります。
2-2.価格・築年数
2番目の優先順位は、購入価格・築年数です。
どちらも考慮しながらの投資が、重要になります。
特に影響を及ぼすのが、利回りと金融機関の不動産投資ローンの金利・貸出期間です。
2-2-1.築年帯別平均価格
公益財団法人東日本不動産流通機構が公表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」の報告書の中で、「中古マンションの築年帯別平均価格」を表したグラフがあります。
購入してから築30年まで平均価格は下がり続けますが、30年を越えると価格が上がる物件も中にはあります。
購入価格と築年数を考慮しながら、購入時期と将来の売却時期をセットにして検討します。
売却に相応しい築年数があるため、マンション所有期間も考慮します。
キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた利益が、最大となる出口戦略を、購入時に検討します。
2-2-2.築年数による購入価格や金融機関の融資条件の違い
どの購入価格帯、築年数帯を選択すれば良いのか、一概に決められません。
築年数による金融機関の金利・貸出期間や、利回りによっても異なるからです。それらの購入要因を、下表にまとめます。
2-3.利回り
3番目の優先順位は利回りです。
2-3-1.表面利回り・実質利回り・ROI
主な利回りは3種類あり、
・表面利回り
・実質利回り
・ROI(投資収益率)
です。
不動産会社の店頭・広告や不動産WEBサイトで表示されている利回りは、大半が表面利回りです。
ここでそれぞれの利回りの計算式を挙げます。
2-3-2.大都市と地方都市の利回りの違い
利回りが何%あれば良いのか、気になるところです。
大都市と地方都市とでは違ってきます。
その違いを簡略化したものを下表にまとめます。
2-3-3.中古ワンルーム投資の利回りの目安
大都市の場合、地方都市と比較して土地の仕入れ価格が圧倒的に高くなり、マンション購入価格は高騰します。
大都市と地方都市のマンション購入価格の比率が、家賃の比率と比較して、高くなるため、利回りは大都市の方が低くなります。
また必要経費・ローン返済額・購入時諸経費の違いによっても、実質利回り・ROIは違ってきます。
筆者のマンション投資の経験と、大家仲間の情報や成功者のブログなどを鑑みての表面利回り・実質利回り・ROIの目安を下表にまとめます。
必ずしもこの通りではありませんが、目安として見ていただけると幸いです。
重要なことは、表面利回りよりも実質利回り、実質利回りよりもROIの数値を優先させることです。
ROI=0が損益分岐点になります。
表3の利回りが確保できない場合、購入を避けた方がベターです。
後日、後悔しなくて済みます。
ただし、居住用となりますと、利回りは関係なくなりますので、この限りではありません。
例えば、表面利回りが5%以下のワンルームマンションは、フルローンを利用する場合、ROIがマイナスになります。
つまり家賃収入では賄いきれず、自己資金の持ち出しをしないといけなくなります。
2-3-4.売却時まで利回りを高く維持
将来において、中古ワンルームを売却する際、高利回りを維持できていないと、売却できなくなる可能性が出てきます。
そのためにも、購入時において、高利回りのワンルームを選別し、できる限り安く購入する必要があります。
ただし、優先順位はあくまでも立地、価格・築年数、利回りの順番です。
表面利回り、実質利回り、ROI(投資収益率)の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
2-4.設備
中古ワンルームマンションの中には、入居者ニーズの高い設備が充実している物件があります。
アパートよりもマンションの総住戸数の方が通常多くなり、スケールメリットにより設備が充実します。
例えば、エントランスのオートロックや宅配ボックス、ホームセキュリティなどです。
全国賃貸住宅新聞社は毎年、「入居者に人気の設備ランキング」を発表しています。
全国の不動産管理会社数百社を対象にして「この設備があれば家賃が高くても入居が決まるもの」を独自で調査・集計しランキングしています。
2-4-1.単身者向け
(出所:全国賃貸住宅新聞社)
ここ4年は、インターネット無料・エントランスのオートロック、宅配ボックスが上位を独占しています。
上位にランキングされる設備が整うワンルームマンションであれば、家賃を高めに設定しても、入居率を高く維持できる可能性が高まります。
特に、インターネット無料は、2015年から8年連続1位です。
2-4-2.ファミリー向け
(出所:全国賃貸住宅新聞社)
ファミリー向けマンションにおいても8年連続、インターネット無料は、1位となります。
2-5.購入するタイミング
購入する時期、タイミングも重要です。
大きな不動産価格のトレンドを掴むためには、日経平均株価を確認する必要があります。
様々な経済指標の中で、先行して経済状態を表すのが、日経平均株価だからです。
不動産価格は、日経平均株価が大きな変化を起こした時点より、半年後~1年後に連動します。
特に経済ショック時においては、不動産価格も連動して急落します。
2008年のリーマンショック後、日経平均株価は、2009年にバブル崩壊後の最安値を更新しました。
その際、金融機関は貸し渋りを行い、不動産価格は急落しました。
2010年前後に購入された不動産は、現在軒並み価格は上がり、キャピタルゲインを得ることができます。
2020年から始まるコロナ禍において、金融機関は貸し渋りを行っていません。
したがって、不動産価格の急落に至っていません。
しかし、今後においてリーマンショック時のように、金融機関が貸し渋りを行う可能性があります。
そうなりますと、不動産価格が急落する可能性もあります。
不動産投資家にとっては、リーマンショック時以来の、「買いチャンス」が訪れるかもしれません。
(出所:IG証券)
3.中古ワンルーム投資:利益を出す出口戦略(売却戦略)
中古ワンルーム投資における出口戦略の方法・考え方として、
・「含み資産」
・「大規模修繕工事」
について解説します。
3-1.含み資産
将来の売却価格(含み資産)と、家賃収入の累計金額との合計金額を算出することにより、売却のタイミングを図る一つの目安にすることができます。
ワンルームマンションは、築年数が経過しても不動産投資の中では比較的流動性が高くなるのがメリットです。
このメリットを活かすことにより、売却のタイミングを計ることができます。
【事例】を基にして、含み資産の考え方を説明します。
【事例1】
下記の条件設定により、将来の売却価格(含み資産)と損益収支をシミュレーションします。
項 目 | 内 容 |
購入価格 | 2,000万円 |
購入時諸経費(※1) (購入価格の4%) | 80万円 |
総投資額 | 2,080万円 |
家賃収入 (空室・家賃変動は 考慮せず) | 10万円/月 120万円/年 |
購入条件・賃貸条件
ただし、総投資額を全額自己資金にて購入(不動産投資ローンは未利用)
売却価格:1年目;購入価格の80%評価
2,000万円×80%=1,600万円
売却価格:2年目以降;1%(20万円)ずつ評価が下落
この事例の場合、5年目以降に、売却時損益はプラスになります。
しかし、必要経費・空室・家賃下落を加味すると、プラス転換は後年にずれ込みます。
立地が悪いと、家賃下落の割合が大きくなるため、プラス転換は遅くなるか最悪の場合、プラス転換しないこともあります。
プラス転換になるのを見計らい、売却のタイミングの目安とすることもできます。
3-2.大規模修繕工事
3-2-1.大規模修繕工事の時期
改修工事を定期的(築12年、24年、36年)に実施することで、
・建物の老朽化防止
・陳腐化防止
ができます。
大規模修繕工事において修繕工事だけ行いますと、新築時の状態を維持するだけで、建築後十数年経過した建物としては、価値が相対的に下がります。
改良工事(グレードアップ)を含めた改修工事を行い、建物の価値を時間経過とともに相対的に持続させることが必要となります。
(出所:国土交通省住宅局)
上記の考え方が、国土交通省よりマニュアルとして公表されて以降、単なる修繕工事(リフォーム)ではなく、改修工事(リノベーション)まで実施するマンションが増加しました。
それに伴い、大規模修繕工事にかかる費用も増加傾向にあり、毎月徴収される修繕積立金では、賄えなくなる傾向にあります。
3-2-2.大規模修繕工事から見た売却時期
大方のマンションの長期修繕計画では、12年ごとに大規模修繕工事(改修工事)を行う計画となっています。
その際、修繕積立金で不足する分は、
- 区分所有者に対して工事の一時金を請求
- 管理組合がリフォームローンを組む
などして、工事資金の原資とするマンションが増加しました。
何れにせよ区分所有者の負担となります。
一つの考え方として、大規模修繕工事の前に売却しますと、工事の不足分の支払いや管理組合のリフォームローンの支払請求からは逃れられます。
よって、大規模修繕工事の準備が始まる1年前に相当する築11年・築23年・築35年辺りが、売却時期として適当と考えられます。
大規模修繕工事 実施時期 | 中古マンション 売却時期 |
築12年 | 築11年 |
築24年 | 築23年 |
築36年 | 築35年 |
4.まとめ
以上、
- 中古ワンルーム投資:利益の種類
- 中古ワンルーム投資:利益を出す購入戦略
- 中古ワンルーム投資:利益を出す出口戦略(売却戦略)
について解説しました。
インカムゲイン(家賃収入)に重点を置いて、中古ワンルーム投資を行う方が多いようです。
しかし、キャピタルゲインにも重点を置く必要があります。
少なくとも将来の売却価格が、購入価格と比較して、下がらない工夫を施すことが重要です。
さもないと、インカムゲインの利益を、キャピタルゲインの損失が、上回る可能性があるからです。
なお、中古ワンルーム投資のメリット・デメリットについては、下記の記事をご覧ください。
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「リフォーム比較プロ」の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
6.参考・関連WEBサイト
※1 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」
公益財団法人東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201902.pdf
※2 「2020 人気設備ランキング発表」
全国賃貸住宅新聞社
https://www.zenchin.com/news/post-5540.php
※3 「日経平均の歴史」 IG証券
https://www.ig.com/jp/trading-strategies/history-of-nikkei-201204
※4 「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
国土交通省住宅局
http://m-saisei.info/horei/enkatsuka/manual/kaisyu.pdf
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