中古ワンルーム投資は、初心者に向いているらしいが、
「本当だろうか?」
と、疑問に感じておられる方はいませんか?
実は、その疑問は正しいです。
中古ワンルーム投資特有のメリット・デメリット・リスクをよく把握し、投資目的に相応しいものか否かを吟味する必要があります。
この記事では、
- 中古ワンルーム投資のメリット
- 中古ワンルーム投資のデメリット
- 中古ワンルーム投資のリスク
について解説します。
1.中古ワンルーム投資のメリット
1-1.メリット1:好立地を狙える
不動産投資の最優先事項は立地です。
立地は価格や利回りよりも優先します。
中古ワンルーム投資であれば、大都市・地方都市に関わらず、駅から徒歩圏内(徒歩15分以内)の物件が均等に供給されています。
駅近(徒歩5分以内)物件や人気エリアの物件も数多く供給されています。
アパート1棟やマンション1棟と比較しても、購入する物件の立地の選択肢は、格段に上がります。
注意点は、人口減少や世帯減少を起こしている立地のワンルーム投資は避けることです。
入居率に直接影響を与えますので、人口動態統計などを調査する必要があります。
1-2.メリット2:価格が比較的安い
中古ワンルーム投資は、不動産投資の中において、価格は安い分類に入ります。
大都市でも数百万円から購入できますので、全額自己資金での購入も可能となります。
築浅中古ワンルームマンションでも、新築ワンルームマンション価格の20%~30%安く購入することができます。
新築ワンルームマンションには、分譲会社や販売会社の様々な経費が、20%~30%ほど上乗せされて販売されるからです。
中古ワンルームマンションの場合、経費は評価されず、建物本体価格だけが評価されます。
注意点は、立地周辺の中古ワンルームマンションの相場価格をよく把握することです。
売主や不動産会社の中には、過剰な利益を上乗せしている場合があるからです。
1-3.メリット3:流動性が比較的高い
不動産会社などのWEBサイトにより、中古ワンルームマンションの売買環境は、年々改善されています。
どこに住んでいようとも、通信環境が整っていれば、PCやスマホを通して手軽に物件検索をすることができます。
1-3-1.インターネット環境が貢献
物件によっては、建物外観や周辺環境、室内の様子、設備まで、PCやスマホを通して閲覧することができます。
オンラインでの閲覧環境が整うことで、良い物件・悪い物件の識別も、し易くなります。
PCやスマホを通して、買付証明書を送信することができるWEBサイトもあります。
インターネット環境を利用しての、物件検索の質が向上することにより、益々中古ワンルームマンションの流動性は高まる見込みです。
1-3-2.人口減少は進むが、単身世帯は増加
日本の人口は、減少に転じて久しくなります。
また、国立社会保障・人口問題研究所によりますと、一般世帯総数は2023年以降に減少に転じる推計です。
しかし、単身世帯は、2023年以降も増加し続け、2032年以降にようやく減少に転じる推計です。
単身世帯が一般世帯に占める割合も2015年の34.5%から2040年の39.3%へ4.8%上昇する推計です。
それだけワンルームマンションに対する需要が、伸び続ける見込みとなり、流動性は高まると予測されます。
(出所:国立社会保障・人口問題研究所)
1-4.メリット4:融資環境が整備
不動産販売会社と一部の金融機関により、中古ワンルーム投資に対して融資する「提携ローン」が、徐々に増えています。
金利も優遇される場合がありますので、金銭的な投資環境も整いつつあります。
なお、不動産投資ローンについては、下記の記事をご覧ください。
1-5.メリット5:相続税対策に有効
資産家にとって、相続税対策は悩みの種です。
しかし、不動産投資により、相続税を減額することができます。
特にワンルーム投資は、建物評価割合が土地評価割合よりも大きくなります。
そのため、相続税評価額が落ちやすい特徴があり、相続税対策に有効です。
相続税の計算方法について概説しますが、計算式は下記の通りです。
現金・預金・有価証券などは、時価で評価され、相続税評価額は100%評価です。
しかし、不動産(土地・建物)の場合、時価よりも下げて評価されます。
中でも建物評価額は土地評価額よりも下がる割合が大きいため、ワンルーム投資は、相続税対策に対して効果が大きくなります。
なお、相続税率・控除額は国税庁のWEBサイトに掲載されています。(※2)
1-5-1.土地相続税評価額
土地相続税評価額は、市街地内では路線価方式で評価され、地価公示価格の約80%の評価額になります。
その土地に賃貸物件が立地しますと、貸家建付地(かしやたてつけち)評価となり、土地評価額はさらに約20%(借地権割合×借家権割合)下がります。
トータルで土地相続税評価額は、80%×80%=約64%の評価となります。
1-5-2.建物相続税評価額
建物相続税評価額は、固定資産税評価額が使用されます。
建築構造により、評価額は異なります。
相続税に強い税理士へのヒアリングによりますと、建物新築時の40%前後(RC造)の評価額になります。
中古マンションの場合、築年数経過により評価額は既に落ちていますので、購入価格の50%前後の評価額となります。
その建物が賃貸物件である場合、建物相続税評価額はさらに30%(借家兼割合)下がり、70%の評価となります。
トータルとして、建物相続税評価額は、50%×70%=35%の評価となり、建物価格の約3分の1まで、落とすことができます。
1-5-3.事例
【事例1】
現金1億円を所有する資産家が、相続税対策のために中古ワンルーム投資を検討する場合を想定します。
・相続税対策を採らない場合の相続税額
・相続税対策を採る場合の相続税額
を比較します。
家族構成は妻と子供2人で、法定相続人は3人とします。
購入物件などの条件は下記の通りです。
【相続税対策を採らない場合】
相続税={1億円―(3,000万円+3人×600万円)}×30%-700万円=860万円
【相続税対策を採る場合】
建物相続税評価額=(1,500万円×45%)×(100%―30%)=472.5万円
472.5万円×2戸=945万円
土地相続税評価額=500万円×80%×(100%-60%×30%)=328万円
328万円×2戸=656万円
中古ワンルーム相続税評価額(2戸)
=945万円+656万円=1,601万円
中古ワンルームマンションの2戸の
・購入価格は4,000万円
↓
・相続税評価額は1,601万円
になりました。
これが不動産投資の相続税対策の「からくり」です。
マンション購入後の相続税額を計算しますと、
マンション購入後の現金残高
=1億円-4,280万円=5,780万円
相続税評価額=マンション評価額+現金残高
=1,601万円+5,780万円=7,381万円
相続税={7,381万円―(3,000万円+3人×600万円)}×15%-50万円=337.15万円
したがって、
・対策を採らない場合の相続税:860万円
・対策を採る場合の相続税:337.15万円
まで減額されました。
その差額は、522.85万円となり、割合は、39.2%(60.8%減額)となりました。
なお、相続税については、下記の記事をご覧ください。
1-6.メリット6:団体信用生命保険(団信)の活用
遺族もしくは高度障碍者に認定された契約者の家族にとっては、事実上無借金状態になります。
家賃収入からローン返済額を差し引かれることが無くなり、キャッシュフローは格段に良くなります。
しかし、ローン金利は、通常よりも若干高くなります。
2.中古ワンルーム投資のデメリット
2-1.デメリット1:必要経費の支払い
必要経費として、管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税などの出費があります。
これらの出費を甘く(少なく)見ますと、購入後に後悔することとなります。
また、サイズが小さい分、キャッシュフロー(手残り額)も小さくなります。
まとまった収益を確保するには、戸数の拡大が必要です。
家賃収入に対するキャッシュフロー、必要経費、ローン返済額の割合(目安)を下図に示します。
必要経費は概ね固定的な出費となります。
キャッシュフローは、空室率とローン返済額が減少すれば大きくなります。
逆に、空室率とローン返済額が増大すれば小さくなり、赤字になることもあります。
上図より空室率が0(満室状態)であっても、ローン返済額割合が75%を超えると、キャッシュフローはマイナスになることがわかります。
なお、キャッシュフローについては、下記の記事をご覧ください。
2-1-1.管理費
管理費の主な内訳・使途は、下記の通りです。
- 共用部分の清掃・ゴミ処理
- 共用部分の水道光熱費
・エレベーター・受水槽稼働の電気代
・照明の電気代
・清掃の水道代、など - 共用部分の火災保険料・損害保険料
- 共用設備の保守点検・維持管理
・エレベーター・受水槽の点検
・照明電球交換、など - 共用部分のセキュリティ費用(24時間監視システムなど)
- 共用部分の植栽の維持管理(水やり、剪定)
- 管理業務委託費:管理会社への支払い
・管理員、コンシェルジュ(窓口秘書業務)などの人件費
・総会議事録作成、など - ⑧管理組合の運営費
2-1-2.修繕積立金
修繕積立金の主な内訳は下記の通りです。
- 外壁の修繕工事:タイル張替、吹付塗装、など
- 屋根・屋上の修繕・防水工事
- 共用部分の廊下・階段の修繕・防水工事
- 給排水管の修繕工事:受水槽、給水管、排水管、など
- エレベーターの修繕・取替工事
2-1-3.固定資産税・都市計画税
毎年かかる必要経費として、土地・建物に対して課税される固定資産税・都市計画税があります。
固定資産税・都市計画税の課税標準評価額は3年ごとに見直しされ、建物の評価額は少しずつ減少します。
したがって固定資産税・都市計画税も少しずつ下がります。
なお、固定資産税・都市計悪税については、下記の記事をご覧ください。
2-2.デメリット2:収益の拡大に時間を要する
中古ワンルーム投資は、購入価格が安くなることがメリットです。
しかし、その分収益も小さくなります。
事例を挙げて説明します。
【事例2】
下記条件の中古ワンルーム投資をした場合、キャッシュフローを計算します。
頭金の違いによる計算結果を下表にまとめます。
違いによるキャッシュフロー
現在の東京都内において、表面利回り8%出る中古ワンルームマンションは、比較的良い方です。
しかし、購入時諸経費+購入価格の20%の頭金を投資しても、年間キャッシュフローは17万円程度です。
この条件で30万円/月、360万円/年のキャッシュフローを得るためには、同様な中古ワンルームマンションを22戸以上も所有しなければなりません。
収益の拡大に時間を要します。
2-3.デメリット3:担保価値が低い
都市銀行や信託銀行などの査定が厳しい金融機関になりますと、物件評価が思ったよりも小さくなることがあります。
物件の事業収支審査の場合、現行金利+2%の金利によりシミュレーションされます。
その計算結果が、プラスになるように融資金額が決められ、不足分は自己資金で補足する必要があります。
2-4.デメリット4:日常修繕費が掛かる
修繕積立金は、マンション共用部分の修繕補修費として使われます。
専用部分である住戸内は、対象になりません。
住戸内の洗面・浴室・キッチン・トイレなどの水回りや給湯器・エアコンなどの設備が劣化・損傷した場合、区分所有者が修繕・補修をしなければなりません。
また、入居者が入れ替わりますと、
・クリーニング費用
・天井・壁・床のクロス材の張替え
など、必要に応じて修繕補修する費用を要します。
なお、修繕については、下記の記事をご覧ください。
2-5.デメリット5:都心部のワンルーム投資は利回りが低い
東京都心部など、大都市中心部に立地する中古ワンルームマンションは、利回りが低くなります。
表面利回りが、3%~5%しかない物件も多々見受けられます。
投資目的ならば、絶対に購入をしてはいけない利回りです。
利益を出す最低限度の利回りの目安を下表にまとめます。
利益を出す利回りの目安
なお、中古ワンルーム投資で利益を出す方法については、下記の記事をご覧ください。
2-6.デメリット6:瑕疵を有する可能性有
中古ワンルーム投資の場合、瑕疵(劣化損傷・欠陥など)を有している可能性があります。
特に入居者がいる場合、内覧をすることは困難となりますので、事前に見つけることはできません。
特に問題になるのが、給湯器やエアコン、水回り(台所流し、洗面、ユニットバス、トイレ、水道管、蛇口、排水管など)です。
しかし、2020年4月1日より、改正された民法が施行されました。
売買契約における「瑕疵担保責任」という概念から、新たに「契約不適合責任」という概念へと代わることになりました。
2-6-1.瑕疵担保責任
買主が気を付けても発見できないような瑕疵については、売主の責任とされます。
「瑕疵担保責任」の主な内容は、「損害賠償」と「契約解除」になります。
2-6-2.契約不適合責任
2-6-3.瑕疵担保責任と契約不適合責任との違い
ここで、瑕疵担保責任と契約不適合責任との違いを下表にまとめます。
(出所:住宅金融普及協会)
なお、契約不適合責任の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
3.中古ワンルーム投資のリスク
中古ワンルーム投資のリスクには、
・空室
・滞納
・築年数経過による修繕積立金の増額
・自然災害による劣化・損傷
などがあります。
何れも事前に対策を施せば、
・入金見込額減少
・経費増大
・損害額
などを最小限度に抑えることができます。
3-1.リスク1:空室
立地や家賃設定を間違えますと、入居率に影響を及ぼし、家賃収入が入らなくなります。
入居者は、多くの選択肢の中から物件を選択することができます。
中古マンション投資は、所有者ができる努力は全て行ない、入居率を上げる努力が必要です。
それらを管理会社任せにし、維持管理を怠りますと、空室率が上がります。
また、空室が続きますと、ローン返済や管理費・修繕積立金の支払いにも滞りかねません。
空室対策としては、所有する中古マンションが立地する最寄りの不動産会社へ自ら出向き、入居者付けを依頼する努力は最低限必要です。
その際、仲介料を多めに設定するなどのボーナスを付加し、不動産会社にインセンティブの付与を行います。
3-2.リスク2:滞納
滞納は空室よりも厄介な問題です。
筆者も経験しましたが、部屋を使用されて家賃を払わない訳ですから、所有者にとってはストレスが非常に溜ります。
万が一、滞納が生じましたら、1か月目から「家賃未払い通知」を書面で提出するなどの素早い対応が必至となります。
3か月以上の滞納になれば、弁護士・司法書士に依頼をかけ、強制退去にもっていく覚悟が必要です。
対応が遅れますと、収拾できない事態となります。
なお、実際に筆者が家賃滞納などに遭った体験談を記事にしましたので、ご覧ください。
3-3.リスク3:修繕積立金の増額
「長期修繕計画」通りに修繕積立金が徴収されていますと、問題はありません。
しかし、滞納者が多数出たりしますと、資金不足に陥ることもあります。
また、劣化・損傷が想定よりも酷くなりますと、長期修繕計画よりも多額の修繕費用が必要になります。
その場合、マンション所有者から一時金を別途徴収するか、管理組合が金融機関から融資を受けて資金調達をすることになります。
いずれにしても、マンション所有者の負担は増大します。
3-4.リスク4:自然災害による劣化・損傷
国内に物件がある限り、地震・台風・豪雨・高潮・洪水などの自然災害から逃れることはできません。
特に地震や風害は立地に関係なく生じます。
屋根・外壁・廊下・階段などの建物被害は、毎月積立てる修繕積立金や火災保険などで賄えます。
しかし、室内の被害は、自身が入る火災保険などで賄わないといけません。
補償内容を確認した上で、火災保険・地震保険に入ることは必須です。
なお、台風被害に関する火災保険については、下記の記事をご覧ください。
4.まとめ
以上、
- 中古ワンルーム投資のメリット
- 中古ワンルーム投資のデメリット
- 中古ワンルーム投資のリスク
について解説しました。
中古ワンルーム投資は、不動産投資の中では、比較的価格が安い分類に入ります。
しかし、安易に購入して失敗しますと、取り返しのつかない事態に陥ります。
なお、中古ワンルーム選定の優先順位につきましては、下記の記事をご覧ください。
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なお、「リフォーム比較プロ」の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
6.参考・関連WEBサイト
※1 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」2018(平成30)年推計
―2015(平成27)年~2040(平成52)年―
国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_gaiyo_20180117.pdf
※2 「No.4155 相続税の税率」(令和2年4月1日現在法令等)
国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
※3 「瑕疵担保責任から契約不適合責任へ」
一般財団法人住宅金融普及協会
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