2019年10月に発生した台風19号の豪雨により、隅田川・荒川は、氾濫寸前まで河川流量が増加しました。
今後、益々台風が大型化することを考慮しますと、荒川が氾濫しないという安全神話は、崩れようとしています。
この記事では、
- 2019年台風19号の衝撃
- スーパー堤防の現状と課題
- 大深度地下工法による被害発生
- 荒川地下河川の提案(ハード面)
- 国家戦略特区指定の提案(ソフト面)
について解説します。
甚大な被害を未然に防御するためにも、河川法などの更なる改正を実施して、ハード・ソフト両面にわたる水害対策が必至です。
1.隅田川・荒川の洪水対策:2019年台風19号の衝撃
2019年10月に発生した台風19号により、多摩川が氾濫し、タワーマンションなどに浸水被害が生じました。
また、荒川においては、隅田川の起点となる岩淵水門が、12年ぶりに閉鎖されました。
隅田川に流れるはずだった大量の水が、荒川へ放流され、どこで氾濫してもおかしくないとされる氾濫危険水位まで、あと53センチに迫りました。
1-1.岩淵水門閉鎖により、隅田川は氾濫を回避
2019年の台風19号による荒川の洪水水位は、隅田川堤防天端高よりも、27cm高いことが判明しました。
岩淵水門を閉鎖しなかった場合、北区・足立区・荒川区・台東区・中央区・千代田区・墨田区・江東区に、甚大な浸水被害をもたらしたことになります。
その状況を報道した「TBS NEWS」によるYouTube動画があります。
荒川の水位は、7.17mに達しましたが、隅田川の堤防天端高は、6.9mしかありません。
荒川の水位が、隅田川の堤防天端高よりも0.27m高かったのです。
しかし、隅田川が氾濫せずに済んだのは、岩淵水門により荒川から隅田川に洪水が流れるのを阻止したためです。
1-2.荒川が氾濫した場合
荒川(放水路)が完成して以来、一度も水害を起こすことのなかった荒川堤防の安全神話が、崩れようとしています。
国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所は、この状況を受け、荒川が氾濫した場合を想定したシミュレーション動画を制作しました。
荒川が氾濫する可能性の高い箇所として、
- JR東日本京浜東北線荒川橋梁(東京都北区)
- 京成電鉄本線荒川橋梁(東京都足立区)
の2箇所を挙げ、氾濫シミュレーションしています。
1-1-1.JR京浜東北線荒川橋梁付近の堤防が決壊した場合
東京都北区の堤防が決壊し、荒川が氾濫した場合のシミュレーションです。
荒川上流域に大雨が3日間降り続き、合計降水量が500mmを大きく上回る想定です。
荒川の弱点とされているJR京浜東北線荒川橋梁付近の右岸堤防が決壊し、濁流が都心へと流れていく状況を現わしています。
- JR、地下鉄など全線の運行はストップ、復旧の目途が立たない状況
- 濁流は、地下鉄出入口から浸水し、鉄道網を伝って被害拡大の状況
- 浸水域は、北区・板橋区・荒川区・足立区・台東区などに達する状況
- その後、中央区・千代田区のオフィス街は、全ての機能停止
- 東京都内大半のライフラインはストップ
- 国内経済活動に甚大な被害
など、刻々と被害が拡大していく様子をシミュレーションしています。
具体的な想定被害者数は、下表の通りです。
被害項目 | 被害者数 |
死者数 | 約2,300人 |
孤立者数 | 約540,000人 |
した場合の被害状況
水が引くまでに、長い所で1か月以上かかる見込みと分析しています。
1-1-2.京成本線荒川橋梁付近の堤防が決壊した場合
成田空港へのスカイライナーなどが走る京成本線荒川橋梁付近も堤防決壊が懸念されている箇所の一つです。
理由は、堤防よりも低い位置に橋梁が架かっているためです。
ここで、荒川右岸の堤防が決壊した場合、
- 足立区を中心に、荒川と隅田川に挟まれた地域は水没
- 台東区・荒川区・北区・墨田区も水没
- 地下鉄網を通して浸水し、都心に到達
など、刻々と被害が拡大していく様子をシミュレーションしています。
具体的な想定被害者数などは、下表の通りです。
被害項目 | 被害者数・戸数 |
死者数 | 約4,100人 |
浸水戸数 | 約510,000戸 |
孤立者数 | 約390,000人 |
した場合の被害状況
2.隅田川・荒川の洪水対策:スーパー堤防の現状と課題
隅田川・荒川は、度重なる洪水被害により、様々な治水対策が施されました。
その中の一つが、スーパー堤防です。
スーパー堤防の現状と課題について触れます。
2-1.ゼロメートル地帯
隅田川・荒川・江戸川が並行して流れる地域は、東京東部低地帯といわれるゼロメートル地帯です。
概ね、JR京浜東北線付近を境界として、西側が台地、東側が東部低地帯となります。
2-2.東部低地帯の治水事業の背景・経緯・治水対策
昭和48年まで続いた地盤沈下により、現在の地盤高は下図のようになっています。
上図の赤線部で東西に切った断面図は、下図の通りです。
東京東部低地帯の治水事業の背景・経緯・治水対策については、下記の記事をご覧ください。
2-3.江東5区大規模洪水ハザードマップ
東部低地帯に位置する江東5区(江東区・墨田区・足立区・葛飾区・江戸川区)には、大規模水害によって浸水の可能性がある区域に約250万人が居住しています。
「江東5区広域避難推進協議会」は、大規模水害による犠牲者0の実現に向け、関係機関と連携して検討を進めてきました。
その後、平成30年8月22日に「江東5区大規模水害ハザードマップ(以下、ハザードマップ)」及び「江東5区大規模水害広域避難計画」を発表しました。
前提となる降雨量は、下表の通りです。
荒 川 | 荒川流域の3日間総雨量:632mm |
江戸川 | 利根川流域の3日間総雨量:491mm |
(いずれも想定最大規模)
下図は、荒川と江戸川の浸水想定区域図を重ね合わせて作成したハザードマップです。
(出所:江東区)※5
2-4.スーパー堤防(高規格堤防)
スーパー堤防(高規格堤防)は、従来の堤防と比較して、幅の広い堤防で、堤防の高さの約30倍の幅があります。
スーパー堤防は、原則として
- 用地買収をしない
- 土地の所有権等はそのまま
- 堤防上に建物を建て、人が住むことが可能
です。
(出所:国土交通省河川局)※6
スーパー堤防は、
- 越水しても堤防上を緩やかに水が流れる
- 堤防斜面・内部の侵食による決壊を防ぐ
- 地盤改良により強い地盤とするため、壊滅的な被害を防ぐ
- 災害時には、住民の避難場所等として活用
などの利点があります。
- 市街地再開発事業
- 土地区画整理事業
などのまちづくりと、スーパー堤防事業との共同事業により実施することで、安全で快適な空間を創出できます。
2-5.スーパー堤防の現状
スーパー堤防の整備状況(2017年3月時点)は、下表の通りです。
(出所:国土交通省河川局)※6
荒川におけるスーパー堤防の整備状況は、
- 全ての形状を含む整備延長:6.2km(12%)
- その内、スーパー堤防の基本的な断面形状が確保された区間延長:0.7km(1.4%)
となります。
整備進捗度合いが、非常に遅々とした状況であることがわかります。
2-6.スーパー堤防の課題
上記のスーパー堤防進捗度合いが、遅くなる原因として下記の項目が考えられます。
2-6-1.調整不調による工程の長期化
- 複数の地権者同士の開発合意が困難
- 建替え予定の建物の構造やスケジュール調整が困難
- 埋蔵文化財調査が必要になり、スケジュールの長期化
2-6-2.補償の不調による工期の長期化
- 住宅の築年数が長短混在し、一体的整備が困難
- 建物の建替え補償に不服
- 新設学校の建替えは、補助金等に関わる予算執行適正化に関する法律に抵触
- 墓地対応が困難
- 移転費用高額化による合意形成の不調
2-6-3.周辺環境悪化による不調により工期の長期化
- 盛土部分に、高い建物の建築よる近隣の日照条件悪化
- 周辺の利便性悪化による合意形成の不調
2-6-4.物理的条件による工期の長期化
- 荒川に架かる橋梁構造と堤防高さとの調整が困難
- 敷地形状や道路アクセス問題などで、合意形成の不調
スーパー堤防の対象地域は、公共の所有割合よりも民間の所有割合の方が大きくなります。
これまで整備されてきた地域の割合は、公共の所有である場合が多くなります。
したがって、民間の所有地への攻略が課題です。
3.隅田川・荒川の洪水対策:大深度地下工法による被害発生
近年、大深度地下工法による事故発生が、少なからず見受けられるようになりました。
それに伴い、地下構造物に対する対象地域の住民反発が、起こるようになり、工事がストップする事例もあります。
3-1.リニア中央新幹線の工事がストップ
リニア中央新幹線の工事をめぐり、国の有識者会議に対して、静岡県難波副知事が反論しています。
国の有識者会議では、「トンネル内に湧き出た水が、静岡県外に流出しても、大井川の河川流量は維持される」と、結論を出しました。
それに対し、静岡県難波副知事は、「結論は、重大な問題がある」と指摘しました。
また、「リスクがゼロであるような説明をJR東海が続ける限り、大井川流域の住民の信頼は得られない」と厳しく指摘しました。
難波副知事がJR東海の資料と座長コメントに反論(静岡県)
出所:SBSnews6
現時点(2021年6月)では、静岡県の了解を得られず、リニア中央新幹線の工事は、ストップしたままです。
3-2.東京外環道工事の陥没問題
東京・調布市で、道路の陥没や空洞が、相次いで見つかりました。
この問題で、2021年3月19日午後、有識者委員会の最終報告が行われ、「高速道路のトンネル工事に問題があった」と、結論づけました。
東京外環トンネル施工等検討委員会 小泉淳委員長は、
「結果として、土砂を取り込みすぎたということで、空洞が発生したことになる。
それは、施工に課題があったというのが結論」としました。
東京外環道工事「施工に課題があった」
出所:TBS NEWS
今後は、大深度地下を利用する工事に対して住民の疑念が生じ、他の大深度地下工事に対する厳しい目が向けられると想定されます。
次の「TBS NEWS」においては、住民の不安・疑問・怒りの声が取材されています。
トンネル工事の影響認める NEXCO東日本【Nスタ】
出所:TBS NEWS
3-3.住宅密集地の地下では、大深度地下工法でも困難になるか?
上記2件の事例は、大深度地下工法の安全神話を覆し、大幅に事前対策の改善が求められると考えられます。
3-3-1.大深度地下工法への影響
リニア中央新幹線の場合、山中の事例ですが、トンネル工事の影響による大井川の河川流量が減少する懸念に対して、地域住民が猛反発しています。
その結果、リニア中央新幹線の工事は、静岡県知事の判断によりストップしています。
また、別の問題でも、情報開示が成されていない理由で、訴訟が起きています。
一方、東京外環道工事の陥没問題の場合、大深度地下工法の安全神話が、完全に崩れ去りました。
事業者であるNEXCO東日本も、工事が原因で陥没が発生したことを認めています。
これまでは、地下40m以上の大深度における地下工事では、
- 用地買収
- 補償問題
- 十分な地質調査
などを考慮しなくても、工事を進めることができました。
今後は、大深度地下工法を採用する工事においても、上記項目を検討・調査・対策を取らざるを得ないと、マスコミ各社は報じています。
そうなりますと、
- 事業費の大幅増加
- 工期の長期化
に繋がり、プロジェクト自体の意義が、問われることになります。
3-3-2.地下河川建設の場合
大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)を中心に、治水対策を目的として、大深度地下工法による地下河川が造られてきました。
それ自体は、河川氾濫を大幅に減少させ、当初の目的を十分に果たしているといえます。
しかし、今後の大深度地下工法による地下河川の建設は、特に住宅密集地の地下を掘り進める場合、住民に対して詳細な事前説明が必要になると思われます。
「情報開示が成されていない」と判断されますと、静岡県のリニア中央新幹線工事のように、長期間に亘る工事ストップが想定されます。
何故なら、「地下河川により洪水被害が減少する前に、地下工事により自宅が陥没してしまう」と心配するからです。
3-3-3.大深度地下工法を採用する場合
今後、大深度地下工法を採用する場合、
- 住民説明において、情報開示を徹底的に行う姿勢
- 住民が安心・安全を感じることができる補償の充実
- 工事中においても、振動・騒音データなどの計測・開示
などが必要になると思われます。
もしくは、住宅密集地を避けて、計画立案することです。
住宅密集地以外でも、上記項目の整備は少なからず必要になりますが、住宅密集地と比較しますと、事業費の削減や工期の短縮化を図ることができます。
4.隅田川・荒川の洪水対策:荒川地下河川(荒川第2放水路)の提案(ハード面)
荒川地下河川とダイクハウスの概要を解説します。
4-1.隅田川・荒川における地下河川の検討
隅田川・荒川の洪水対策は、「2-6.スーパー堤防の課題」でも解説しました様に、遅々として進みません。
しかし、毎年のように
- 大型台風が来襲
- 線状降水帯が発生
して過去最大降雨量を更新している現状では、近い将来において、隅田川・荒川の決壊を想定する必要があります。
しかし、東京都区部は、世界有数の人口密度が高い地域です。
新たな治水施設を設けるにしても、
- 敷地の確保
- 移転などの補償問題
などを考慮しますと、地上に設けることは、現実的ではありません。
そこで、現状の河川敷地内での地下河川案が浮上します。
ちなみに筆者は、2019年3月よりこの案を提唱しており、下記の記事でも紹介しています。
よろしければご覧ください。
4ー2.隅田川・荒川の河川地下横断構造物
岩淵水門から下流の隅田川と荒川の河川地下横断構造物を、下表にまとめます。
隅田川の河川地下横断構造物は、鉄道ばかり9路線あります。
しかし、岩淵水門から下流側の荒川において、河川地下横断構造物はありません。
他にも河川地下横断構造物がある場合、ご教示をいただければ幸いです。
上表より、地下河川を検討する場合、荒川の河川敷内で検討することが、良策といえます。
4-3.ダイクハウス(堤防住居)の検討
ダイクハウスは、オランダ語での呼び名で、日本語では堤防住居のことです。
- ダイクハウスのメリット
- スーパー堤防のメリット
を活かしあい、両者のデメリットを相殺することにより、東京東部低地帯におけるゼロメートル地帯の早期高台造成化を図ります。
4-3-1.ダイクハウスとは?
ヨーロッパ各地に普及していますが、特にオランダで発達しています。
住居以外にも民宿やホテル、カフェ・バーなどもあります。
ダイクハウスの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
4-3-2.ダイクハウスのメリット・デメリット
ダイクハウスのメリット・デメリットを下表にまとめます。
4-3-3.スーパー堤防のメリット・デメリット
スーパー堤防のメリット・デメリットを下表にまとめます。
4-3-4.ダイクハウスとスーパー堤防との一体化により、ゼロメートル地帯の早期高台造成化
ダイクハウスの法整備などを行った上で、
- スーパー堤防計画地内の立退き・移転交渉
- その他高台造成化を図る地域の立退き・移転交渉
と並行して河川区域内にダイクハウスを建築します。
移転先の一つとして、ダイクハウスを選択し、空室が出れば、高台造成化を図る計画地内から入居者を募集します。
移転後の既存住宅やビルなどの解体工事を進めていき、
・スーパー堤防用地
・高台造成化を図る用地
を確保します。
用地の確保が終われば、地盤の嵩上げ工事を行い、スーパー堤防建設や高台造成を完了させます。
スーパー堤防の早期実現化イメージ
ダイクハウスが建築されれば、スーパー堤防が建設未了でも、洪水や高潮による氾濫から逃れる避難場所として、機能します。
4-4.地下河川とダイクハウスとの一体化により、洪水対策に万全なまちづくりを実現
以上、
- 隅田川・荒川の洪水対策として、地下河川の提案
- ゼロメートル地帯の早期高台造成化を図る対策として、ダイクハウスの提案
を行います。
4-4-1.「東京東部低地帯デルタプロジェクト」
上記の提案は、個別に進めるのではなく、一体化する必要があります。
また、高台造成化するために、盛土に利用する土砂が必要になります。
その土砂の調達は、
- 地下河川建設による掘削土砂
- 東京都民のゴミ・建設廃材
などを利用します。
東京都のゴミ問題は、ゴミ埋立地の容量限界に達するまでの時間が、刻々と迫っていることにあります。
その解決策として、ゼロメートル地帯の高台造成化に活路を見出すことができます。
4-4-2.荒川地下河川ルート図
荒川地下河川のルートを下図に示します。
4-4-3.荒川地下河川洪水取入口位置図
荒川地下河川の始点は、
- 荒川右岸地下河川:岩淵水門の下流側
- 荒川左岸地下河川:JR京浜東北線荒川橋梁の上流側
を想定します。
岩淵水門より下流側には、荒川の地下に鉄道や道路の河川地下横断構造物はありません。
しかし、岩淵水門上流側には、荒川と新河岸川の地下に、埼玉高速鉄道の横断構造物があります。
埼玉高速鉄道よりも上流側に地下河川を設ける場合、埼玉高速鉄道よりも深度の深い位置に建設する必要があります。
4-4-4.荒川地下河川横断図イメージスケッチ
岩淵水門の下流側を想定した荒川地下河川のイメージスケッチを挙げます。
4-4-5.荒川地下河川洪水負担
隅田川と荒川の洪水負担(案)は、
- 荒川右岸地下河川:隅田川と荒川の一部洪水
- 荒川左岸地下河川:荒川の洪水
とします。
隅田川の下流部は、
- 日本銀行
- 東京証券取引所
- 上場会社・大中規模会社の本社
などが集積する日本の金融・経済の中心となるため、隅田川氾濫を絶対に生じさせない措置を取る必要があります。
なお、「バーチャル荒川地下河川」を制作しましたので、下記の記事をご覧ください。
5.隅田川・荒川の洪水対策:国家戦略特区指定の提案(ソフト面)
荒川地下河川やダイクハウスを活用した早期高台造成化に向けて、様々な法改正を伴うため、国家戦略特区の指定を受ける必要があります。
国家戦略特区の概要を解説します。
5-1.国家戦略特区とは?(※7)
国家戦略特区制度は、成長戦略の実現に必要な、大胆な規制・制度改革を実行し、
「世界で一番ビジネスがしやすい環境」
を創出することを目的に創設されました。
経済社会情勢の変化の中で、自治体や事業者が創意工夫を生かした取組を行う上で障害となってきているにもかかわらず、長年にわたり改革ができていない「岩盤規制」について、規制の特例措置の整備や関連する諸制度の改革等を、総合的かつ集中的に実施するものです。
(出所:内閣府)
5-2.特区の違い(※7)
全国からの提案募集を通じ、現場から寄せられた規制改革のニーズを実現するため、これまで
・構造改革特区
・総合特区
・国家戦略特区
の3つの特区制度を措置してきました。
3つの特区は、それぞれ異なる特徴がありますが、国家戦略特区と構造改革特区との提案を一体で受け付けるなど、連携して運用を行っています。
5-3.国家戦略特区のしくみ(※7)
国家戦略特区は、
- 岩盤規制を突破する「特例措置の創設」
- 実現した特例措置を自治体や民間の方に活用していただく「個別の事業認定」
の二つにプロセスがあります。
「特例措置の創設」のための規制緩和提案は、誰でも行うことができ、随時募集を行っております。
規制の特例措置は、国家戦略特区のエリア内でのみ活用することが可能で、二つ目の「個別の事業認定」のプロセスを経て、認定されます。
なお、国家戦略特区で行われた規制改革は、全国規模でその成果を享受できるよう、積極的に全国展開を進めています。
5-3-1.特例措置の創設
- 自治体、事業者等提案者からの提案
- 民間有識者が主導する特区ワーキンググループが調査・検討
- 必要に応じて特区諮問会議が審議を行い、各所管大臣の同意を得た上で対応方針を決定
- 特区法若しくは関係法令等の改正等により、特例措置を実現
5-3-2.個別の事業認定
- 事業者を公募し、必要に応じ、専門家や関係省庁も交えた各区域の分科会を開催
- 国、自治体、及び公募事業者で構成する区域会議が区域計画案を策定
- 特区諮問会議がその区域計画案について審議し、総理が認定
- 認定の結果、規制の特例措置等を活用することが可能
(出所:内閣府)
6.まとめ
以上、
- 2019年台風19号の衝撃
- スーパー堤防の現状と課題
- 大深度地下工法による被害発生
- 荒川地下河川の提案(ハード面)
- 国家戦略特区指定の提案(ソフト面)
について解説しました。
隅田川・荒川の新たな洪水対策を記しました。
しかし、東部低地帯は、高潮・津波による被害の方が、洪水による被害よりも大きくなる傾向にあります。
高潮・津波対策については、ダイクハウスを活用した
・スーパー堤防の早期実現化
・東部低地帯の早期高台造成化
により対応可能です。
徳川家康は、1600年代初頭、上水・治水対策として
・神田上水事業
・玉川上水事業
・利根川東遷事業
などを行いました。
土木技術の先人たちは、1900年代初頭、荒川放水路(現在の荒川)を建設しました。
2000年代の現代人が、江戸東京を水害から守るために、荒川地下河川事業などの国家プロジェクト級の治水事業をできないようでは、徳川家康や土木技術の先人たちに、お叱りを受ける気がいたします。
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- 1級・2級管工事施工管理技士
- 1級・2級造園施工管理技士
- 1級・2級建設機械管理技士
- 1級・2級電気通信施工管理技士
の国家試験受験者
8.参考・引用WEBサイト
※1 国土交通省関東地方整備局
荒川上流河川事務所
https://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/index.html
※2 国土交通省関東地方整備局
荒川下流河川事務所
https://www.ktr.mlit.go.jp/arage/
※3「荒川水系河川整備計画【大臣管理区間】(変更案)」
平成28年3月(令和2年7月変更)
国土交通省関東地方整備局
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000779493.pdf
※4「東京の低地の概要」
東京都建設局
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/chisui/jigyou/teichi.html
※5「江東5区大規模水害ハザードマップ・江東5区大規模水害広域避難計画について」
江東区
https://www.city.koto.lg.jp/057101/bosai/bosai-top/topics/20180822.html
※6「高規格堤防の現状」
国土交通省河川局
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/pdf/2-1_genjyo.pdf
※7「国家戦略特区」 内閣府
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/index.html
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