水辺ウォーキング水都大阪シリーズは、大阪「水の回廊」を1周するところから始まりました。
今回は、大川下りを始めます。
大川下りといいましても、大川 → 堂島川 → 安治川 → 大阪湾 と3つの河川を歩きます。
そのルートは、下図の通りです。

大川・堂島川・安治川ルート図
前回と同様に、川沿いを歩きながら、橋や史跡、遺跡、神社仏閣などにも寄り道をします。
また、美味しい酒と肴がありそうな店には、迷わず入ります。
前回の大阪「水の回廊」を巡る旅の様子は、下記の記事をご覧ください。




※ 余談ですが、Googleにおいて「大阪水の回廊」と検索しますと、上位10位以内に上記の記事がランクインされています。
1.水辺ウォーキング水都大阪:大川:淀川大堰・毛馬排水機場・毛馬閘門
水辺ウォーキング水都大阪:大川のスタート地点は、淀川と大川の分岐点となる淀川大堰です。
先ずは、今回歩くルートを下図に示します。




この記事では、淀川大堰から大川に架かる飛翔橋までを案内します。
川らしく蛇行している様子が、何とも良いです。
1-1.淀川大堰(よどがわおおぜき)




スタート地点は、淀川大堰です。
1-1-1.淀川大堰とは?
1-1-2.ついに淀川大堰閘門建設発表!(※1)
2021年3月30日に、国土交通省近畿地方整備局は、淀川大堰に閘門を建設する旨を発表しました。
Δ「淀川大堰閘門の整備に令和3年度から新規着手します」
出所:国土交通省近畿地方整備局(※1)




出所:国土交通省近畿地方整備局(※1)
筆者が所属する環境総合整備機構におきましても、他の水辺団体と連携して、国土交通省・大阪府・大阪市・土木学会などに、橋下元知事が提唱する以前から、淀川大堰閘門建設をはたらきかけてきました。
その願いが、ようやく成就することになります。
淀川大堰閘門が完成しますと、「京都伏見:「寺田屋」周辺」と「夢洲:2025年大阪国際博覧会会場」とが、舟運で結ばれることになります。




出所:国土交通省近畿地方整備局(※1)
以上のことは、下記の記事でも案内させていただきました。
よろしければ、ご覧ください。




1-2.毛馬排水機場(けまはいすいきじょう)・毛馬水門(けますいもん)(※2)




毛馬排水機場が設置されている寝屋川流域は、
- 東側を金剛生駒紀泉国定公園に指定されている生駒山地
- 西側を大阪城から南に伸びる上町大地
- 北側を淀川
- 南側を大和川
に囲まれた
・東西方向約 14km
・南北方向約 19km
の盆地状の地形をしていて、流域面積は 267.6km2 です。
流域内人口は約 273 万人で、大阪府全体の約 31%を占めます。
寝屋川流域は低平地のため、浸水被害が繰り返し発生しました。
1-2-1.平常時




出所:国土交通省近畿地方整備局
淀川の水は、ゆるやかに流れ、
- 淀川大堰の魚道ゲートや調節ゲートで水を大阪湾に流します。
- 毛馬水門を開けて、水を大川に流します。
1-2-2.淀川洪水時




出所:国土交通省近畿地方整備局
淀川大堰のゲートを上げて、洪水を一気に大阪湾へ流します。
毛馬水門を閉めて、洪水が大川に流れない様にします。
1-2-3.大川洪水時、高潮・津波発生時




毛馬水門を閉めて、淀川の水が大川に流れない様にします。
毛馬排水機場のポンプを稼働し、大川に溜まった水を淀川に排水します。




(出所:大阪府)
当時は、3大水門の津波抑止力ばかりが注目されましたが、毛馬排水機場の機能により、大阪市内を内水氾濫から救いました。
この治水システムが無ければ、大阪市内の被害額は、約17兆円とも20兆円ともマスコミ各社が報じました。
なお、3大水門と毛馬排水機場による治水システムについては、下記の記事をご覧ください。




1-3.毛馬閘門(けまこうもん)








筆者が、船に乗船して淀川から大川へ入る際、毛馬閘門を通過する様子を撮影した動画があります。
1-4.沖野忠雄像




毛馬排水機場の近くに、沖野忠雄の胸像があります。
その横に案内板がありましたので、引用します。
Δ石碑案内文1.沖野忠雄胸像案内石碑
兵庫県の但馬地域(豊岡市・養父市・朝来市・香美町・新温泉町)からは、河川工学の大家が出ます。
沖野先生以外にも、2021年3月に中央大学を退官された山田正先生がいます。
1-5.蕪村(ぶそん)生誕地碑




毛馬閘門の近くに、蕪村生誕地碑があります。
俳人としては、松尾芭蕉・小林一茶と並び称される江戸俳諧の巨匠の一人です。
江戸俳諧中興の祖といわれました。
画家としては、「夜色楼台図」(国宝)、「宜暁図」(国宝)などの作品があります。
ちなみに、石碑に記されている俳句は、
春風や 堤長うして 家遠し
句碑の横に「蕪村礼讃」という石板が横たわっていますが、その内容の一部を引用します。
Δ石碑案内文2:蕪村礼讃
2.水辺ウォーキング水都大阪:大川:毛馬排水機場→飛翔橋
いよいよ大川下りを始めます。
しばらくは、大川左岸を下流に向けて歩き続けます。
2-1.大川第1番橋:毛馬橋(けまばし)
大川第1番橋は、毛馬橋です。








写真8.毛馬橋の舗装面(右側写真)
城北川の上部に架かる阪神高速12号守口線が、大川上部を横断し、大川右岸護岸上に連なります。








写真10.毛馬橋から下流側を臨む(右側写真)
大川左岸の水辺遊歩道は、毛馬橋の下を潜り、歩行者が通れます。








写真12.毛馬橋之碑(右側写真)
毛馬橋の左岸側に「毛馬橋之碑」の石碑がありましたので、その内容を引用します。
Δ石碑案内文3.毛馬橋之碑
2-2.淀川神社
毛馬橋から東側に、淀川神社がたたずみます。








淀川神社は、
- 旧友渕村の氏神を祀っていた十五神社
- 旧毛馬村の氏神を祀っていた八幡大神宮(八幡神社)
の神を合祀する形で、十五神社の境内に設立されました。
2-3.春風橋(はるかぜばし):歩行者専用橋
春風橋は、大川左岸に流入する城北川の河口に位置する橋です。








写真16.春風橋の舗装面(右側写真)
大川左岸水辺遊歩道は、城北川の河口により分断されますが、それを繋ぐ形で架橋された橋が、春風橋です。
東京:隅田川(大川)沿いでいえば、
・神田川河口にある柳橋
・日本橋川河口にある豊海橋
の様な感じです。
2-4.城北川(しろきたがわ)
寝屋川から分岐し、大川に流入する全長:5,615mの水路が、城北川です。
川の上部の半分以上を、阪神高速12号守口線が覆います。




川の上部を阪神高速道路が覆う
元は、水運を目的として掘削された運河です。
1935年4月に着工、1940年12月に城北運河として竣工しました。
寝屋川との分岐部では、城東運河(現:平野川分水路)と接続しています。
1985年(昭和60年)4月6日に城北川に名称が変更され、1級河川に指定されました。
川沿いには、遊歩道が設けられています。
2-5.吉田造船
大川を挟んで城北川の対岸あたりに、「吉田造船」という小さな造船所があります。








この日は、観光船の修理工事が行われていました。
2-6.大川第2番橋:飛翔橋(ひしょうばし):歩行者専用橋
大川に架かる第2番目の橋は、飛翔橋です。
飛翔橋は、歩行者専用橋です。








写真21.飛翔橋の舗装面(右側写真)
大川右岸護岸上には、阪神高速12号守口線が連なります。








写真23.飛翔橋から大川の下流側を臨む(右側写真)
大川左岸の水辺遊歩道は、飛翔橋の下を潜り、歩行者が通れます。








写真25.大川左岸の下流側から見た飛翔橋(右側写真)
筆者は、大川に架かる橋の中では、飛翔橋が一番好きな橋です。
3.水辺ウォーキング水都大阪:天神祭
大川の祭りといえば、日本三大祭りの一つであり、夏の風物詩である「天神祭」です。
3-1.「天神祭」船渡御巡行乗船場
大川の飛翔橋から下流に向けて、天神橋辺りまで、大川の左岸に船渡御の臨時乗船場が並びます。
筆者は、天神祭りの一つの目玉である船渡御に乗船しています。
大阪人にとっては、船渡御に乗船することが、一つのステイタスになっています。
もっとも、筆者は大阪人ではありませんが、大阪人よりも大阪が好きです。
3-2.天神祭








天神橋筋商店街(左側写真)
写真27.2019天神祭:船渡御の様子
大川中流部(右側写真)
3-3.2021年は神事のみ(※3)
2020年の天神祭は、コロナウィルス感染拡大の影響により、陸渡御・船渡御・花火など、全ての行事が中止となりました。
2021年の天神祭におきましても、陸渡御・船渡御・花火など、全ての行事が中止になりましたが、陸渡御における神事だけ行われました。
2022年の天神祭りは、3年ぶりに陸渡御が開催されますが、船渡御・花火は中止となります。
西 暦 | 陸渡御 | 船渡御 | 花 火 |
2019年 | 開催 | 開催 | 開催 |
2020年 | 中止 | 中止 | 中止 |
2021年 | 中止 神事のみ | 中止 | 中止 |
2022年 | 開催 | 中止 | 中止 |
船渡御が中止になるのは、なんとも残念です。
下のYouTube動画は、「令和3年 大阪天満宮 天神祭 神事・宵宮祭・本宮祭・神霊移御祭」です。
よろしければ、ご覧ください。
出所:大阪天満宮公式チャンネル
3-4.2019天神祭:船渡御参加
筆者は、2019年に船渡御に参加(乗船)しました。
工事用の台船を祭用に急ごしらえしたような舟です。
約200人乗船できます。








写真29.船が大川を航行している様子(右側写真)
関西大学の後援会が、毎年船渡御に参加しています。
しかも、他の船よりも、かなりリーズナブルです。
ちなみに、船渡御に参加権のある大学は、関西大学だけです。
船から見た天神祭の花火の様子を撮影しましたので、掲載します。
船渡御の船上から撮影
4.まとめ
水辺ウォーキング水都大阪:大川編の第1回は、淀川大堰から飛翔橋までを案内しました。
河口部にある3大水門により、大阪市内は高潮・津波から守られています。
その分、大川水辺遊歩道は、水面に非常に近い高さで造られています。
水面が近いと、自然と川に親しみを持つことができます。
もう一つ欲を言えば、水辺のフェンスが無ければ、もっと良いです。
しかし、日本国内の慣例では、子供が落水事故を起こしますと、何でも行政の責任になってしまいます。
そのため、管理者である行政は、フェンスを設置せざるを得ません。
欧米では、子供が落水しますと、親の責任になります。
そのため、フェンスを設置しなくても問題になりません。
考え方の違いが、水景に大きく影響を与えます。
筆者の個人的な考えは、欧米の考え方に賛成します。
第2回は、飛翔橋から川崎橋までを案内します。
その内容につきましては、下記の記事をご覧ください。




5.お役立ち情報案内
不動産に関するお役立ち情報を案内します。
ご活用ください。
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5-2.大阪の水辺に関連する書籍案内
大阪の水辺に関連する書籍の案内をします。
5-2-1.【「水都」大阪物語】:橋爪紳也著




本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
5-2-2.【大阪淀川歴史散歩】:都市研究会編




本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
5-2-3.【重ね地図で愉しむ大阪「高低差」の秘密】:梅林秀行監修




本の詳しい内容につきましては、下記の書籍タイトル部分をクリックしてください。
6.参考・引用WEBサイト
※1「淀川大堰閘門の整備に令和3年度から新規着手します」
国土交通省近畿地方整備局 河川部
大阪府住宅まちづくり部
https://www.kkr.mlit.go.jp/news/top/press/sih68m000000bbec-att/20210330-1yodogawaozekiseibi.pdf
※2「毛馬排水機場ポンプ設備整備について」
国土交通省近畿地方整備局 淀川河川事務所
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2017/pdf03/sekou-01.pdf
※3「本年度の天神祭について」
大阪天満宮
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