注文住宅の新築工事は、着工から竣工までの工事期間として、建築構造や規模の違いにより約3ヶ月~6か月を要します。
建築主として、
工事の流れや内容はどうなっているのだろうか?
と、お困りの方はいませんか?
この記事は、
- 着工準備
- 着工~1か月
- 着工後1か月~2か月
- 着工後2か月~3か月
- 竣工(完成)
について解説します。
1.着工準備

戸建住宅の基本計画を確定し、資金計画の目途が立ちましたら、建築請負契約を締結します。
その後、行政機関などに建築確認申請を行い、許可を取り着工準備へと進みます。
着工準備として、
・地盤調査
・地鎮祭
・地縄張り
・地盤改良工事
・丁張り・仮設工事
を行います。
1-1.地盤調査
戸建住宅を建築する前に地盤強度を把握するため、地盤調査を行います。

一般的には、ハウスメーカーや工務店を通して地盤調査の専門会社に依頼します。
その調査結果により、地盤改良工事の有無や基礎工事の形式を決定します。
なお、地盤調査については、下記の記事をご覧ください。

1-2.地鎮祭
建築予定地で、地盤調査前後の良き日を選定して、地鎮祭を執り行います。

ハウスメーカーや工務店を通して地鎮祭を依頼しますと、神主や祭壇、テント張りなどの段取りを全て行ってくれます。
地鎮祭後、近隣に対して挨拶回りを行い、工事による騒音発生や工事車両通行に対するお詫びの気持ちを込めて、粗品を添えて報告します。

なお、地鎮祭については、下記の記事をご覧ください。

1-3.地縄張り
地盤改良工事が必要な場合、補強材を埋め込む工法を採用する際、地縄張りを行うことにより、穴を開ける位置の目安となります。
また、基礎工事を行う際の位置決めとなります。
1-4.地盤改良工事
地盤改良工事の工法には、いくつか種類があります。
必要な地盤強度や工事予算を鑑みて、設計者や工事担当者のアドバイスを参考にし、建築主が決定します。
比較的多く採用される工法は、建物の通し柱が位置する箇所を中心として、直径60cmほどの穴を地中深く掘り、補強材を埋め込む摩擦杭の方式です。
通し柱が位置する箇所は、建物の角にあたり、建物荷重が一番大きくかかるからです。
なお、地盤改良工事の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。

1-5.丁張り・仮設工事
地盤改良工事を行った場合、地面が掘り返されますので、再度地縄張りを行い、建物の位置を確定した上で、丁張りを行います。

その後、地縄張り・丁張りの周辺に仮囲いや仮設トイレ設置などの仮設工事を行います。
2.着工~1か月

着工準備が終わりましたら、
・基礎工事
・配管工事
・足場組み
へと進みます。
2-1.基礎工事
基礎工事は、
・根切り
・地業
・防湿シート張り
・捨てコンクリート
・配筋工事
・コンクリート打設
の順に進めます。
地業の範囲内に防湿シートを張ることにより、地面の湿気が建物床下に上がってこないようにし、その上に捨てコンクリートを薄く平らに打ちます。
捨てコンクリートの上に、基礎を造るために基準線を描き、配筋工事を行います。
配筋工事の完了後、検査機関による配筋検査が行われ、鉄筋径や数量・間隔などが点検されます。
建物荷重を支える箇所の大事な検査となり、手抜き工事が無いかなど、厳しく点検する必要があります。
次に、配筋の周辺に型枠を設置し、基礎と土台を緊結するためのアンカーボルトを設置します。
建物内の給排水管が、建物の外部へ抜けるように、コンクリート打設前に配管工事を施します。
型枠ができましたら、コンクリートミキサー車に積載した生コンクリートを型枠内に流し込みます。

通常、基礎の底盤部分と立ち上げり部分の2回に分けて、生コンクリートを打ち込みます。

打ち込んだ後、降雨時にコンクリートが雨にあたらないように、養生シートをコンクリート部分に被せます。
コンクリートを1週間ほど乾燥させ、コンクリート強度が出るのを見計らい、型枠を外します。

なお、基礎工事の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。

2-2.配管工事
基礎完成後に、建物内外部の給排水管の配管工事を行います。
2-3.足場組(あしばぐみ)
基礎の上に土台を設置し、事前に埋め込んだアンカーボルトと緊結します。
土台設置後、大引き・根太・床束などを設置し、床下工事を行います。
足場組みを基礎の外側周辺で行います。
戸建て住宅の場合、径48.6mmの鉄パイプにより足場が組まれます。

3.着工後1か月~2か月
基礎・土台ができ足場が組まれますと、
・建方工事
・上棟式
・屋根工事
・サッシ設置工事
・ベランダ防水工事
へと進みます。
3-1.建方工事(たてかたこうじ)
建方工事は、クレーン車などを使って土台の上に柱を立ち上げ、柱と柱の間に梁・桁を架け、母屋をくみ上げる工事です。

耐震補強・耐風補強のために柱と柱の間に筋交いを入れる箇所があります。
筋交いの設置個所が設計図面と照合し、正しい箇所に入っていることを点検・確認します。

3-2.上棟式
1階・2階の床板が設置され、屋根の構造材が組み上げられますと、建築主が要望すれば、上棟式が執り行われます。
上棟後、2階の壁面においても、
・筋交いが設計図面通りに配置されているか
・金具やボルトにより柱と梁を緊結できているか
などの検査が入ります。
3-3.屋根工事
屋根の骨組みの上に「野地板」と呼ばれる板材を張り、その上に防水シートを張り施工します。
防水シートの上から「上垂木」を等間隔に設置し、その上から再度、野地板を張ります。
上垂木の設置により、屋根内部に空間ができ、通風が良くなり木材腐食を防御します。
野地板の上に再度防水シートを張り、その上から仕上げ材(瓦、スレート、ガルバリウム鋼板)を張り屋根工事の完成となります。

3-4.サッシ設置工事
柱と柱の間にサッシの設置工事を行います。
掃き出し窓や腰窓など、高さ設定の異なるサッシの取付け作業があり、木材でその高さ設定を調整するなどの工事を行います。
サッシ工事が終わりましたら、外装下地検査を受けます。
検査は、JIO(日本住宅保証検査機構)が行いますが、検査に合格すれば、外壁工事が可能になります。
サッシ以外にも玄関ドアも設置され、日々の工事終了時に、工事用キーで戸締りされます。

3-5.ベランダ防水工事
ベランダがある場合、屋根材取付けなどの作業と並行して、ベランダ部分も防水工事を施します。
ベランダの防水工事に不具合がありますと、1階屋根部分に雨漏りが発生する可能性が高くなりますので、慎重に工事を行う必要があります。

4.着工後2か月~3か月
屋根工事やサッシ工事が終わりますと、
・断熱工事
・造作工事・設備工事
・外壁工事
・足場外し
へと進みます。
4-1.断熱工事
建物内部壁面に石膏ボードを貼る前に、電気工事を行います。
電気工事士が建物内部のスイッチやコンセントを設置します。
電気工事が終わりましたら、断熱工事に入ります。
建物外側に透湿防水シートを貼り、その内側と構造用合板との間にグラスウールなどの断熱材を隙間なく詰めます。
その上から石膏ボードを貼り、内壁下地の完成となります。
また、断熱材は屋根の内側や床にも詰めます。
その上から石膏ボードを貼り、下地工事の完成となります。
部屋内の天井・壁・床の下地工事が完成すれば、石膏ボードの接続部分の隙間や凹凸などを処理した後に、クロスを貼ります。
床の場合、クロス以外にもフローリングやタイルなどを貼ります。
4-2.造作工事
クロスやフローリング貼りと並行して、階段・手すり・棚・押入れなどの造作工事を進めます。

ドアや襖、障子などの建具は、既製品であれば大工が設置しますが、オリジナル製品であれば、建具屋の作業となります。
4-3.電気工事
造作工事が終わりますと、照明工事や電気設備の設置、電気工事の最終調整に入ります。
照明器具・エアコンなどの設置が行われ、建物全体の電気を管理する配電盤も設置します。

事前に設置したスイッチやコンセントカバーなどの最終調整を行ないます。
4-4.設備工事
その後、水回り設備などが搬入され設置します。
ユニットバス・システムキッチン・洗面台・トイレ・換気扇・24時間換気システムなどの設備の取付けや電気配線・ガス配管などの調整を行ないます。

4-5.外壁工事
透湿防水シートが張られた外側に、外壁材(サイディング)の取付けを行います。
外壁材の色を2色以上選択した場合、設計図面通りに色の違う外壁材が配置されているかを点検します。

4-6.足場外し
屋根工事・外壁工事が終わり、階段などの造作工事が完成しましたら、足場を外します。
足場は、足場専門会社が、組立てから撤去までを行います。
足場が無くなりますと、戸建て住宅のお披露目となります。

5.竣工(完成)
建物が完成しますと、竣工検査・引渡しと進みます。
5-1.竣工検査
設計図面や仕様書などに基づき、工事責任者が建物全体を点検・確認します。
設計図面や仕様書と違っている場合、やり直しの工事をします。
その後、検査機関による竣工検査を受け、合格すれば工事の完成となります。
最終的に、建築主や設計担当者、工事責任者が立会いの下、仕上がりを点検・確認し、不具合などが見つかれば、やり直しの工事をします。
5-2.引渡し
建築主による仕上がりの点検・確認が終わり、不具合の改善もでき、建築主が建物の仕上がりに納得できれば、鍵を渡され引渡しとなります。

引渡しが完了しましたら、近隣への挨拶回りを行います。
6.まとめ
以上、
- 着工準備
- 着工~1か月
- 着工後1か月~2か月
- 着工後2か月~3か月
- 竣工(完成)
について解説しました。
検査機関による検査は、
・基礎の配筋検査
・上棟後の中間検査
・竣工検査
があります。
いずれも建物の品質に関わる大事な検査となりますので、時間の許す限り建築主も立ち会うようにしましょう!
そこでも、疑問点・不明点などがあれば、検査員や工事責任者などに質問し、改善点などがあれば、遠慮なく工事責任者に改善を求めます。
工事責任者も検査員の手前、ごまかしが効きませんので、効果があります。
建築主が、戸建て住宅を建てる場合、工事の最低限の流れを把握しておくことは、後々建物に不備が生じることを未然に防ぐ効果があります。
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