建設業界において、慢性的な人材不足が叫ばれる中、特に技術者の確保は最重要事項です。
特に、建築工事現場において、責任者の立場に就くために必須となる建築施工管理技士の有資格者確保は、必須といえます。
この記事では、
- 建築施工管理技士とは?
- 1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違い
- 建築施工管理技士に求められるスキル
- 建築施工管理技士を取得するメリット
- 建築施工管理技士の試験概要
- 建築施工管理技士の受験対策
について解説します。
1.建築施工管理技士とは?
建築施工管理技士は、建築工事現場などで施工計画を作成し、施工管理
・工程管理
・原価管理
・品質管理
・安全管理
を担う国家資格です。
1-1.建築施工管理技士の仕事内容
建築施工管理技士は、建築工事などの設計図・施工図などを確認して、工事の全体像を把握し、
- 工程管理:決められた工期を守るためのスケジュール管理
- 原価管理:実行予算と原価を比較しながら、利益計上できるように管理
- 品質管理:建築物が、設計図書や仕様書通りに造られているかの管理
- 安全管理:安全に工事進捗できるように環境整備し、事故を起こさないように管理
を行いながら工事の完成を目指します。
1-2.建築施工管理技士の勤務先
建築施工管理技士の主な勤務先として、
・ゼネコン
・サブコン(専門工事業者)
・地場コン(地元の工務店)
・ハウスメーカー
などがあります。
2.1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違い
建築施工管理技士には、
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
があります。
1級と2級の違いは、扱える建築工事の規模となります。
1級有資格者は、扱える建築工事の規模に制限がなく、大規模な建築工事現場を扱うことが可能です。
2級有資格者は、主に中小規模
・請負金額4,000万円以下
・建築一式工事の場合は6,000万円以下
の建築工事現場を扱うことが可能です。
2-1.建設業法に規定される許可要件
建設業法に定められる許可の要件に違いがあります。
- 営業所に配置される専任技術者(1級・2級)
- 工事現場に配置される主任技術者(1級・2級)
- 工事現場に配置される監理技術者(1級のみ)
の資格を満たす者として扱われます。
2-2.経営事項審査
経営事項審査において、加点に違いがあります。
・1級施工管理技士:5点
・2級施工管理技士:2点
として評価されます。
3.建築施工管理技士に求められるスキル
建築施工管理技士に求められるスキルは、
・コミュニケーション能力
・リーダーシップ
・危機管理能力
などです。
3-1.コミュニケーション能力
建築施行管理技士は、
・職人などの作業者や専門工事業者
・発注者であるクライアント
・勤務先の建設会社
・建設工事現場の近隣住民
などと協議・連絡を行うなど、コミュニケーション能力が必要になります。
建設工事現場での技術上の問題点や安全管理上の課題などをくみ取りながら、社内調整を取った上で解決を図り、クライアントの了解を取り付けるなどの作業が、日常的に発生します。
3-2.リーダーシップ
施行管理者は、建築工事現場において、
・下請け業者
・職人
・部下
などに指揮・指導を行うため、リーダーシップが必要です。
指揮・指導が十分に行えない場合、現場の士気にも影響し、思わぬ事故やトラブルの原因になりかねません。
3-3.危機管理能力
様々な建設機械や建設資材が、建築工事現場内を行きかいます。
いたるところに危険が潜んでいます。
施行管理者は、事前の事故防止対策を施しながら工事現場内を隈なく点検・確認し、事故が想定される個所を素早く察知する能力が必要です。
4.建築施工管理技士を取得するメリット
建築施工管理技士の資格取得により、
・責任のあるポジションに就任
・転職に有利
・収入アップ
などのメリットがあります。
4-1.責任のあるポジションに就任
建築施工管理技士は、建築工事現場におけるハード・ソフトの知識を体系的に身に着けているため、建築工事現場の責任者に就ける機会が多くなります。
また、責任者になりますと、監督業務の実績としての経歴にも反映するため、自身のキャリアアップにも繋がります。
4-2.転職に有利
建設業界全体が、慢性的な人手不足の状態です。
特に現場代理人や監督技術者を担う責任者クラスの人材不足が顕著です。
建築施工管理技士の資格保持者は、主任技術者や監理技術者になれる資格があり、建築現場などでは、貴重な存在となります。
現場経験が豊富な技術者であれば、大手建設会社をはじめとして、建設業界全般に求められる人材となるため、転職に有利にはたらきます。
4-3.収入アップ
責任あるポジションを数多く経験しますと、自身の建築工事におけるスキルアップ・キャリアアップに繋がります。
勤務する会社から高く評価されるようになり、年収アップに繋がます。
また、転職にも有利となり、高い報酬で迎える建設会社も出てくるため、建築施工管理技士の資格は、年収アップに必須といえます。
5.建築施工管理技士の試験概要
1級・2級建築施工管理技術検定の試験内容や受験資格、試験日、合格率、難易度、受験料について解説します。
5-1.試験内容
1級・2級建築施工管理技術検定の試験内容は、下記の通りです。
5-1-1.1級建築施工管理技術検定の試験内容
1級建築施工管理技術検定の試験内容は、下表の通りです。
5-1-2.2級建築施工管理技術検定の試験内容
2級建築施工管理技術検定の試験内容は、下表の通りです。
5-2.受検資格
1級・2級建築施工管理技術検定の受験資格は、下記の通りです。
5-2-1.1級建築施工管理技術検定の受験資格
下表にあげる受験資格の区分イ~ニのいずれかに該当する者は、第一次検定を受験できます。
(*1)区分ニの受験資格は、第一次検定のみ受験可能。
この区分で受験申込した者は、第一次検定合格後、今年度の第二次検定を受験不可。
第二次検定を受験するには、翌年度以降、上記の区分イ~ハのいずれかの受験資格で新規受験申込する必要有り。
下記の①~④のいずれかに該当する者は、第二次検定を受験できます。
- 建築士法による一級建築士試験合格者
- 令和4年度1級建築施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、表1の区分イ~ハのいずれかの受験資格で受験した者
- 令和4年度1級建築施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、表1の区分ニの受験資格で受験した者
- 今年度の1級建築施工管理技技術検定第一次検定合格者のうち、表1のイ~ハのいずれかの受験資格で受験した者
5-2-2.2級建築施工管理技術検定の受験資格
下表にあげる受験資格の区分イ~ニのいずれかに該当する者は、第一次・第二次検定を受験できます。
5-3.試験日
1級・2級建築施工管理技術検定の試験日は下表の通りです。
5-4.合格率
1級・2級建築施工管理技士の2011年~2022年までの学科・実地試験合格率を下表にまとめます。
5-5.難易度
1級建築施工管理技術検定については、表6より過去12年間の平均合格率は、
・第一次検定:43.6%
・第二次検定:41.3%
となり、難易度としては並の試験といえます。
2級建築施工管理技術検定については、表6より過去12年間の平均合格率は、
・第一次検定:42.9%
・第二次検定:37.3%
となり、難易度としては並の試験といえます。
5-6.受験料
1級・2級建築施工管理技術検定の受験料は、下表の通りです。
6.建築施工管理技士の受験対策
建築施工管理技士の資格取得を目指す方は、建築工事現場に携わる多忙な技術者が多くなるため、勉強時間の確保が鍵となります。
6-1.合格に必要な勉強時間
合格に必要な勉強時間は、建築工事施工に対するキャリアの違いにより異なります。
勉強時間の目安を下表にまとめます。
6-2.過去問を繰り返し解く
第一次検定(学科試験)は、過去の出題問題と同様な問題が、出題されることが多くなります。
過去10年間の出題問題を繰り返し解き3回行いますと、ほぼ把握でき合格の可能性が高くなります。
6-3.実地試験対策を行う
第二次検定(実地試験)は、記述式の問題があるため、出題されるテーマや文章の構成を把握する必要があります。
テーマについては、施工計画、品質管理、工程管理の3つのテーマに関するいずれかが出題されます。
構成については、
・工事概要
・工事概要に基づく経験
・工事概要に基づかなくても自身が経験した内容
の記述を行います。
7.まとめ
以上、建築施工管理技士の概要や仕事内容、1級と2級の違い、求められるスキル、転職先、取得するメリット、試験概要、勉強方法について解説しました。
建築施工管理技術検定の過去12年間における平均合格率は、下表の通りです。
勉強時間を確保し、過去問を3回繰り返して完全に理解できれば、合格する可能性が非常に高くなる資格です。
なお、土木施工管理技士については、下記の記事をご覧ください。
8.お役立ち情報案内
建設資格に関するお役立ち情報を案内します。
ご活用ください。
8-1.施工管理技士資格試験の受験対策通信教育講座「独学サポート事務局」
◆特 徴◆
- 「作文作成代行」は競合他社にない画期的サービス
- 受験者鬼門の経験記述論文を受験者本人の希望に合わせて代行作成・添削指導
- 「作成代行」単体を求めて他学習方法と併用する方も例年多数
◆メリット◆
- 参考書などで独学、うち添削指導・作成代行など経験記述を完全に対策できるのは弊社サービスのみ
- 弊社商品ですべての受験対策を網羅
8-2.難関資格・国家資格を目指す方のためのオンライン資格講座【スタディング】
◆特 徴◆
- 忙しい方でも通勤時間や休憩時間などのスキマ時間で学習を進めることができます。
- わかりやすく、また低価格を実現しました。
- 現在、有料受講者数14万人を超えて成長拡大中です。
◆メリット◆
- 【時間が無くてもOK】
スマホ・PC・タブレットで学べるため、日々忙しく勉強時間の取りづらい社会人・主婦・学生などの方に向いています。
低価格で経済的負担も少ないです。 - 【見やすく分かり易い】
授業風景を録画しただけなのではなく、映像講座として専用のフォーマットで編集された講座は、視覚的で理解しやすいと好評です。 - 【暗記力に自信がなくてもOK】
脳科学に基づき暗記を補助する便利なツールや、記憶が消えないうちに定着を促進する問題練習機能も充実しており、無理なく進めて合格できる実力がつきます。
8-3.建設業界専門の転職支援サービス【RSG Construction Agent】転職・求職者募集
◆特 徴◆
- 建設業界に特化した転職支援サービスを提供
- 建設・人材業界出身のコンサルタントが、 一人一人の求職者を担当し、高いマッチング力とフォロー体制で、入社までサポート
◆メリット◆
- 業界に精通したプロが対応
- 月収UP率99%以上/年収1.2倍〜1.5倍UPへ
- 充実した転職サポート
- 業界トップクラスの求人案件数
9.参考・引用Webサイト
※1 「令和5年度1級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受験の手引き」
一般社団法人 建設業振興基金
https://www.fcip-shiken.jp/pdf/1K_tebiki.pdf
※2 「令和4年度2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受験の手引き」
一般社団法人 建設業振興基金
https://www.fcip-shiken.jp/pdf/2K_GJ.pdf
* 「令和5年度2級建築施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受験の手引き」は準備中
コメント