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二級建築士:設計製図試験、概要と合格基準、合格率、独学のコツを解説

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二級建築士の学科試験に合格しますと、次は設計製図試験となります。

設計製図試験に臨むにあたり、
 「どの様な試験なのだろうか?」
 「合格率や難易度はどうなの?」
 「対策はどうすれば?」
と悩んでおられる方はいませんか?

実は、合格率が50%前後で推移しており、対策を取れば決して難しい試験ではありません。

この記事では、

  1. 二級建築士の設計製図試験概要
  2. 設計製図試験の勉強方法
  3. 独学で設計製図試験に合格するコツ

について解説します。

設計製図の未経験者であれば、
・繰り返し図面を描いてスピードアップを図る
・エスキス(プランニング)も早くまとめる
・想定出題パターンを予め考え練習する
ことがポイントです。

目次

1.二級建築士の設計製図試験概要

写真1.設計製図
Δ写真1.設計製図

設計製図試験の
 ・試験内容・試験課題
 ・試験日・合否確認
 ・受検資格
 ・試験地
 ・合格基準
 ・合格率の推移
 ・難易度
について解説します。

1-1.試験内容・試験課題

二級建築士試験「設計製図試験」は、与えられた内容及び条件を充たす建築物を計画し、設計する知識及び技能について設計図書の作成能力を求めて行うものです。

各試験年度の試験課題を下表にまとめます。

表1.設計製図試験の試験課題(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ表1.設計製図試験の試験課題
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
写真2.専用住宅
Δ写真2.専用住宅

令和4年の設計製図試験における要求図書は、
 ・1階平面図兼配置図(縮尺1/100)
 ・各階平面図(縮尺1/100)
 ・床伏図兼小屋伏図(縮尺1/100)
 ・立面図(縮尺1/100)
 ・矩計図(縮尺1/100)
 ・面積表
 ・計画の要点等
となります。

注意点は、

  • 建築物の階数については、試験問題の設計条件において指定
  • 答案用紙は、
     ・1目盛が4.55mmの方眼が付与
     ・矩計図については10mmの方眼が付与
  • 建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限等)とすること

となります。

なお、意匠設計については下記の記事をご覧ください。

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1-2.試験日・合否確認

図1.受検
Δ図1.受検

令和5年度の二級建築士試験の設計製図試験は、9月10日(日)です。
合格発表日は、12月7日(木)の予定です。

合否の確認ですが、

  • 都道府県知事が行った合否の判断結果を受験者に通知し、不合格者へは試験の成績も同時に通知
  • 公益財団法人建築技術教育普及センター支部や都道府県建築士会の事務所に掲示
  • 公益財団法人 建築技術教育普及センターのWEBサイトに掲載

のいずれかで確認可能です。

1-3.受検資格

設計製図試験は、学科試験に合格しなければ、受検することはできません。
なお、令和3年又は令和4年試験の学科試験に合格した方は、本人申請により、令和5年試験の学科試験が免除されます。

1-4.試験時間

試験当日の予定は、
・10:45~11:00(15分)注意事項等説明
・11:00~16:00(5時間)設計製図
となり、試験時間は5時間となります。

試験中に休憩時間はなく、長丁場の試験となります。試験が始まる前に、飲食やトイレなどを済ませておく必要があります。

1-5.試験地

試験地は、主催者である公益財団法人建築技術教育普及センターが指定します。
なお、試験地までは公共交通機関の利用を促しており、試験場及びその周辺への自家用車等の駐車は不可としています。

1-6.合格基準

採点のポイント、採点結果の区分、合格基準を解説します。

1-6-1.採点のポイント

採点のポイントは、採点結果の区分、

  • 試験課題の特色に応じた計画
  • 計画一般(敷地の有効利用、配置計画、動線計画、設備計画、各室の計画など)
  • 構造に対する理解
  • 断面構成に関する知識
  • 要求図書の実現
  • 設計条件・要求図書に対する重大な不適合
    ・要求されている構造でないもの
    ・要求図書のうち図面が1面以上未完成
    ・図面相互の重大な不適合
     (上下階の不整合など)
    ・延べ面積が要求条件に適合しないもの
    ・著しく非常識な計画
     (階段、エレベーターの欠落など)

などが評価対象となります。

1-6-2.採点結果の区分・合格基準

設計製図試験の採点結果は、ランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階区分となり、「ランクⅠ」が合格となります。

表2.採点結果の区分(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ表2.採点結果の区分
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)

表中の「知識及び技能」は、二級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいいます。

1-7.合格率の推移

設計製図試験の各試験年度における採点結果ランクの割合は、下表の通りです。
合格者は「ランクⅠ」に該当する受験者となります。

表3.各試験年度における採点結果ランクの割合(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ表3.各試験年度における採点結果ランクの割合
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)

平成25年~令和4年の合格率をみますと、46.3%~55.3%の間で推移しています。
設計製図試験の合格率は、50%前後といえます。

図2.設計製図試験合格
Δ図2.設計製図試験合格

1-8.難易度

設計製図の試験課題は、試験日の3か月前に公表されることもあり、合格率は50%前後と高めです。

学科試験から製図試験までの期間は約2か月ですが、その間に考えられる全てのパターンを実際に設計しながら勉強をすることができますと、合格の可能性は高くなります。

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2.標準解答例

公益財団法人 建築技術教育普及センターが公開している標準解答例を掲載します。

2-1.令和4年度:設計製図試験標準解答例

令和4年度:設計製図試験の課題は、「保育所(木造)」です。

平成4年度:標準解答例(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ平成4年度:標準解答例
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)※2

2-2.令和3年度:設計製図試験標準解答例

令和3年度:設計製図試験の課題は、「歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート造)」です。

令和3年度:標準解答例(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ令和3年度:標準解答例
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)※2

2-3.令和2年度:設計製図試験標準解答例

令和2年度:設計製図試験の課題は、「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て)」です。

令和2年度:標準解答例(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ令和2年度:標準解答例
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)※2

2-4.令和元年度:設計製図試験標準解答例

令和年度元年度:設計製図試験の課題は、「夫婦で住む建築設計事務所を併設する二世帯住宅(木造2階建て)」です。

令和元年度:標準解答例(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)
Δ令和元年度:標準解答例
(出所:公益財団法人 建築技術教育普及センター)※2

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3.設計製図試験の勉強方法

写真3.設計製図
Δ写真3.設計製図

設計製図試験の勉強方法には、
・独学で勉強する方法
・資格専門学校などに通学しながら勉強する方法
などがあります。

それらのメリット・デメリットを下表にまとめます。

表4.勉強方法の違いによるメリット・デメリット
Δ表4.勉強方法の違いによるメリット・デメリット

メリット・デメリットを自身の生活・業務スタイルや性格、所持金などと照らし合わせて、最適な勉強方法を選択することが大切です。
いずれにしても、勉強時間の確保は必要です。

図3.試験勉強
Δ図3.試験勉強

過去問やテキストを繰り返し解く必要があります。

3-1.勉強時間の目安

勉強時間は、日頃から設計製図を描いているか、全く描いていないかにより全然違ってきます。
日頃から業務で描いている場合、トレース練習の必要はないでしょう。

しかし、全く描いたことが無い場合、模範解答のトレースから始め、図面作成に慣れるところから始めなければなりません。
勉強時間というよりも、練習で何枚描き上げたかの違いになります。

ちなみに、ある資格専門学校においては、毎日曜日ごとに8時間の製図時間が設けられています。
平日においても1~2時間の製図時間を割かないと、課題提出ができないシステムとなっています。

3-2.過去問を繰り返し解く

過去に出題された模範解答をトレースし、描き方に慣れることが基本です。
設計製図の未経験者であれば、トレースにて図面の描き方を習得します。
慣れてきたらスピードアップして素早く描き上げられるように、何枚も練習する必要があります。

不明な点が出てくれば、テキストなどで確認し、疑問点を残さないことです。

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4.独学で設計製図試験に合格するコツ

写真4.設計打合せ
Δ写真4.設計打合せ

独学での勉強方法を選択した場合、設計製図に合格するためのコツは、
 ・描くスピードを上げる
 ・エスキスを早くまとめる

 ・見やすい計算機を使用
の3点です。

4-1.描くスピードを上げる

上記においても触れましたが、設計製図試験では、下記の設計図書の作成が求められます。
 ・1階平面図兼配置図(縮尺1/100)
 ・各階平面図(縮尺1/100)
 ・床伏図兼小屋伏図(縮尺1/100)
 ・立面図(縮尺1/100)
 ・矩計図(縮尺1/100)
 ・面積表
 ・計画の要点等

これだけの設計図書を5時間以内で描き上げなければなりません。
図面を描くスピードを上げないと、間に合わない事態となります。

不足する図面があれば、当然不合格ですし、不備が多い図面も不合格となります。

4-2.エスキスを早くまとめる

エスキス(プランニング)をいかに早くまとめるかが、合否の鍵を握ります。
目安としては、30分~1時間です。
これ以上の時間をかけますと、全体の図面作成に要する時間が不足します。

図4.エスキスを早くまとめる
Δ図4.エスキスを早くまとめる

エスキスを早くまとめるには、
・過去問と照らし合わせて想定される出題形式の洗い出し
・30分~1時間でまとまるように練習の繰り返し
などを行う以外に方法はありません。

練習の初期段階では、時間がかかりすぎて、まとまらないことの方が多いです。
しかし、根気よく続けていく内に、当初3~4時間かかったエスキスが徐々に早くなり、30分~1時間でまとまるようになります。

4-3.見やすい計算機を使用

計算機は、主に面積算出などによく使います。
計算間違いをしますと、
 ・建蔽率
 ・容積率
などにも影響し、基準を満たさず不合格にならないとも限りません。
そうならないためにも、数字が大きく表記されるなど、見やすい計算機が賢明です。

図5.電卓
Δ図5.電卓

ちなみに、スマホの使用は不可となりますので、注意してください。

図6.スマホ禁止
Δ図6.スマホ禁止

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5.まとめ

以上、

  • 二級建築士の設計製図試験概要
  • 設計製図試験の勉強方法
  • 独学で設計製図試験に合格するコツ

について解説しました。

二級建築士の設計製図試験の合格率は、毎年50%前後で推移しています。

合格するコツは、
 ・図面を描き上げるスピードの向上
 ・エスキスを30分~1時間でまとめる
ことです。

そのため繰り返し図面を描く練習を積み重ねるしか、上達する方法はありません。
「習うより慣れろ」です。

二級建築士の設計製図試験に挑まれる方は、
 ・エスキスの時間
 ・図面作成時間
のスピード化を図り、合格を勝ち取れるように演習を繰り返し行われますことをおすすめいたします。

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7.参考・引用Webサイト

※1 「二級建築士試験」
    公益財団法人 建築技術教育普及センター

https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/index.html

※2 「過去の試験問題等」
    公益財団法人 建築技術教育普及センター

https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.html

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この記事を書いた人

◆有限会社エクセイト研究所◆

職務:代表取締役
業務:不動産コンサルタント
   不動産投資(大家業)
   不動産ライター・ブロガー
資格:一級建築士
   1級土木施工管理技士
   宅地建物取引士
   測量士
   定借アドバイザー
   マスタースキューバダイバー
認定:プロクラウドワーカー
   認定ランサーズ
趣味:カヤック一人旅
   水辺ウォーキング
   スキューバダイビング
   メタバース:まちづくり
   サックス:JPOP、JAZZ
   

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