前回までの記事は、奥琵琶湖の永原から出発し、湖南の石山まで5日間かけてカヤック一人旅をしながら、琵琶湖を縦断した様子を記しました。
今回から、琵琶湖から唯一流出する瀬田川の川下りが始まります。
石山から出発し、天ヶ瀬ダムを越えて宇治川の宇治に至るまでの様子を記します。
ここで、淀川下りの一番のハイライトとなる天ヶ瀬ダム越えを迎えますが、詳細は後記にします。
尚、前回の記事は、下記をクリックしてご覧ください。

10.瀬田川下り:石山→南郷洗堰
いつものように、キャンピングカーを到達点であるJR西日本宇治駅と宇治川の中間点にある駐車場に停めます。
そこからカヤック装備一式を台車に載せて、JR宇治駅から乗車し、JR石山駅へと向かいます。

10-1.瀬田川下りのルート
JR石山駅を下車して、瀬田川の河岸へ向かいます。
カヤックを組立てて、瀬田川下りのスタートです。
先ずは、今日のルート図を挙げます。

石山 → 宇治
10-2.観光船やレガッタが行き交う
瀬田川上流部には、観光船が行き交います。
紫式部が、源氏物語を著した場所といわれる石山寺には、源氏物語絵巻が保管されています。
それらの観光スポットを巡る一環として観光船が利用されています。
また、京都府や滋賀県にある大学のレガッタ部の艇庫が、瀬田川沿いに設置され、多くの学生部員がレガッタの練習に励んでいる川でもあります。

10-3.南郷洗堰
しばらくカヤックを漕ぎますと、南郷洗堰に到達します。
琵琶湖から流出する川は、瀬田川1本だけですが、ここで流出水量を調節しています。
特に台風による豪雨などで、琵琶湖の水位が上昇しますと、下流にある宇治川や淀川に多大な影響を及ぼし、甚大な被害が発生します。
そうならないために、南郷洗堰で流出量を管理しています。


図2.南郷洗堰通過ルート図(右側)
さすがに、南郷洗堰をここまま突破することはできないため、南郷洗堰の手前でいったん陸に上がります。
カヤックを南郷洗堰の下流側まで陸路を通り、再び入水します。



ちなみに、琵琶湖の平均水位は、大阪城天守閣の鯱(しゃちほこ)の高さと同じです。
大阪城は、上町台地に立地するため、意外と標高があります。
11.瀬田川下り:南郷洗堰→天ケ瀬ダム
南郷洗堰を越えると、次は天ケ瀬ダムを目指します。
11-1.落差2mの滝に突っ込む
南郷洗堰を越えて、しばらく漕ぎますと、流れが徐々に速く激しくなってきます。
川の中央部に水面から岩が出ている箇所もあり、それらを避けながら漕ぎ進みます。
すると、前方に滝があることが分かりました。
いったん陸に上がるかどうかを考えましたが、とっさの判断でこのまま突っ込むことにしました。


11-2.滝落下の衝撃で操縦不能に!
滝を無事に突破できましたが、急流が続き急角度での蛇行が続きます。
滝の落差は、2mほどありました。
着水した時の衝撃で、しばらくカヤックの操縦不能状態となり、後ろ向きで川を下ることになります。
しばらくすると、流れが穏やかになり、パドルでの操作が可能になり、体勢を整え前向きで漕ぐことができるようになりました。
11-3.川の水面全体にゴミが浮遊
さらに進むと流れが完全に止まりました。
ここからは、天ヶ瀬ダムのダム湖である鳳凰湖になります。
すると、急に前面が、水面一帯にゴミが浮遊している状態となります。
ゴミの中をカヤックで進むことになるとは、予想だにしませんでした。
これが鳳凰湖の現状であると、現場を漕いで初めてわかります。
この状態を、河川管理者が把握しているのか否かわかりませんが、いずれゴミは下流に流れていきます。
情報発信してこの有様を知らせようと思い、カヤックから写真を撮りました。

ここから天ヶ瀬ダムまでは、流れが無い状態が続きますので、漕がないと進むことができません。
夏の炎天下でのカヤック航行ですから、全身から汗が噴き出ます。
準備したミネラルウォーターを全て飲み干しながら天ヶ瀬ダムを目指しました。
12.天ヶ瀬ダム越え
カヤック一人旅:淀川水系編の中で、一番のハイライトを迎えることになります。
目の前に天ヶ瀬ダムが近づいてきました。
時刻は夕方の5時前になりました。
12-1.天ヶ瀬ダム
天ヶ瀬ダムは、京都府宇治市にあり、淀川本線中流部の通称「宇治川」と呼ばれる流域に建設されたダムです。
天ヶ瀬ダムを境として、上流の川を「瀬田川」、下流の川を「宇治川」と呼びます。
ダムによって形成された人造湖は、「鳳凰湖」と命名されています。
宇治市にある「平等院鳳凰堂」にちなんだ命名と思われます。



12-2.ダム管理者に注意を受ける
前面に天ヶ瀬ダムが立ちはだかりますので、右岸の崖地上部へ一旦カヤックを引きづり上げる計画を立てました。
その前に疲れ果てていたので、ダム湖岸にカヤックを上げて休憩を取ることにしました。

ダムに近づき過ぎたこともあり、ダム管理者が拡声マイクで、「上流側へ戻りなさい」と何度もアナウンスをしてきます。
こちらは炎天下を長時間かけてやっと天ヶ瀬ダムまでたどり着いたので、上流側へ戻る余力など残っていません。
アナウンスを無視し、しばらくじっとして肩で呼吸をしながら休憩をしていました。
すると夕方5時を回ったこともあり、アナウンスが急に止みました。
おそらく定時帰社したものと思われます。
役所仕事のおかげで、うるさいアナウンスから逃れることができました。
12-3.崖地上部へカヤックを引きづり上げる
いつまでも休憩をしているわけにもいきませんので、カヤックを崖地上部へ引きづり上げる準備にかかりました。
水面から崖地上部の通路までの落差は約15mあり、傾斜角度は約50度です。
ここから想定しなかった格闘が、始まりました。

先ずはロープをカヤックに括り付け、そのロープを持って崖上部の通路までよじ登ることにしました。
通路までたどり着いたら、ロープを木の幹に回して自身の体重を利用しながらカヤックを引きづり上げます。
この引きづり上げる作業に2時間以上を費やしました。

疲れている上に、カヤックが木に引っ掛かり、一気呵成に持ち上げることができません。
それでも何とかして、持ち上げることができましたが、夜の7時半を回っていました。
夏場とはいえ、そろそろ暗くなってきます。
今日の予定は、カヤックをダムの下流側にある宇治川に降ろし、そこからJR宇治駅近くの宇治川河岸まで漕がなければなりません。
ここで、天ヶ瀬ダムを越えたルート図を挙げます。

陸路ルート図
崖地上部の通路で一呼吸を入れ、カヤックの下部に移動用のタイヤをはかせます。
そこから天ヶ瀬ダムの天端を右岸から左岸へと移動し、宇治川へと降りていく坂道を通っていきます。
さらに宇治川の左岸から右岸へと移る橋を渡って下流側に行きますと、カヤックを宇治川に着水できるポイントに到達です。
時刻は、夜の8時で真っ暗です。
夜の川中をJR宇治駅近くの宇治川河岸まで漕ぐこととなりました。



12-4.夜中の宇治川下り
夜中の暗闇の中での川下りは、もちろん想定外の出来事です。
しかし、他に移動手段が無いため、夜中の宇治川下りを敢行せざるを得ません。
ほとんど水面が見えず、川の流れる水音だけが頼りです。
不思議なもので、神経が研ぎ澄まされると、水音だけで川中に突出している岩の位置がなんとなくわかります。
岩を避けながら、必死で漕いでいる自分がいました。
しばらくすると、宇治川沿いにある平等院鳳凰堂の前を通過し、目的地点に到達することができました。
時刻は、夜の8時30分頃になっていました。
さすがに体力の限界で、河岸にカヤックを上げた後は、約1時間ほど仰向けになり、星を見ながら寝転んでいました。
12-5.宇治の飲み屋で一休み
時刻は、夜の9時30分、いつまでも河原に寝ているわけにはいきません。
少し体力を回復してから、カヤックを解体しカバンに詰込み台車に積載して、JR宇治駅近くの駐車場に停めてあるキャンピングカーに戻りました。
車内のシャワールームで汗を流してさっぱりすると、急に酒を飲みたくなります。
近くの飲み屋に繰り出して、イモ焼酎「美魔女」のお湯割りを飲みながら、天ヶ瀬ダム越えの一部始終を思い出し、一人悦に入っていました。
明日は宇治から枚方まで漕ぎます。また想定外のことが起きないかと少し心配しながら、キャンピングカーに戻り、そそくさと横になりました。
次回の記事につきましては、下記をクリックしてご覧ください。

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