アパート・マンション経営を検討されている方の中に、
「資格を所有していないとアパート・マンション経営できないのでは?」
と、考えている人はいませんか?
実は、アパート・マンション経営に資格は不要です。
ただし、アパート経営には、
・法律
・税務
・建築
などの知識や
・入居者管理
・建物維持管理
などの実務面でのスキルが必要となります。
この記事では、
- アパート・マンション経営に有効な資格
- アパート・マンション経営に有効な資格の勉強法
- アパート・マンション経営に有効なネットワークづくり
について解説します。
これらを習得することにより、アパート経営の礎を築くことができ、アパート経営成功者への道を歩むことができます。
1.アパート・マンション経営に有効な資格
アパート経営を進める途上で様々な契約ごとが発生します。
・不動産売買契約
・不動産投資ローン契約
(金銭消費貸借契約)
・抵当権設定契約
・建築設計契約
・工事請負契約
・賃貸借契約
などです。
したがって、様々な法律の基礎知識を理解しておく必要があります。
また、期末に確定申告がありますが、ある程度の税務知識も必要です。
それらを踏まえますと、下記に挙げる資格を取り、法律・建築・税務などの知識があれば、契約ごとも確認・点検しながらスムースに進めることができます。
1-1.宅地建物取引士 ※1
宅地建物取引士の定義や主な業務内容を説明します。
1-1-1.宅地建物取引士とは?
1-1-2.宅地建物取引士の業務
以下の業務は、宅地建物取引士が行う必要があります。
- 重要事項の説明(宅建業法第35条)
- 重要事項説明書への記名押印(宅建業法第35条)
- 書面(契約書など)への記名押印(宅建業法第37条)
1-1-3.試験実施主体及び指定試験機関
都道府県知事が、国土交通省令の定めるところにより行います。
昭和63年度から、国土交通大臣が指定した指定試験機関(一般財団法人不動産適正取引推進機構)が、すべての都道府県知事の委任を受けて実施しています。
1-1-4.試験方法・合否の目安
50問・四肢択一式による筆記試験です。
合否の目安は、毎年変わりますが、概ね70%前後の正解率となります。
1-1-5.受験資格
年齢、性別、学歴などの制約はありません。
誰でも受験できます。
なお、宅地建物取引士の試験概要や合格率、勉強方法については、下記の記事をご覧ください。
1-2.マンション管理士 ※2
マンション管理士の定義や主な業務内容を説明します。
1-2-1.マンション管理士とは?
マンション管理士の名称を用いて、その専門的知識により、管理組合の運営その他マンションの管理を行います。
管理組合・区分所有者などの相談に応じ、助言・指導・その他の援助を行うことを業務とする専門家です。
1-2-2.マンション管理士の業務
マンション管理士は、
・分譲マンションの管理組合
・マンションの区分所有者
などからの相談に応じて、
・管理規約、使用細則
・長期修繕計画などの素案の作成
・区分所有者間のトラブル解決
に向けての予備的交渉などを行います。
1-2-3.試験方法・難易度
50問・四肢択一式による筆記試験です。
難易度は、宅地建物取引士の試験よりも上がります。
1-2-4.受験資格
年齢、性別、学歴などの制約はありません。
誰でも受験できます。
1-3.管理業務主任者 ※3
管理業務主任者の定義や主な業務内容などを説明します。
1-3-1.管理業務主任者とは?
管理業務主任者は、マンション管理業者が管理組合などに対して、
・管理委託契約に関する重要事項の説明
・管理事務所報告
を行う際に必要な資格です。
1-3-2.管理業務主任者の業務
以下の業務は、管理業務主任者が行う必要があります。
・マンション管理業者が管理組合などに対して管理委託契約に関する
・常用事項説明
・重要事項説明書(72条書面)
への記名押印
・管理委託契約書(73条書面)への記名押印
・管理事務の報告(77条)
1-3-3.根拠となる法令
根拠となる法令は、
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」
となります。
1-3-4.試験方法・難易度
50問・四肢択一式による筆記試験です。
難易度は、宅地建物取引士の試験と同程度です。
1-3-5.受験資格
年齢、性別、学歴などの制約はありません。
誰でも受験できます。
1-4.賃貸不動産経営管理士 ※4
賃貸不動産経営管理士の定義や主な業務内容などを説明します。
1-4-1.賃貸不動産経営管理士とは?
賃貸住宅は、人々にとって重要な住居形態です。
その建物を適正に維持・管理することは、入居者が安心できる生活環境に直結します。
そのため、継続的・安定的・良質な管理サービスに対する社会的な期待や要望は、増加傾向にあります。
賃貸不動産の管理業務にかかわる幅広い知識を有する賃貸不動産経営管理士の活躍が、期待されています。
1-4-2.賃貸不動産経営管理士の業務
賃貸不動産経営管理士の業務は、家主との賃貸不動産の管理業務を受託する契約から始まります。
入居者募集・契約業務により希望者を入居させ、
・建物の維持管理
・不具合の対応
・原状回復工事
など様々な業務があります。
また、家主の賃貸経営に関する支援もその業務の一環となり、必要となる知識は多岐に亘ります。
専門知識をもった賃貸不動産経営管理士が業務を担うことは、
・適正な管理業の促進
・入居者の安心
につながります。
1-4-3.試験方法・難易度
50問・四肢択一式による筆記試験です。
難易度は、宅地建物取引士の試験よりも下がります。
差し当たり、この資格取得から始めてみるのも良いです。
1-4-4.受験資格
年齢・性別・学歴などの制約はありません。
誰でも受験できます。
1-5.公認不動産コンサルティングマスター ※5
公認不動産コンサルティングマスターの定義や主な業務内容を説明します。
1-5-1.公認不動産コンサルティングマスターとは?
1-5-2.公認不動産コンサルティングマスターの業務
依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的な知識・技能を活用します。
公正かつ客観的な立場から、不動産の
・利用、取得、処分、管理
・事業経営
・投資
について、不動産の
・物件・市場等の調査
・分析
などを行います。
依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように、企画・調整・提案する業務です。
1-5-3.試験方法・難易度
50問・四肢択一式試験と記述式試験により合否が決まります。
記述式試験は、
・必修科目(実務、事業、経済の3科目)
・選択科目(金融、税制、建築、法律の中から1科目選択)
とあります。
難易度は、宅地建物取引士の試験よりも上がります。
1-5-4.受験資格
受験資格として、
・宅地建物取引士資格登録者
・不動産鑑定士登録者
・一級建築士登録者
のいずれか一つが必要です。
なお、公認不動産コンサルティングマスターの詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
2.アパート・マンション経営に有効な資格の勉強法
アパート経営を始められる方にとって、上記の資格取得は、様々な交渉や契約の場面などで役立つこととなります。
しかし、資格取得のためには、ある一定時間を割く必要があります。
割ける時間量や時間帯に応じて様々な勉強法があります。
ここでは、
・書籍
・オンライン講座
・講習会(セミナー)
による勉強法を紹介します。
2-1.書籍による勉強法
各資格の運営団体ごとに
・公式テキスト
・過去試験問題集
などが販売されています。
公式テキストは、試験を受験されない方にとっても、アパート経営業務のレベルアップに繋げることができます。
また、出版社からも多くの資格勉強本が出版されています。
2-2.オンライン講座による勉強法
各試験の運営団体によっては、オンライン講座を開設しています。
アパート経営を行うために必要な知識を学習でき、アパート経営を目指す方の勉強にもなります。
最近は、Youtubeなどを見れるデバイス(パソコン・タブレット・スマホ)などがあれば、資格取得のための講座が豊富に無料で提供されています。
それらを上手に活用しますと、お金をかけなくても勉強できます。
スマホがあれば、通勤・通学時間帯でも電車や車の中でも、聞き流しながら受講することができます。
下にYoutubeの無料動画の一例を紹介します。
他にも多々ありますので、自身に合った無料オンライン講座を探すのも良策です。
(出所:明海大学不動産学部)
2-3.講習会(セミナー)による勉強法
各資格の運営団体ごとに、毎年全国主要都市において、知識を高めるために講習会が開催されます。
資格によっては、講習会修了者に一定の知識を習得した者の証として、試験を受験した場合、出題数の中から数問免除されます。
民間資格学校においても様々な資格講座が用意されています。
3.アパート・マンション経営に有効なネットワークづくり
アパート経営にとってネットワーク創りは、資格取得と同等か、それ以上に大切なことです。
アパート経営に必要な職種の方と付合いを広め、問題が生じたときに助けていただける体制作りが必要です。
具体的にどの様な職種の方々と、ネットワークを構築すれば良いのかを、下記に挙げます。
3-1.先輩大家とのネットワーク
アパート経営を既にされている先輩大家との付合いがあれば、非常に心強いです。
既に様々な困難に直面し、解決へと導いた経験があるからです。
また、失敗談を聞くことも活きたアドバイスとなります。
先輩大家の活きたアパート経営のノウハウは、資格取得と同等かそれ以上のものです。
大家主催の勉強会が各地にありますので、探して入会するのも良策です。
ただし、中にはいかがわしい団体もありますので、注意が必要です。
3-2.金融機関とのネットワーク
全額自己資金にてアパートを建築もしくは購入できる方は、少数と思われます。
大半の方が、金融機関からの融資を受けることになります。
金融機関といいましても、
・政府系金融機関
・都市銀行
・地方銀行
・信用金庫・信用組合
・ノンバンク
など様々です。
融資を良い条件で受けるために、それぞれの金融機関の融資担当者とのコミュニケーションは大切になります。
気軽に話し合える関係を築ければ、様々な有益情報を教えてもらえます。
なお、不動産投資ローンについては、下記の記事をご覧ください。
3-3.不動産会社
不動産会社といいましても、
・賃貸仲介会社
・管理会社
・売買仲介会社
などがあり、場面によって動いてもらう会社が違います。
アパート経営をする物件購入の際には、売買仲介会社が関わります。
入居者付けは、賃貸仲介会社が関わります。
建物・入居者管理は、管理会社が関わります。
どの会社とも良い関係を築いて、良質な情報入手が出来るように心がけます。
3-4.設計会社、建築施工会社
アパートを新築する場合、設計会社に依頼してプランニングをしてもらいます。
プランニングに対して納得がいけば、建築施工会社に建築工事を発注します。
プランニングをする際、
・入居者付けを行う賃貸仲介会社
・建築施工会社
も加わって行行いますと、後々無駄のないアパートが完成します。
建物を経済的に仕上げ、入居者付けなどに有利なアパートを建築することができます。
日頃から不動産会社などの紹介を受けて、機会あるごとにアパート・マンションの設計・施工に強い
・建築設計事務所
・建設会社
を見つける努力が必要です。
3-5.設備業者
設備は大まかに以下の3種類となります。
- 電気設備:照明、エアコンなど
- ガス設備:給湯器、ガスコンロなど
- 水道設備:受水槽、キッチン、浴室、洗面室、トイレなど
それぞれの設備会社が、故障などの緊急時に、すぐに駆けつけてくれるような関係を構築しておきます。
そのためには、修繕工事が完了後、即支払いを済ませるようにします。
そうしますと、設備会社は、優先的に手配をしていただけます。
逆に、金払いが悪いと後回しになる傾向にあります。
3-6.内装業者
壁・天井・床のクロス張替えなどです。
入居者が退去した後に、クロスの汚れや傷みがあれば、張替えをしてもらいます。
クロスの色一つ取ってみても、入居者に対する印象は、随分と違います。
入居者層を設定している場合、クロスの色や柄のアドバイスを賃貸仲介会社などから事前にヒアリングをしておきます。
その内容を内装に反映しますと、入居者付けにも好影響を与えます。
3-7.税理士
税務相談や確定申告作成などです。
特に、資産税に強い税理士は少なく、税額にも影響します。
機会あるごとに、資産税に強い税理士を、紹介などで探すようにします。
税理士の力量で一番差が出るのは、固定資産税評価と相続税評価です。
大半の税理士は、教科書通りの処置を行います。
できる税理士は、とことん突き詰めて評価額を落とす努力をし、税額が下がります。
なお、アパート・マンション経営における相続税・固定資産税・所得税対策については、下記の記事をご覧ください。
3-8.司法書士
土地・建物の権利関係の登記や規定内の裁判などで活躍していただきます。
悪質な入居者の立退き訴訟に注力されている司法書士もおられます。
下手な弁護士や立退き業者よりも親切・丁寧・安価で行いますので、頼りになる存在です。
筆者は、経験上、弁護士よりも司法書士の方がおすすめです。
理由は、弁護士よりも司法書士の方が、現場を重視する傾向にあります。
なお、不動産移転登記については、下記の記事をご覧ください。
3-9.弁護士
高額の訴訟になりますと、弁護士に活躍していただきます。
ここでの注意点ですが、弁護士は意外と現場を知りませんし、知ろうとする努力をしない弁護士が多々見受けられます。
依頼する場合には、フットワークが良く、現場に足繁く通う弁護士をおすすめします。
現場を知らない弁護士は、法廷で負けます。
3-10.土地家屋調査士
土地家屋調査士は、
・土地・建物の表示登記
・土地の測量
・境界確定・明示
などで活躍していただきます。
4.まとめ
以上、
- アパート・マンション経営に有効な資格
- アパート・マンション経営に有効な資格の勉強法
- アパート・マンション経営に有効なネットワークづくり
について解説しました。
アパート経営は、立派な事業です。
アパート経営において、最も優先しなければならないことは、入居者に対するサービスです。
そのために、資格やネットワークづくりが大切になります。
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「タウンライフ家づくり」については、下記の記事を掘らんください。
6.参考・引用WEBサイト
※1 「宅建試験の概要」
一般財団法人不動産適正取引推進機構
https://www.retio.or.jp/exam/exam_detail.html
※2 「マンション管理士とは」
公益財団法人マンション管理センター
https://www.mankan.org/aboutqlfy.html
※3 「管理業務主任者とは」
一般社団法人マンション管理業協会
http://www.kanrikyo.or.jp/kanri/index.html
※4 「賃貸不動産経営管理士とは」
一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会
https://www.chintaikanrishi.jp/about/
※5 「公認不動産コンサルティングマスターとは」
公益財団法人不動産流通推進センター
https://www.retpc.jp/consul/consul-touroku/ginoutouroku/
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