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建設業界におけるプロポーザル方式:特徴や入札・コンペとの違いを解説

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プロポーザル方式は、事業などを委託する場合に、最も適した提案書(プロポーザル)を提示した提案者を選定する方式です。

この記事では、

  1. プロポーザル方式の概要
  2. プロポーザル方式の特徴やメリット、注意点
  3. プロポーザル方式の種類
  4. コンペとの違い
  5. 入札との違い

について解説します。

公共機関をはじめ民間の発注者が、

  • プロポーザル方式を採用する機会が増加傾向
  • プロポーザル方式がコンペに近似
  • プロポーザル方式と入札を合わせた総合評価落札方式を採用

する傾向にあることがわかります。

目次

1.プロポーザル方式の概要

プロポーザル方式は、業務を委託する上で、最も適した提案者を選定する方式です。
製品やサービス、事業などについて、提案内容以外にも、

・事業実施方針
・事業実施体制
・技術力
・事業実績
・地域貢献度

などを含めたプロポーザル(提案書)の提出を求め、提案者を総合的に評価して選定する方式です。

採用される分野は、

・建設コンサルタント業務
・システムコンサルタント業務
・アドバイザリー業務
・建築設計
・デザイン
・マーケティング
・プロモーション
・研修・教育

などです。

なお、建設業界に特化した転職支援サービスについては、下記の案内をご覧ください。



2.プロポーザル方式の特徴やメリット、注意点

図1.提案風景
Δ図1.提案風景

プロポーザル方式には、下記のような特徴やメリットがあります。

2-1.プロポーザル方式の特徴

プロポーザル方式の特徴としては、

・公平性・透明性・客観性を備えた選定が可能
・質の高い提案を可能にする選定方式
・提案者(人)を選定する方式

が挙げられます。

2-1-1.特徴1:公平性・透明性・客観性を備えた選定が可能

プロポーザル方式が適正に運用されれば、客観的な評価基準により公正な審査が実施され、選定プロセスも透明性を確保することが可能になります。
時代が要請する公平性、透明性、客観性を備えた提案者の選定が可能となります。

2-1-2.特徴2:質の高い提案を可能にする選定方式

建築設計の場合、あらかじめ内容や結果が目に見えるものではなく、設計料の大小だけで選定することは、適切とはいえません。
完成した建築物は、将来数十年以上に及び残るものです。

図2.提案風景
Δ図2.提案風景

プロポーザル方式は、プロジェクトに適した高い技術力や経験を持つ設計者を選定することができ、完成する建築物の質の高さに重点を置くことが可能となります。

2-1-3.特徴3:提案者を選定する方式

コンペ方式は、設計競技であり、「提案内容」そのものの良否を評価・検討して選定されるものです。

コンペ方式に対してプロポーザル方式は、「提案内容」ではなく、プロジェクトを委託すべき適任者(提案者)となる人を選定する点が特徴といえます。

2-2.プロポーザル方式のメリット

プロポーザル方式のメリットとしては、

・選定までの時間・費用・労力の負担を軽減
・発注者と提案者との共同作業
・発注者の要望を反映
・利益が大きい

が挙げられます。

2-2-1.メリット1:選定までの時間・費用・労力の負担を軽減

プロポーザル方式は、提案内容のみを作成するのではなく、

・具体的な実施方針
・設計体制
・実績の照会
・提案に対する技術力

などに関する提案書類を作成することが中心です。
コンペ方式と比較して、発注者側も提出者側も簡易に対応できることが、大きなメリットになります。

2-2-2.メリット2:発注者と提案者との共同作業

プロポーザル方式は、提案者を選定し、その後、具体的業務が発注者との共同作業により進捗します。
発注者と提案者との密接なコラボレーションによる質の高い成果が可能な点が、メリットです。

図3.発注者と提案者とのコラボ
Δ図3.発注者と提案者とのコラボ

2-2-3.メリット3:発注者の要望を反映

プロポーザル方式は、発注者と提案者とのコラボレーションで、プロジェクトを進捗させますので、発注者の意見や要望を反映し易くなります。

2-2-4.メリット4:利益が大きい

プロポーザル方式は、価格で選定される入札と比較しますと、利益が大きくなる方式です。

2-3.プロポーザル方式の注意点

プロポーザル方式の注意点としては、

・評価基準を把握
・仕様書をしっかり把握
・競合他社の点検
・プロポーザル方式は、コンペ方式に近くなる傾向

が挙げられます。

2-3-1.注意点1:評価基準を把握

プロポーザル方式での注意点は、提案内容だけが評価されるものではないということです。

あくまでも提案者の選定となり、
 ・企業実績
 ・事業実施方針
 ・事業実施体制
 ・技術力
なども評価されます。

例えば、ある自治体におけるCM事業のプロポーザル方式での入札ですが、評価項目並びに評価点は、下表の通りです。

表1.ある自治体の評価項目・評価点
Δ表1.ある自治体の評価項目・評価点

合計125点満点中、提案内容の評価点は40点となり、3分の1以下のウェイトでしかありません。
企業実績・管理技術者や担当技術者の技術力は長い期間にわたり形成されるものです。
実績の少ない企業では、太刀打ちできない可能性があります。

しかし、事業実施方針やヒアリングのウェイトが40点と約3分の1ありますので、この部分の強化対策を施せば、落札の可能性は出てきます。
上記事例のように、発注者の評価基準を把握し、望むことが重要です。

2-3-2.注意点2:仕様書をしっかり把握

事業の公募の際、発注者が作成する公募仕様書などをしっかり把握し、細かい規定まで確認・理解しておくことが大切です。
不明点があれば、発注者に問い合わせを行い、確認することが重要です。

図4.仕様書
Δ図4.仕様書

2-3-3.注意点3:競合他社の点検

受注するためには、競合他社の状況を把握してプロポーザル方式に臨む必要があります。

競合他社の
 ・事業実績
 ・過去の落札結果
などの情報収集を行い、勝てる見込みの有無を判断します。

図5.競合他社の調査
Δ図5.競合他社の調査

自治体が実施するプロポーザル方式の入札では、過去の実績を重視する判断基準もあります。
初めての参加企業の場合、良い提案内容を提示できたとしても、落札が困難になる場合もあります。

2-3-4.注意点4:プロポーザル方式はコンペ方式に近くなる傾向

プロポーザル方式でもコンペ方式と同様に、より具体的な提案書を求める傾向にあります。
その分、プロポーザル方式入札の準備に要する手間や費用が大きくなります。
受注できない場合、手間や費用が無駄になり、その負担も大きくなります。

なお、建設業界に特化した転職支援サービスについては、下記の案内をご覧ください。



3.プロポーザル方式の種類

地方自治体や国などの公共機関が実施するプロポーザル方式には、

  • 「公募型プロポーザル方式」
  • 「環境配慮型プロポーザル方式」

とがあります。

3-1.公募型プロポーザル方式

公募型プロポーザル方式は、地方自治体などが、応募者の中から最も相応しい民間事業者を選定する方式の一つです。

応募希望者は、地方公共団体が作成する仕様書(「事業目的」「事業実施場所」「応募期間」などの条件が記載)に基づき、期日までに提案書を提出します。
地方公共団体は、提出された提案書の中から、規定された評価に基づき採点を行い、受注者を決定する方式です。

1994年(平成6年)より、一定金額以上の事案については、「公募型プロポーザル方式」が採用されています。

なお、「公募型プロポーザル方式」の事例を下記に挙げます。

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3-2.環境配慮型プロポーザル方式(※1)

環境配慮型プロポーザル方式は、国や独立行政法人などが、建築工事や大規模な改修工事を行う場合、設計業務を発注する際に採用される方式です。

応募者に対して、温室効果ガスなどの排出削減に配慮する内容(自然エネルギーなどの積極的な利用を含む)を含む技術提案を求め、総合的に勘案して最も優れた提案者を特定する方式です。

2007年(平成19年)11月に、「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(環境配慮契約法)が施行されました。
また、2007年(平成19年)12月に、環境配慮契約法第5条第1項に基づき、

「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」(基本方針)が定められました。
その基本方針に基づき、「環境配慮型プロポーザル方式」の採用が挙げられています。

環境配慮契約法
第5条(基本方針)第1項

 国は、国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

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4.コンペとの違い

プロポーザル方式は、実施しようとするプロジェクトに対して、最も適切な技術力や想像力、経験、実績を有する「提案者(人)」を選定する方式です。

コンペ方式は、実施しようとするプロジェクトに対して、最も優れた「提案内容」を選定する方式です。

建築物や土木構造物などの分野で比較的多く採用される方式となります。

プロポーザル方式とコンペ方式の違いは、「提案者(人)」か「提案内容」という違いがあります。
プロポーザル方式とコンペ方式のメリット・デメリットを下表にまとめます。

表2.プロポーザル方式・コンペ方式のメリット・デメリット
Δ表2.プロポーザル方式・コンペ方式の
メリット・デメリット

なお、建設業界に特化した転職支援サービスについては、下記の案内をご覧ください。



5.入札との違い

プロポーザル方式は、「提案者(人)」を選定する方式です。

入札は、「価格」により選定する方式です。

発注者からの工事や物品の購入でよく利用される方式です。
工事や物品は、工法(工事方法)や規格が統一されていますので、発注者にとって「価格」が最も重要になります。
通常取引の場合、企業の信頼性や購入する物品・サービスの品質を加味することになります。

自治体などの公共ビジネスの場合、「入札参加資格」の有無により企業の信頼性や購入する物品・サービスの品質を点検・確認します。
最低限の信頼性や品質を有することを確認した上で、入札により「最も安い価格」の会社を選定します。

5-1.入札が多く採用される理由

自治体において入札が多く採用される理由は、価格のメリットと公平性が担保できるからです。
住民からの税金で事業が行われますので、公平性・透明性が求められます。

5-2.頻発する談合

談合は、競争入札の参加者どうしが落札者と落札価格を前もって決める、不公正な話合いです。

公共工事においては、毎年のようにスーパーゼネコンから地方のゼネコンに至るまで、談合による不正が報道されています。
談合は、例え入札参加者が数十社以上になっても行われますので、公平性・透明性が疑問視され続けています。

図6.談合
Δ図6.談合

5-3.プロポーザル方式は、利益が出やすい

価格で決まる入札と比較しますと、プロポーザル方式は、利益が出やすいといえます。

5-4.総合評価落札方式

総合評価落札方式は、入札とプロポーザル方式とを合わせた方式です。
「提案内容」など総合的な能力で企業の絞り込みを図り、次の段階において「価格」で最終決定する方式です。

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6.まとめ

以上、

  1. プロポーザル方式の概要
  2. プロポーザル方式の特徴やメリット、注意点
  3. プロポーザル方式の種類
  4. コンペとの違い
  5. 入札との違い

について解説しました。

・プロポーザル方式とコンペ方式との違いは、選定対象
・プロポーザル方式と入札方式の違いは、選定基準

です。

表3.プロポーザル方式とコンペ方式・入札方式との違い
Δ表3.プロポーザル方式と
コンペ方式・入札方式との違い

プロポーザル方式は、提案内容以外にも、
 ・企業実績
 ・地域貢献度
 ・技術力
 ・事業実施体制
などが評価されるため、一朝一夕に応募できる方式ではありません。

しかし、プロポーザル方式を採用する発注者が、公共機関をはじめ民間でも増加傾向にあるため、将来に向けて着々と準備を整える必要があります。
プロポーザル方式は、受注できますと利益を大きくできますので、取り組まれることをおすすめいたします。

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8.参考・引用Webサイト

※1 「プロポーザルを始めよう!」
    国土交通省大臣官房庁営繕部

https://www.mlit.go.jp/gobuild/sesaku/proposal/2008-8.pdf

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この記事を書いた人

◆有限会社エクセイト研究所◆

職務:代表取締役
業務:不動産コンサルタント
   不動産投資(大家業)
   不動産ライター・ブロガー
資格:一級建築士
   1級土木施工管理技士
   宅地建物取引士
   測量士
   定借アドバイザー
   マスタースキューバダイバー
認定:プロクラウドワーカー
   認定ランサーズ
趣味:カヤック一人旅
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   メタバース:まちづくり
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