前回の記事では、宇治から宇治川を下り、宇治川・桂川・木津川の三川合流部を通過し、淀川沿いの枚方河川公園までを漕ぐ様子を綴りました。
宇治川中流部では、カヤックが、川を塞ぐ倒木に衝突することにより、初めて「沈」(落水)しました。
また、淀川上流部では、一部の水深が浅く、カヤックでも座礁した様子を記しました。

今回の記事は、枚方河川公園を出発し、淀川大堰までの穏やかな淀川を漕ぎます。
前2回の内容と打って変わり、のんびりと流れのままに淀川を下る様子を案内します。
16.カヤック一人旅:鍵屋資料館・淀川資料館を見学
朝、京阪枚方市駅の近くの駐車場に停めてあるキャンピングカーの中で目覚めると、お湯を沸かして珈琲を飲みながら、サバの缶詰と目玉焼きをそそくさと食べます。
キャンピングカーの壁に貼ってある淀川の地図を見入りながら、どこまで漕ぐかを再度確認しました。
16-1.枚方は京街道の宿場町
枚方は、京街道(東海道53次ではなく57次)の宿場町として栄えた街です。
また、京と大坂を行きかう船の中継点としても、利用されました。
歴史の教科書などで目にしたことがある絵が、歌川広重作「三十石舟とくらわんか舟」です。

京都名所之内(広重画)
江戸時代、枚方宿における「くらわんか舟」の拠点の一つが「鍵屋」といわれる舟宿でした。
現在、「鍵屋資料館」として再生しています。
「カヤック一人旅」は、淀川沿いの歴史を訪ねることも、目的の一つです。
その当時の民俗を知りたいと思い、鍵屋資料館を訪ねることにしました。
16-2.鍵屋資料館を見学
鍵屋資料館は、淀川の堤防沿いに位置しています。
現在の淀川の河川区域は、拡幅されています。
江戸時代には、もっと水面に近い個所に建物がありました。


京街道に面した「鍵屋」は、江戸時代には宿屋を営み、幕末頃には淀川三十石舟の「舟待ち宿」としても繁盛しました。
近代以降は、枚方きっての料理旅館として、枚方周辺の人々に宴席の場を提供しました。




1階には、枚方宿関係の歴史資料や発掘遺物、民俗資料、模型が展示されています。
また、建物内で往時の旅の雰囲気を体感でき、彫刻欄間や格天井など、料亭だった頃のしつらえを楽しむことができます。
2階の大広間では、「ごんぼ汁」や「くらわんか鮨」など、枚方にちなんだ料理を食することができます。
ちなみに、筆者は「ごんぼ汁」と「くらわんか鮨」を食べてみましたが、なかなかの珍味でした。


写真8.「ごんぼ汁」と「くらわんか鮨」(右写真)
16-3.淀川資料館を見学
鍵屋資料館の近くに淀川資料館があります。
今回の旅は、淀川カヤック一人旅なので、ここを寄らない訳にはいきません。
せっかくなので淀川資料館にも寄ってみることにしました。


ミニシアターや展示室などが設置されています。
展示物の中には、淀川に関する文献資料、模型、淀川に生息する魚を飼った水槽などがあります。



淀川沿いのウォーキングツアーなども企画されています。
国土交通省のOBが、丁寧に説明をして,淀川を案内してくださいます。
ちなみに筆者も数回、ウォーキングツアーに参加しました。
17.カヤック一人旅 淀川下り:枚方河川公園を出発
キャンピングカーに戻り、本日のゴールとなる淀川大堰に向かいます。
淀川大堰の近くにある駐車場にキャンピングカーを停め、台車にカヤック装備一式を積載します。
台車を押しながら,大阪メトロ谷町線・天神橋筋六丁目駅に向かい、天満橋駅で京阪電鉄に乗り換えます。
京都方面の電車に乗り、枚方市駅で下車し、淀川の枚方河川公園でカヤックを組立てます。


17-1.枚方河川公園→淀川大堰のルート図
今回の「カヤック一人旅」のルートは、下図の通りです。
前回までの急流や倒木、座礁などはありません。
江戸時代などに描かれた風景画を思い出しながら、大河をのんびり漕ぐことにしました。

枚方河川公園 → 淀川大堰
17-2.今までで一番楽なカヤック一人旅
枚方河川公園を出発し、枚方大橋の下流側に来た時点で、出発地点である枚方河川公園の写真を撮りました。


下流へ向かうと、両岸は、雑草がうっそうと茂っています。
しばらくこのような風景が続きます。
ゆっくりではありますが、流れがありますので、カヤックを漕がなくても勝手に流れていきます。
ここに至るまでは、
・琵琶湖の湖面
・瀬田川の急流
・鳳凰湖の湖面
・天ヶ瀬ダム越え
・宇治川の倒木
・淀川上流の座礁箇所
など、漕がないと前に進むことができませんでした。
今回は打って変わり、何もしなくてもカヤックは流れにのり進んでくれます。
これまでで一番楽な旅となりました。
17-3.鳥飼大橋をくぐる
鼻歌でも謡いながら淀川を下っていきますと、淀川新橋・鳥飼仁和寺大橋をくぐり、鳥飼大橋が前方に見えてきました。
鳥飼大橋は、淀川を横断する橋が5つもある日本でも珍しい橋です。
- 近畿自動車道(高速道路)の上下線:2橋
- 中央環状線(国道)の上下線:2橋
- 大坂モノレール:1橋
の計5橋となります。
さすがにこの下をくぐる時は、騒音でうるさかったです。


それに加えて、鳥飼大橋の橋詰の河川敷では、近くにある高校のブラスバンド部だと思われますが、トランペットやトロンボーンの練習をしていました。

楽器の練習をするには、格好の場所であると思います。
その子たちに手を振ると、楽器の演奏を中断して、手を振り返してくれました。
筆者もサックスを吹奏しますが、河原での練習もいいなあと思いました。
自宅の近くには加古川がありますので、その河原に行ってサックスの練習でもしようと思います。

なんて、どうでもいいことを考えながら、淀川をゆっくりと下っていきました。
18.カヤック一人旅:淀川大堰に到着
鳥飼大橋をくぐり、豊里大橋・菅原城北大橋をくぐりますと、前方に淀川大堰が見えてきました。
キャンピングカーを淀川左岸側にある駐車場に停めてありますので、左岸の河川敷にカヤックを寄せました。

18-1.淀川大堰(よどがわおおぜき)
淀川大堰は、1964年に完成した長柄可動堰を改造して、1983年に完成しました。
国土交通省近畿地方整備局と独立行政法人水資源機構が共同で管理をしています。
建設目的は、
- 大阪府と兵庫県への上水道と工業用水道の供給
- 大川への水量調節
です。
大阪城の濠にも、大川を通して供給しています。


写真21.淀川大堰の下流側(右写真)
18-2.毛馬閘門(けまこうもん)
淀川大堰に隣接する毛馬閘門は、淀川と大川を舟が出入りできるように水位差を調節する施設です。
淀川大堰上流側と大阪市内を流れる大川の水位差は、通常2m前後あり、大川の方が低くなります。
2つのゲートに挟まれた水路に舟が入り、淀川から大川へ向かう場合には、ゲート間の水位を下げて舟は下流へと向かいます。
下のYouTube動画は,カヤックではありませんが、観光船に乗船して淀川から大川へ向かう際、毛馬閘門に入る様子です。
なお、淀川大堰周辺をウォーキングした様子を記事にしていますので、ご覧ください。

18-3.「福寿」を飲みながら・・・
淀川大堰近くの河川敷に到着後、カヤックを解体してカバンに収納し、近くの駐車場に停めてあるキャンピングカーに戻ります。
シャワーを浴びて汗を流し、天神筋橋6丁目駅近くの居酒屋に入り、先ずは生ビールをぐっと飲み干します。
神戸の日本酒である「福寿」をちびりちびりやりながら、エイのヒレなどを味わいました。
今日のカヤックの航行ルートを思い出し、「のんびりした川下りもいいなあ」と思いながら、釣り道具を積載することを考えました。
明日は、淀川大堰から淀川河口まで漕ぎます。
「いよいよ奥琵琶湖から出発した淀川水系のカヤック一人旅が終わるなあ」
と、感慨に耽りながら、今日も夜遅くまで飲んでいました。
尚、次回の記事は、下記をクリックしてご覧ください。

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参考・引用WEBサイト
※1 市立枚方宿鍵屋資料館
https://kagiya.hirakata-kanko.org/
※2 淀川資料館 国土交通省淀川河川事務所
https://www.kkr.mlit.go.jp/yodogawa/shisetu/yodo-museum/index.html
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