大都市郊外や地方都市になりますと、両親と同居する二世帯住宅の割合が、比較的大きくなります。
しかし、二世帯住宅にもメリット・デメリットがあります。
デメリットを克服できれば、二世帯住宅のメリットは大きいので、世代間で協力しながら快適に過ごすことができます。
この記事は、
- 二世帯住宅のメリット
- 二世帯住宅のデメリット
- 二世帯住宅の建築構造の違いによる建築費の目安
- 二世帯住宅の建築・購入に必要な諸費用
について解説します。
なお、二世帯住宅の同居スタイルについては、下記の記事をご覧ください。
また、注文住宅については、下記の記事をご覧ください。
1.注文住宅による二世帯住宅のメリット
1-1.子育ての面倒を見てもらえる
幼い頃から祖父母に接することで、思いやりのある優しい性格になるともいわれています。
二世帯住宅の最大のメリットともいえます。
若い世代は共働きが多い傾向にあります。
夫婦ともにフルタイムで働けば、子育ても大変になります。
その場合、同じ家に親がいれば、子供の面倒をみてくれます。
特に、
・子供の急な体調不良による看病
・保育園・幼稚園の送り迎え
などを手伝ってもらえれば、非常に助かります。
1-2.親の介護がし易い
身近に親がいることにより、体調などの様子を見ることができます。
親の体力の衰えが目立つようになると、サポートすることもできます。
しかし、介護にまでなれば大変になりますので、訪問介護を利用します。
・一部共有型
・完全分離型
の二世帯住宅であれば、訪問介護を利用しやすい環境にあります。
訪問介護ヘルパーにとっても、同居家族に気兼ねすることなく、台所・洗面・風呂・トイレといった水回りを使うことができます。
なお、一部共有型二世帯住宅の設計事例については、下記の記事をご覧ください。
また、完全分離型二世帯住宅の設計事例については、下記の記事をご覧ください。
1-3.資金援助・助成金
二世帯住宅の新築や中古住宅を購入する場合、多額の費用を要します。
親と共に資金を出し合うことで、二世帯住宅の資金計画を立てやすくなります。
また、二世帯住宅に対して様々な助成金制度があります。
事前に確認して活用できますと、資金計画も楽になります。
1-4.減税効果
相続税や不動産取得税に効果があります。
1-4-1.相続税
二世帯住宅は、相続発生の際に条件が整えば、「小規模宅地等の特例」を使うことができます。
土地の相続税評価額を330㎡(約100坪)までの部分については80%の減額となり、20%の評価となります。
ただし、敷地面積:330㎡を超える部分については、減額はありません。
【事例1】
例えば二世帯住宅で使っている土地が400㎡あるとします。
相続が発生した場合、400㎡のうち
・330㎡までは、20%の相続税評価
・残りの70㎡は、100%の相続税評価
となります。
この減額は非常に効果が高く、場合によっては相続税評価額が相続税基礎控除額よりも低くなり、相続税が生じないこともあります。
1-4-2.不動産取得税
不動産取得税は、不動産の固定資産税評価額に対して税率は原則4%です。
しかし、2024年3月31日までに取得した住宅の税率は3%に引き下げられます。(※1)
宅地の場合、以下のいずれか多い額が不動産取得税の税額から控除されます。
- 45,000円
- 土地1㎡当たりの価格×1/2×住宅床面積の2倍(200㎡が限度)×住宅の取得持分×3%
住宅の場合、新築であれば固定資産税評価額より1,200万円/戸控除できます。
二世帯住宅であれば、条件が整えば2戸分:2,400万円控除できます。
場合によっては、宅地・住宅ともに不動産取得税がかからないこともあります。
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2.注文住宅による二世帯住宅のデメリット
2-1.プライバシーの欠如
完全共有型・一部共有型二世帯住宅になりますと、親と接する機会も多くなり、プライバシーを保ちにくくなります。
そこからストレスがたまることも考えられます。
生活スタイルの相違、特に台所や浴室などの水回りの使用スタイルの相違によるトラブルが生じ易くなります。
建てる前に本音ベースでの話し合いを持つことが大切です。
なお、完全共有型二世帯住宅の設計事例については、下記の記事をご覧ください。
また、一部共有型二世帯住宅の設計事例については、上記「1-2.親の介護がし易い」に掲載の記事をご覧ください。
2-2.建築費が高騰
二世帯住宅は、通常の単世帯住宅と比較して、延床面積が大きくなります。
下記の記事でも説明しましたが、単世帯住宅の平均延床面積は43坪です。
二世帯住宅の平均延床面積は57坪で、1.33倍になります。
それに伴い平均建築費は、1.36倍になります。
同居スタイルの中で完全分離型になりますと、建築費は2倍近くになります。
新築にこだわらず中古住宅も視野に入れ、特に住宅ローン返済に支障をきたさないように、余裕をもった資金計画が大切になります。
なお、戸建て住宅の建築坪単価については、下記の記事をご覧ください。
2-3.土地価格が高騰
二世帯住宅の平均延床面積は、単世帯住宅の1.33倍です。
そこから逆算しても、土地面積は1.33倍必要になります。
それに伴い土地価格も高くなります。
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3.二世帯住宅の建築構造の違いによる建築費の目安
不動産価格の算出方法には、
・取引事例法
・積算法
・収益還元法
の3方法があります。
二世帯住宅のような居住用不動産の場合、
・取引事例法
・積算法
が使われます。
ここでは、積算法にて建物価格を計算します。
建物の積算価格を出す再調達価格は、建物を建てる際の1㎡当たりの建築費用です。
国税庁のWEBサイトに記載されている数値を使います。(※1)
(出所:国税庁)
3-1.木造
木造の場合、令和5年(2023年)全国平均の建築単価は、58.5万円/坪(177千円/㎡)です。
例えば、延床面積50坪の二世帯住宅の場合、
58.5(万円/坪)×50(坪)=2,925万円
となります。
3-2.鉄骨造
鉄骨造の場合、令和5年(2023年)全国平均の建築単価は、89.9千円/坪(272千円/㎡)です。
例えば、延床面積50坪の二世帯住宅の場合、
89.9(万円/坪)×50(坪)=4,495万円
となります。
3-3.鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造の場合、令和5年(2023年)全国平均の建築単価は、91.9万円/坪(278千円/㎡)です。
例えば、延床面積50坪の二世帯住宅の場合、
91.9(万円/坪)×50(坪)=4,595万円
となります。
3-4.建築構造と延床面積の違いによる建築費の目安
建築構造と延床面積の違いによる建築費の目安をまとめますと、下表の通りです。
建築費(土地代除く)の目安
下記の記事において、二世帯住宅の平均建築坪単価は、62.56万円でした。
上記の建築構造の違いによる建築単価と比較して考察しますと、大半の二世帯住宅が、木造で建築されていると考えられます。
なお、戸建て住宅の建築坪単価の推移については、下記の記事をご覧ください。
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4.二世帯住宅の建築・購入に必要な諸費用
土地・建物費用以外にも
・購入時・建築着工時
・購入後・建築後
においても様々な諸費用が発生します。
4-1.購入時・建築着工時諸費用
二世帯住宅を新築する場合には、
・建築請負契約に伴う印紙税
・建築設計費
などがかかります。
二世帯住宅を購入する場合には、
・売買契約に伴う印紙税
・売買仲介手数料
などがかかります。
それら以外にも、
・税金
・司法書士報酬
・測量費
などがかかります。
4-1-1.測量費・境界明示費
測量・境界確定・明示の業務内訳は、
・敷地形状
・敷地面積
・敷地内外の高低差
などを測定し、
・隣地との境界確定
・道路明示
などを行う費用です。
どこまで
・測定
・確定・明示
するかにより、費用は大幅に違います。
概ね20万円~200万円です。
4-1-2.建築設計費
注文住宅の場合、建築士に二世帯住宅の設計を依頼する際の報酬です。
概ね工事金額の3%前後です。
ただし、著名な建築家に設計依頼する場合、10%前後となる場合もあります。
なお、建築士については、下記の記事をご覧ください。
4-1-3.売買仲介手数料
二世帯住宅を購入する場合、不動産会社に売買仲介の対価として支払う費用です。
仲介手数料の上限は、
です。(消費税込み)
【事例2】
延床面積50坪で購入価格3,000万円の二世帯住宅を購入した場合、仲介手数料の上限は、
(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105.6万円
となります。(消費税込み)
なお、仲介手数料については、下記の記事をご覧ください。
4-1-4.手付金・工事着手金
手付金は、二世帯住宅を購入する際、売主に支払う費用です。
購入費用の10%前後で、購入代金の一部になります。
工事着手金は、二世帯住宅を建築する際、着工時に建築会社に支払う費用です。
建築費用の10%前後で、建築費用の一部になります。
4-1-5.登録免許税
登録免許税は、法務局に対して
- 不動産の所有権移転に伴う登記手続き
- 住宅ローンの抵当権設定に伴う登記手続き
の際に課税される国税です。
要件を満たせば軽減措置が受けられます。
なお、登録免許税については、下記の記事をご覧ください。
4-1-6.印紙税
二世帯住宅の
・購入の場合:売買契約書
・建築の場合:建築請負契約書
を作成する際に印紙を貼り納税します。
また、住宅ローンの金消契約書の作成の際、印紙を貼り納税します。
それらの書類は、様々な法律に基づき作成されます。
法律の支えに対して納める国税です。
4-1-7.司法書士報酬
司法書士に対して不動産登記を依頼する際の報酬です。
なお、司法書士報酬については、下記の記事をご覧ください。
4-1-8.住宅ローン借入費用
住宅ローンを借入する際に必要な費用です。
・事務手続き手数料
・ローン保証料
・団体信用生命保険(団信)特約料
・火災保険料
などになります。
なお、住宅ローンの保証料については、下記の記事をご覧ください。
4-2.購入後・建築後諸費用
二世帯住宅の購入後もしくは建築後に支払う諸費用があります。
4-2-1.不動産取得税(都道府県民税)
税額は、
で計算されます。
要件を満たせば軽減措置を受けられ、納税額が大幅に下がります。
二世帯住宅を購入後もしくは建築後数か月経てば、都道府県から納税請求書が届きます。
4-2-2.固定資産税(市区町村民税)
4-2-3.都市計画税(市区町村民税)
4-2-4.住宅ローン返済費
住宅ローンを利用する場合、毎月元金と利息の返済が伴います。
返済額は、借入額・借入期間・金利により大きく異なります。
返済に無理が生じないよう、
・資金計画
・ライフプラン
を検討した上での住宅ローンの利用が大切です。
なお、住宅ローンの申込にあたり、「仮審査・事前審査」については、下記の記事をご覧ください。
また、住宅ローンの申込にあたり、「本審査」については、下記の記事をご覧ください。
4-3.二世帯住宅の諸費用のまとめ
上記の「4-1」「4-2」をまとめますと、下表の通りです。
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5.まとめ
以上、
- 二世帯住宅のメリット
- 二世帯住宅のデメリット
- 二世帯住宅の建築構造の違いによる建築費の目安
- 二世帯住宅の建築・購入に必要な諸費用
について解説しました。
二世帯住宅を検討・計画する場合、親世代と子世代とのコミュニケーションがしっかり取れるか否かが、成功・失敗の分岐点となります。
しっかり協議をすることができれば、その二世帯にとって最も相応しい同居スタイルの選択や建築費・購入価格を設定することができます。
6.お役立ち情報案内
不動産に関するお役立ち情報を案内します。
ご活用ください。
6-1.【タウンライフ家づくり(二世帯住宅特集)】間取りプランを無料で作成
◆サービス概要◆
注文住宅会社が、あなたの要望や希望に基づいて、家づくりに必要な
・「間取りプラン」
・「資金計画」
・「土地探し」
を無料でご提案するサービスです。
※二世帯住宅に特化しております。
ネットで簡単に複数の住宅会社にオリジナルの「家づくり計画書」を依頼することができます。
◆メリット◆
- 住宅展示場に行ったり、何度も複数の住宅会社に合わなくても、自宅で家づくり可能
- 複数社のプランを比較・検討可能
- 利用は全て無料!
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なお、「タウンライフ家づくり」の利用方法については、下記の記事をご覧ください。
6-2.注文住宅無料資料請求サイト【持ち家計画】
◆サービス概要◆
一度の入力で、複数の
・ハウスメーカー
・工務店
に無料資料請求・来場申込が出来るサイトです。
注文住宅で家を建てたいと思っていても、どこに依頼したら良いか悩む人は多いはず。
持ち家計画では、一度の入力で全国100社以上の住宅メーカーからお客様の条件やご希望に合った企業を選ぶこ とができるので、依頼先の検討に最適です。
◆メリット◆
無料資料請求だけでなく、全国(離島など一部除く)のハウスメーカーを選択でき、 自宅近くの展示場・店舗への来場申込が可能です。
なお、【持ち家計画】の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
6-3.【リフォーム比較プロ】無料比較サイト
◆サービスの概要◆
「リフォーム比較プロ」は、全国500社以上のリフォーム会社の登録がある無料比較サイトです。
クロス張替えなどの小さなリフォームから全面改修まで 、全てのリフォームに対応します。
サイト開設から5年以上、累計利用者数30万人を超える総合リフォーム比較サイトです。
◆サービスの特徴◆
- 当サイトは厳格な審査基準を設けており、審査を通過した業者のみが登録されています。
- スタッフが随時お客様からのヒアリングを行っており、お客様からの評判が悪い業者については 登録削除される仕組みになっています。安心してご利用いただけます。
- 具体的なリフォーム工事のノウハウなどの情報提供を行います。
なお、【リフォーム比較プロ】の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
7.参考・引用WEBサイト
※1 「不動産取得税」 東京都主税局
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/tozei/index_f.html#q12
※2 「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】」 国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0018008-045/07.htm
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