例えば、築30年~40年経過した築古戸建ての場合、
・リフォーム
・リノベーション
を施さずに住み続けますと、建物や設備・器具に劣化損傷個所が相当数出てきます。
特に相続した家などに、多く見受けられます。
「築古戸建てを上手く処分する方法は、ないものだろうか?」
「築古戸建ての活用方法は、ないものだろうか?」
と困っておられる方はいませんか?
実は、上手く売却するコツや活用方法などがあります。
この記事では、
- 「築古戸建て」とは?
- 「築古戸建て」を売却するリスク・デメリット
- 「築古戸建て」を家屋付きで売却するメリット・デメリット
- 「築古戸建て」を売却するコツ
- 「築古戸建て」の活用方法
について解説します。
売却や活用を検討する場合、余計な経費をかけずに計画・実施できることがわかります。
1.「築古戸建て」とは?
築古戸建てや古家などの定義や耐震基準、誤解について解説します。
1-1.「築古戸建て」の定義
築古戸建てや古家の明確な定義はありません。
一つの目安として、国税庁が建築構造・用途別に規定する法定耐用年数があります。
住宅の場合には、建築構造ごとに規定されています。
税務上の建物評価は、法定耐用年数を経過しますと無くなります。
特に、木造や軽量鉄骨造(鋼材厚:3mm以下)の場合、築年数が20年前後で、税務上の評価は無くなります。
したがって、耐用年数の観点で見ますと、築20年以上が、築古戸建てや古家の一つの目安と考えられます。
1-2.「築古戸建て」は、耐震基準も考慮
築古戸建てや古家の基準を考慮する場合、耐震基準も一つの目安となります。
耐震基準は、旧耐震基準と新耐震基準となります。
1-2-1.旧耐震基準
旧耐震基準は、1950年に建築基準法が制定された当時の耐震基準です。
震度5程度の中規模の地震に耐えられることを、基準としています。
1-2-2.新耐震基準
新耐震基準は、1978年の宮城県沖地震(宮城県内:死者27人、建物の全半壊7,500戸)を教訓として、見直しされました。
震度5程度の中規模の地震に対しては、ほとんど損傷を生じさせません。
稀にしか発生しない大規模地震(震度6強から震度7程度)に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊などの被害を生じさせないことを、基準としています。
1-2-3.旧耐震基準と新耐震基準との見分け方
旧耐震基準と新耐震基準の見分け方の判断は、建物が完成した年ではありません。
・1981年5月31日以前の建築確認済証の交付日であれば、旧耐震基準の建物です。
・1981年6月1日以降の建築確認済証の交付日であれば、新耐震基準の建物です。
例えば1982年に完成した建物であっても、建築確認済証の交付日が1981年5月31日であれば、旧耐震基準の建物となります。
2023年時点で、新耐震基準の建物は、最も古い建物で築42年となります。
したがって、耐震基準の観点で見ますと、築42年以上が、築古戸建てや古家として考える最も長い築年数と考えられます。
1-3.「築古戸建て」への誤解
築古戸建てや古家に対して、様々な誤解があります。
例えば、
「築古戸建ては、売れないのでは?」
「築古戸建ては、リフォームした方が高く売却できるのでは?」
「築古戸建ては、解体・更地にした方が、売却し易いのでは?」
などです。
1-3-1.「築古戸建て」は売れない?
築古戸建てや古家は、売れないと思い込んでいる人は、案外多くいます。
しかし、築古戸建てや古家でも、都心・田舎関係なく売れる可能性があります。
UターンやIターンと呼ばれ、都心での生活に見切りをつけ、田舎での生活に活路を求める人が増加する傾向にあります。
その様な人たちにとって、地方での古い家は「渡りに船」となります。
物件を売却する際、
・不動産一括売却査定サイト
・空き家バンク
などに物件登録をしますと、案外購入者が早く決まる可能性が高くなります。
なお、「空き家バンク」については、下記の記事をご覧ください。
1-3-2.「築古戸建て」はリフォームした方が高く売却できる?
リフォームしたからといって、その費用を上乗せして売却しようとしても、売却できるとは限りません。
売却できずに長期間を要してしまい、結局値下げをして売却せざるを得ず、マイナスとなる場合もあります。
購入者の中には、セルフリフォームを目的として、築古戸建てを探している人もいます。
したがって、リフォームせずに、現状にて売却する方が良策といえます。
なお、戸建てではありませんが、築古ファミリー向けマンションをリフォームせずに売却した事例については、下記の記事をご覧ください。
しかし、劣化損傷の酷い個所については、リフォームする必要があります。
なお、リフォーム工事の検討につきましては、下記の記事をご覧ください。
1-3-3.「築古戸建て」は解体・更地にした方が売却し易い?
築古戸建てを解体して更地にすることも考えられます。
リフォーム同様に、その費用を上乗せして土地を売却できるとは限りません。
古家の建築構造によっては、解体費用が高くなりますし、様々な不具合が生じる可能性があります。
建築構造による解体費用の目安を下表にまとめます。
なお、解体工事の詳しい内容につきましては、下記の記事をご覧ください。
2.「築古戸建て」を売却するリスク・デメリット
2-1.売却できるまで、維持費や税金がかかる
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点での不動産所有者に対して、課税される市区町村税です。
所有している限り、納税する必要があります。
水道光熱費は、解約手続きを取れば費用は発生しません。
しかし、解約手続きを取らない限り、基本料金は最低限発生します。
庭では雑草が生え、定期的に処理する必要があります。
自身で処理を行えば、お金はかかりません。
しかし、高木など業者に依頼しますと、決して安くない費用が発生します。
なお、空き家管理サービスについては、下記の記事をご覧ください。
2-2.水道管などの交換工事の必要性
築古戸建てに引かれている水道管は、口径13mmの場合が多くなります。
現代の生活スタイルは、浴室や洗面での水の使用量が、増加する傾向にあります。
したがって、口径20mmの水道管が引かれているのが一般的です。
口径13mmですと、売却する場合に
・買い手から敬遠される
・水道管を口径20mmにリフォーム要望
される可能性があります。
また、水道管の中が、長年の使用により、錆で詰まり劣化・損傷している場合もあります。
その場合、必然的に水道管の交換工事を行いませんと、
・売却できない
・売却できても後日トラブル
になります。
2-3.増改築不可の可能性
建築基準法の改正により、用途地域の細分化による建蔽率(けんぺいりつ)や容積率の見直しが行われました。
立地によっては、増改築が不可能になる場合もあります。
2-3-1.建蔽率(けんぺいりつ)
建蔽率は、敷地面積に対する建築面積の割合です。
建築面積は、建物を上空から見た時の面積です。
建蔽率は、下記式で計算されます。
(出所:国土交通省)
2-3-2.容積率(ようせきりつ)
容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合です。
延床面積は、各階の床面積を合計した面積です。
容積率は、下記式で計算されます。
(出所:国土交通省)
建蔽率は、平面的な広さを制限するものです。
容積率は、立体的な空間を制限するものです。
なお、建築基準法の概要については、下記の記事をご覧ください。
2-3-3.既存不適格・再建築不可
築古戸建ての建築当時の立地が、低層住居専用地域といわれる用途地域内にあったとします。
建築基準法の改正により低層住居専用地域は、
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
の2種類に細分化されました。
改正により、建築当初の
・建蔽率: 50%
・容積率:100%
であった規定が、
・建蔽率:40%
・容積率:80%
の規定になる立地が出てきました。
築古戸建てが、建蔽率50%、容積率100%の制限いっぱいで建てたとしますと、建築基準法改正後の規定にそぐわなくなり、「既存不適格」となります。
増改築する場合、建築当初の建物の大きさを確保できなくなり、増築するどころか規模縮小せざるを得なくなります。
現状の築古戸建てと同規模の建築ができなくなり、「再建築不可」となります。
したがって、築古戸建てが、改正後の建築基準法の規定に合わなくなりますと、
・「既存不適格」
・「再建築不可」
と表示せざるを得なくなります。
なお、再建築不可物件の活用については、下記の記事をご覧ください。
2-4.境界確定の必要性
築古戸建ての場合、隣地との境界に、
・境界鋲
・境界プレート
・境界石
などが無く、曖昧になっていることが多々あります。
敷地境界線が、不明確による隣地とのトラブルがよくあります。
特に、築古戸建てを売却する場合、買い手は後々隣地と揉めたくないので、売主に対して隣地との境界明示を求めます。
通常は、境界明示を行う場合、土地家屋調査士に依頼して、隣地所有者と協議をしながら決めることになります。
その場合、隣地所有者との関係が良好ですと、スムースに境界確定ができます。
しかし、隣地所有者との関係が険悪ですと、協議しても双方合意に至らずトラブルとなり、境界確定が長期化する場合もあります。
3.「築古戸建て」を家屋付きで売却するメリット・デメリット
築古戸建てを
・家屋付きで売却するメリット
・家屋付きで売却するデメリット
・家屋を解体して売却するメリット・デメリット
について解説します。
3-1.家屋付きで売却するメリット
3-1-1.固定資産税・都市計画税が有利
固定資産税・都市計画税と解体費の合計額とを天秤にかけて、判断する必要があります。
家屋が建っている場合、家屋が建っていない更地状態よりも、土地の固定資産税・都市計画税が減税されます。
固定資産税・都市計画税の減税率
固定資産税の場合、敷地面積が、
・200㎡までの部分 :1/6
・200㎡を超える部分:1/3
に減税されます。
ただし,家屋にも固定資産税がかかります。
したがって、
であれば、家屋を残した方が、固定資産税の観点からは有利となりますが、
であれば、家屋を解体した方が、固定資産税の観点からは有利となります。
3-1-2.解体費・リフォーム費が不要
「古家付き土地」で売却しますと、事前の処理(リフォーム・解体費)が不要となり、経費をかけなくて済みます。
3-1-3.瑕疵担保責任を逃れやすい
「古家付き土地」として売却しますと、瑕疵担保責任を免れることができます。
しかし、「中古住宅」として売却しますと、瑕疵担保責任が生じます。
その分、
・設備・器具の不具合
・瑕疵による責任
などを問われるリスクがあります。
なお、マンションの場合ですが、「瑕疵担保責任」に代わる「契約不適合責任」については、下記の記事をご覧ください。
3-2.家屋付きで売却するデメリット
「古家付き土地」で売却するデメリットは、売却価格を「中古住宅」や「更地」の場合よりも安く設定する必要があります。
購入者にリフォームや解体費用を負担させることになるからです。
しかし、売却価格を安く設定しますと、売却期間が短くなる傾向にあるため、必ずしもデメリットだけではなくなります。
また、建築基準法上の問題により、築古戸建てによっては、
・「既存不適格」
・「再建築不可」
の表示の義務が伴います。
3-3.家屋を解体して売却するメリット・デメリット
家屋を解体して売却するメリット・デメリットを下表にまとめます。
メリット・デメリット
4.「築古戸建て」を売却するコツ
「築古戸建て」を売却するコツは、
・売却価格を相場よりも下げる
・不動産一括売却査定サイトの利用
・リフォーム・ハウスクリーニング
・買取りサービスの利用
などです。
4-1.売却価格を相場よりも下げる
売却開始より、買い手が負担を強いられることになる
・リフォーム費用
・解体費用
などを見込んで、売却価格を相場よりも下げておくことです。
4-1-1.自身でリフォームする買い手に売却
買い手の傾向として、自身で
・リフォーム
・リノベーション
・解体
をし、生活スタイルに合わせた
・間取り
・設備、器具の導入
・造園
などを図る人が増えています。
売却価格を抑えますと、お値打ち感も出せますので、早期売却に繋がる可能性が高くなります。
4-1-2.高利回りの戸建て賃貸として、不動産投資家に売却
不動産投資家の間では、
・中古アパート
・中古マンション
などの売却価格が、高止まりしている影響で投資利回りが悪くなり、中古物件への投資に躊躇している傾向にあります。
その様な状況下、築古戸建てに目を付け、高利回りの戸建て賃貸として再生する動きがあります。
また、築古戸建てに対して、日本政策金融公庫は、融資を出す傾向にあります。
したがって、築古戸建てを日本政策金融公庫の融資とセットで、不動産投資家に売却しますと、売り手・買い手ともにメリットが生じます。
なお、日本政策金融公庫の融資については、下記の記事をご覧ください。
4-2.不動産一括売却査定サイトの利用
売却の仲介を依頼する
・不動産会社の情報収集
・依頼する不動産会社の選択
・不動産会社から出てくる査定価格の比較
などがスピーディーに無料で行えます。
なお、不動産一括売却査定サイトについては、下記の記事をご覧ください。
また、空き家バンクについては、下記の記事をご覧ください。
4-3.リフォーム・ハウスクリーニング
築古戸建てを修繕工事する場合、リノベーションまでする必要はなく、最低限度のリフォームに留めておいた方が良策といえます。
最低限度のリフォームは、
・水道管や排水管の修繕工事
・劣化・損傷の激しい設備・器具
などです。
ハウスクリーニングは、施しておいた方が、見た目も綺麗になり、売却もし易くなります。
また、売主としての最低限のマナーともいえます。
なお、マンションの場合ですが、ハウスクリーニングの内容については、下記の記事をご覧ください。
リフォームとリノベーションとの違いを下表にまとめます。
リフォーム費用よりもリノベーション費用の方が高くなります。
次にリフォーム・リノベーションするメリット・デメリットを下表にまとめます。
メリット・デメリット
4-4.買取りサービスの利用
売却を早く済ませたいなどの事情がある場合、不動産会社による買取りサービスを利用する方法があります。
買取りサービスのメリット・デメリットを下表にまとめます。
なお、買取りサービスについては、下記の記事をご覧ください。
5.「築古戸建て」の活用方法
築古戸建ての活用方法として
・最寄り駅まで近い立地の場合
・最寄り駅から遠い立地の場合
について解説します。
5-1.最寄り駅から近い場合
築古戸建てが、最寄り駅から近い場合、戸建て賃貸やアパート、民泊、サブスク住宅などの活用方法があります。
5-1-1.戸建て賃貸・シェアハウス・アパート経営
入居需要のあることが前提となりますが、
・最寄り駅までのアクセスが良い
・家賃を周辺相場よりも安く設定
などの差別化ができますと、入居者が付き易くなり、リフォーム・リノベーションしての
・戸建賃貸
・シェアハウス
・アパート
経営を始められる可能性があります。
なお、アパート・マンション経営の始め方については、下記の記事をご覧ください。
5-1-2.民泊・サブスク住宅
民泊やサブスク住宅の場合、
・宿泊客を見つけること
・毎日の部屋のクリーニング業務
などは、ノウハウ・労力を伴います。
自身での運営が困難であれば、民泊運営を取り扱う専門業者に依頼するのが、良策といえます。
2017年6月に「住宅宿泊事業法」が制定され、2018年6月に施行されました。
・家主
・住宅宿泊管理業者
・住宅宿泊仲介業者
に対して、規制が設けられています。
適切な管理・衛生面・安全面の確保が求められます。
立地・利便性・宿泊料金設定などを勘案した上で、採算ベースに乗るか否かの事前調査が必須となります。
5-2.最寄り駅から遠い場合
最寄駅から遠い場合、車好きやバイク好きを対象者として、賃貸ガレージハウスとして再生することも可能です。
入居者は、基本的に車通勤しますので、最寄駅から遠くても関係ありません。
また、ガレージ(車庫)により、車も雨風や粉塵、盗難からも防ぐことができます。
したがって、車好きやバイク好きですと、家賃を高く設定しても需要が見込めます。
地方の築古戸建ては、適合できる可能性が高くなります。
さらに、利回りが良くなりますと、収益還元法により売却価格を高く設定できる可能性も出てきます。
なお、賃貸ガレージハウスについては、下記の記事をご覧ください。
また、賃貸ガレージハウスについては、下記の記事をご覧ください。
6.まとめ
以上、
- 「築古戸建て」とは?
- 「築古戸建て」を売却するリスク・デメリット
- 「築古戸建て」を家屋付きで売却するメリット・デメリット
- 「築古戸建て」を売却するコツ
- 「築古戸建て」の活用方法
について解説しま した。
売却するにしても、活用するにしても、
・費用をできる限り、かけない
・費用をかけるにしても、最低限に抑える
工夫が大切です。
そのためには、
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ご活用ください。
7-1.【タウンライフ不動産(売却)】無料申込
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8.参考・引用WEBサイト
※1 「耐用年数(建物/建物付属設備)」
国税庁
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